Image：Audi
｜ 今でこそアウディはメルセデス・ベンツ、BMWの影に隠れてしまっているが ｜
過去には途方もないパワーを絞り出す「怪物」も世に送り出している
この記事の要約
- 最強のDNA： 「クワトロ」による4WD革命から、ル・マンを制した「ディーゼル最強神話」まで
- ポルシェとの絆： 爆速ワゴン「RS2」など、ライバルと手を組み限界を超えた数々の名車
- 未来の覇者： 電気自動車として初めてダカール・ラリーを制覇した、驚異の最新テクノロジー
独自の進化を遂げた「技術による先見」
「Vorsprung durch Technik（技術による前進）」。
アウディが掲げるこのスローガンは、単なる宣伝文句ではなく、モータースポーツの歴史を塗り替え、ぼくらの乗る市販車の常識を覆してきた「挑戦の足跡」そのものです。
メルセデス・ベンツやBMWといったライバルに対し、アウディはいかにして独自の地位を築いたのか？
これまでの常識を破壊し、パフォーマンスの境界線を押し広げてきた10台をここで振り返ってみたいと思います。
アウディを変えた10のエポックメイキング
【デザインの革命】Audi TT（初代）
「走るバウハウス」と称された幾何学的なデザインで世界を驚かせた一台。
- 功績： 「デザインだけで会社のイメージを変えてしまった」と言われるほどの革新的功績を残し、もはや「伝説」としてのポジションを獲得
- 画期的なパッケージング：小排気量ターボ＋4WDという革新的なレイアウトを採用
Image：Audi
-
-
さよならアウディTT。1998年の生産開始から25年、66万台の生産の歴史に幕を閉じる。11月11日に最後の一台がラインオフし博物館へ
｜ 初代アウディTTが登場したときの衝撃はまさに「自動車業界最大級」だった ｜ 残念ながら今の市場においてはアウディTTが生き残るスペースは存在しない さて、アウディTTはそのボディ形状やグレード、そ ...
続きを見る
【アメリカを制した怪物】Audi 90 IMSA Quattro
アメリカのレースシーンに「4WD＋5気筒」の衝撃を与えた伝説のレーシングカー。
- スペック： 2.2L 直5ターボ / 720 hp / 車重1,206kg
- 伝説： 他車を寄せ付けない速さで13戦中7勝。あまりの強さに後に4WD自体が禁止されたほど
Image：Audi
-
-
なんと公式！アウディがスパルタンな「RS6 GTO」を発表。1989年の90クワトロIMSA GTOへのオマージュ
｜ 詳細は不明だが、このRS6 GTOはおそらくワンオフ、そして市販は無い ｜ アウディがかつてIMSA キャメル GT チャンピオンシップを走った”アウディ90クワトロ IMSA GTO”にインスパ ...
続きを見る
【爆速ワゴンの始祖】Audi RS2 Avant
Audi 80をベースに、ポルシェと共同開発した究極のステーションワゴン。
- 驚愕の事実： 0-48km/h加速は、あの「マクラーレンF1」よりも速い1.5秒を記録している
- トリビア：ホイールやブレーキなどにポルシェのパーツが使用され、社内外の随所、車検証入れにも「PORSCE」の文字が光る
Image：Audi
-
-
【動画】またもやポルシェ公式！ポルシェとアウディが共同設計した「元祖RS」、アウディRS2を紹介する動画。ポルシェはこの「ドッカンターボ」が大好きなようだ
｜ この当時、とにかく世界は「ハイパワー」へと向かっていた ｜ アウディRS2アバントのホイール、ドアミラー、ブレーキなどは「そのまんまポルシェ」 さて、ポルシェは先日公式コンテンツとして、かつてポル ...
続きを見る
【究極のV8】Audi RS4 (B7)
BMW M3の強力なライバルとして、Audiが「本気」でドライバーズカーを作った傑作。
- スペック： 4.2L V8（最高回転数 8,250rpm） / 420 hp
- 評価： 手動変速機のみを設定し、高回転型NAエンジンの官能的な走りを追求
Image：Audi
-
-
【不変の真理】アウディが45年間磨き続けた「クワトロ」システムが今なお最強である理由、そして歴史を変えた「5台」とは
｜ アウディの歴史は「クワトロ」とともにある ｜ この記事の要約 意外なルーツ： 華やかなラリー界ではなく、軍用車「イルティス」の走破性から誕生 45年の進化： 1980年の誕生から、現在まで1,10 ...
続きを見る
【ラリーの翼】Audi Sport quattro S1
グループB黄金期、巨大なウィングで武装した「怪物」。
- 伝説： 600馬力近いパワーを4WDで路面に伝え、パイクスピークでも記録を塗り替える
Image：Audi
【ル・マンの静かな覇者】Audi R10 TDI
「ディーゼルは遅い」という偏見を粉砕した、ル・マン初のディーゼル優勝車。
- 性能： 5.5L V12 ツインターボディーゼル / 641 hp / 1,100 Nm
- 特徴： 驚異的な燃費と、排気音より走行風の方がうるさいほどの静粛性を実現
Image：Audi
【砂漠の電撃】Audi RS Q e-tron
2024年、電動駆動車として初めてダカール・ラリー総合優勝の快挙を達成。
- システム： 4輪をモーターで駆動し、2.0Lターボエンジンを発電機として使う「レンジエクステンダー」方式
- トリビア：「寄せ集めのパーツで作った」レーシングカーとしても知られる
Image：Audi
-
-
アウディ、不要になったパーツの「寄せ集め」にてマシンを作り世界最難関「ダカール・ラリー」での優勝を飾る──RS Q e-tronの出発点とは
Image：Audi ｜ アウディの歴史はモータースポーツとともに作られる ｜ スペアパーツから生まれた“怪物”──アウディRS Q e-tronの挑戦 ドイツの名門自動車メーカー、アウディの歴史はモ ...
続きを見る
【日常のスーパーカー】Audi R8
ランボルギーニ・ガヤルドと心臓部を共有しながら、毎日乗れる快適さを備えた傑作。
- 影響： 映画『アイアンマン』でトニー・スタークが愛用。ブランドイメージを「クールで未来的」に一新する
- 新しいポジショニング：アウディ初の「スーパーカー」
Image：Audi
-
-
さよならアウディR8。4万2948台の生産を終え最後の一台がラインオフ。TTの生産も終了し、これでアウディはピュアスポーツカーを持たない自動車メーカーに
｜ R8はアウディにとってそのブランドイメージを大きく向上させた立役者であり、果たした役割は非常に大きい ｜ 残念ながら、今のところ後継モデルに関する具体的な計画はないようだ さて、アウディが「最後の ...
続きを見る
【伝説のシルバーアロー】Auto Union Type C
1930年代、Audiの前身であるアウトウニオンが放った、ミッドシップV16エンジンの怪物。
- スペック： 6.0L V16 / 520 hp / 最高速度 340km/h
- 背景： フェルディナント・ポルシェ博士が設計。F1の遥か前に、現代のレーシングカーの構造を完成させていた先進的な存在
Image：Audi
【すべての始まり】Audi Quattro (WRC)
世界ラリー選手権に「4WD」を持ち込み、モータースポーツの歴史を永遠に変えた一台。
- 功績： 1980年代のラリー界を席巻。女性ドライバー、ミシェル・ムートンが初優勝を飾ったのもこのクルマ
- WRCの歴史を書き換える：「4WDでないと勝てない」時代を築くこととなった先駆的存在
Image：Audi
なぜAudiは「選ばれる」のか？
こういった歴史を見るに、BMWが「駆けぬける歓び」を、メルセデス・ベンツが「最善か無か」を掲げる中、アウディは常に「技術による優位性」「先進性」「革新性」で対抗してきたことがわかります。
| ブランド | 強み | 代表的な技術 |
| Audi | 全天候型の安定性と先進性 | Quattro（4WD）、Matrix LED、TDI |
| BMW | 後輪駆動のハンドリング | 50:50の重量配分、直列6気筒 |
| Mercedes | 圧倒的な格式と快適性 | 安全技術、ラグジュアリーの極致 |
アウディの凄さはラリーやル・マンで鍛えた「4WD（クワトロ）」や「直噴ターボ（TFSI）」といった技術をすぐさま市販車へとフィードバックするスピード感にあり、これはライバルにはない「モータースポーツ直結」とも言える特徴なのかもしれません。
Image：Audi
振り返ってみれば、アウディの歴史は「不可能への挑戦」の連続でもあり、「重い」と思われていた4WDでラリーを制し、「遅い」と思われていたディーゼルでル・マンを制し、そして今過酷な砂漠を電気自動車で制することに。
既存の常識にとらわれず「可能性を模索する」のがアウディであり、モータースポーツ由来の技術を惜しみなく市販車へと投入するからこそ、ぼくらは「世界最高・最新レベルの機能と性能」を（実際に手が届く価格で）体感できるのだとも考えられます。
-
-
アウディCEO「ええ、そんなわけで、伝統の5気筒エンジンがついに生産終了します」──RS3が最後の搭載モデルに、その理由とは
AUDI ｜ アウディの「象徴」5気筒エンジンが消える ｜ アウディのハイパフォーマンスモデルといえば、この「5気筒エンジン」という印象ではあったが アウディの代名詞とも言える直列5気筒エンジンがつい ...
続きを見る
もちろん今後もアウディの挑戦は続くのは間違いなく、F1という新たな戦場でアウディがどのような「革命」を見せてくれるのか、そしてコンセプトCが目指す「革命」の行く末はどうなるのか。
Image：Audi
これまで紹介した10台の名車たちが持つ「革新のDNA」、そしてアウディの未来が融合する瞬間を今まさにぼくらは目撃しようとしています。
-
-
アウディ、新型スポーツカー「コンセプトC」を公開。次世代TTの予告、ポルシェとの深い関係性を持ちつつ市販化か
Audi ｜ ミラノで公開された新型デザインスタディ「アウディ コンセプトC」 ｜ そのデザインは「ローゼマイヤー」風 アウディが公式Facebookの“フライング”投稿を経て、新たなスポーツカーコン ...
続きを見る
参考：「Audiのロゴ“4つのリング（フォーリングス）”の秘密」
上で紹介した「アウトウニオン（Auto Union）」という名前。
これがアウディのエンブレム「フォーリングス」の正体で、かつてのドイツの4つのメーカー（アウディ、DKW、ホルヒ、ヴァンダラー）が大恐慌を生き抜くために合併して誕生したのが「アウトウニオン」。
現在はその名称が変更され「アウディ」という名前で親しんでいますが、その裏には「技術（アウディ）」「安価な大衆車（DKW）」「豪華さ（ホルヒ）」「堅牢さ（ヴァンダラー）」という、4つの強みが合流した歴史があるわけですね。
あわせて読みたい、アウディ関連投稿
-
-
アウディ、R8後継モデルを否定せず。一方でコンセプトCは「TTの後継ではなく、TTの名は復活しない」
Audi ｜ アウディ コンセプトCは「TTの後継ではない」 ｜ まだまだアウディがどこまでスポーツカーに対して注力するのかは不明である さて、アウディは意欲的なコンセプトカー「コンセプトC」を発表し ...
続きを見る
-
-
アウディ「クワトロ」、BMW「xDrive」、メルセデス ・ベンツ「4MATIC」は同じ4WDながらもどう違うのか？それぞれを徹底比較【動画】
Image：Audi ｜ ひとくちに「4WD（AWD）」といえど多種多様 ｜ なぜドイツ御三家のAWDは特別なのか？ 雪道や悪路、そして高速道路でのコーナリング。 自動車を運転する上で、路面状況に関わ ...
続きを見る
-
-
アウディが「維持コストも運用難易度も極めて高い」、ル・マンを走ったLMP1ハイブリッドレーシングカー、R18 e-tron quattroを一般向けに販売すると発表
Image：Audi ｜ アウディはこの「アウディスポーツ・レーシングレジェンズ・プロジェクト」を新しいビジネスとして位置づける ｜ いったいどんな人が買うのか気になって仕方がない さて、アウディはこ ...
続きを見る
参照：Audi
