| ブガッティの価値は、上がることはあっても下がることはなさそうだ |
1934年製のブガッティ・タイプ59がオークションに出品されることになり、その予想落札価格が「最低」でも1000万ポンド(邦貨換算にて約14億2000万円)を超えるだろうとアナウンスされて話題に。
ブガッティのクラシックモデルで有名なのは”もっとも美しいブガッティのレーシングモデル”と言われるタイプ35、タイプ41ロワイヤル、タイプ55、タイプ57クーペ・アトランティークといったところですが、問題はなぜこの「タイプ59がそこまで高値をつけるのか」。
レースでは華々しい戦績を残したブガッティのうち一台
出品元によると、このタイプ59に収められるエンジンは「No.5」で、1934年~1935年シーズン用に制作された初期のグランプリマシンであることを意味し、さらにはレネ・ドレフュスのドライブにてモナコGPでは3位に入賞したほか、ベルギーGPでは見事優勝に輝いた、としています。
ブガッティはこのタイプ59をレースから引退させた後にスポーツカーイベント用へとコンバートし、スーパーチャージャーを取り除いたほか、ギアボックスをドライサンプへ変更する等の改造を加えることに。
引退後はベルギー国王の手に
さらにシャシーとボディとを修正して新たにシャシーナンバー57248が与えられ、そのイベントではジャン・ピエール・ウイミーユのドライブにて他社を圧倒した、という記録も残っているようですね。
その後は完全にレースから引き揚げ、ベルギー国王レオポルド三世の手に渡った後、4人のオーナーの手を経て現在に至る、とのこと。
なお、見た目はかなり「年季」を感じさせるものですが、これは「一度もレストアをしていないオリジナルコンデイション」であるため。
クラシックカーはときに未レストアのほうが高値がつくと言われますが、このブガッティ・タイプ59についても、その例に漏れないのかもしれません。
このタイプ59につき、搭載されるエンジンは3.25リッター直列8気筒、キャブレターはゼニス製。
出力は250馬力とのことですが、当時の状況を鑑みるに、かなり高い数字だと言えそうです(今では信じられないが、ブガッティは創業当初、大排気量車に対し、効率性に優れる小排気量車で挑んでは勝利を重ねていた)。
トランスミッションは4速マニュアル、ブレーキは4輪とも機械式ドラムだとアナウンスされています。
なお、ブガッティは(別の)タイプ57をル・マン24時間レースでも走らせたことがあり、1937年と1939年には見事優勝を飾っていますが、1939年の優勝車(タイプ57C)を運転していたドライバーの一人がピエール・ヴェイロン。
もちろん、2005年に復活を果たしたブガッティが発売したスーパーカーの名はここから取られたというわけですね。