【不変の真理】アウディが45年間磨き続けた「クワトロ」システムが今なお最強である理由、そして歴史を変えた「5台」とは

2025/12/19

｜　アウディの歴史は「クワトロ」とともにある　｜

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この記事の要約

意外なルーツ： 華やかなラリー界ではなく、軍用車「イルティス」の走破性から誕生
45年の進化： 1980年の誕生から、現在まで1,100万台以上に搭載された信頼の証
多彩なシステム： 車種に合わせて最適化された4つの主要なクワトロ機構
モータースポーツの覇者： WRCやル・マン、Pikes Peakを席巻した圧倒的なグリップ力
次世代へ： ガソリン車から電気自動車（e-tron）へ引き継がれるクワトロの魂

Image：Audi

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軍用車から生まれた「クワトロ」の衝撃

いまやアウディにおいて欠かせない要素、それが「クワトロ」。

コンパクトモデルからサルーン、SUV、EV、はてはレーシングカーにおいてまで「クワトロ」が採用されていますが、これはアウディの「Vorsprung durch Technik（技術による前進）」を象徴するシステムとしても知られます。

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しかしながらそのルーツは「意外」なもので、実は1976年、VWの軍用車「イルティス」のテスト中にそのポテンシャルが見出されたことに遡り、このイルティスが「どんな悪路も進んでいく」様を見た当時のアウディのエンジニア、ワルター・トレーザーが「スポーツカーに応用するしようと考えた：ことがはじまりだとされています。

かくして1980年のジュネーブモーターショーで発表された「アウディ・クワトロ」は、それまでの「4WD＝オフロード車」という常識を覆し、オンロードでの安定性と速さを追求した革新的な1台となったわけですね。

技術解説：走行性能を支える「4つのクワトロ」

現在、クワトロという名前は一つですが、その中身は搭載される車種や用途によって最適化されています。

1. セルフロッキング・センターディファレンシャル

縦置きエンジンモデルに採用される、最も「アウディらしい」純粋なシステム。路面状況に応じて瞬時に前後トルク配分を最適化します（縦置きエンジンやハイパワーモデルに採用）。

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2. マルチプレート・クラッチ（ハルデックス系）

A3やTTなどの横置きエンジンモデルに採用。通常は前輪駆動に近い状態で効率を稼ぎ、必要に応じて後輪へパワーを伝達します。

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3. クワトロ Ultra（ウルトラ）

最新の効率重視システム。4WDが必要ない場面ではプロペラシャフトを完全に切り離し、燃費性能を飛躍的に向上させます（A4～A7、Q5など幅広いモデルに採用）。

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4. エレクトリック・クワトロ

e-tronなどの電気自動車に採用。前後のモーターを電子制御することで、機械式よりも遥かに速いレスポンスでトルクを制御します。

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スペック・メリットとデメリットの比較

特徴	メリット	デメリット
グリップ力	圧倒的なトラクションで雪道や雨天時の安心感が抜群	パーツ数が増えるため、車重が増加する
ハンドリング	コーナリング中の安定性が高く、思い通りのラインをトレース可能	駆動ロスや重量により、燃費に影響が出る場合がある
信頼性	45年の蓄積されたデータによる高い耐久性	複雑な機構のため、長期的にはメンテナンスコストがかかる

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モータースポーツでの伝説：ルールを変えた圧倒的強さ

クワトロの名を世界に轟かせたのは、1980年代のWRC（世界ラリー選手権）。

それまでの後輪駆動（RWD）車に対し、クワトロは「4輪で地面を掴む」ことで異次元の速さを発揮し、ライバルたちがこぞって4WDを開発するきっかけとなります。

さらに、アメリカのパイクスピーク・ヒルクライムでの3年連続記録更新や、ル・マン24時間レースでのディーゼル4WD「R18 e-tron quattro」の勝利など、その支配力は場所を選ばず、まさに「無双」なのがこのクワトロ。

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時代を作ったアウディの傑作たち

そこでアウディの100年を超える歴史の中で「特にブランドイメージを決定づけた」のは以下の5台。

1. Audi Quattro (1980) - 通称：Ur-Quattro

「クワトロ」の名を冠した最初のモデルです。

なぜ名車？： 当時「オフロード車のためのもの」だった4WDを初めて高性能ロードカーに採用。WRC（世界ラリー選手権）を席巻し、現代の「速いアウディ」のイメージをゼロから作り上げる

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2. Audi RS2 Avant (1994)

アウディ初の「RS」モデルであり、伝説の始まりです。

なぜ名車？： ポルシェと共同開発され、ポルシェの工場で生産。サイドミラーやホイールもポルシェ製パーツが使われており、「ワゴンなのにスーパーカーをカモれる」というアウディ伝統の「爆速ワゴン」スタイルを確立する

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3. Audi TT (1998)

円を基調とした、あまりにも独創的なデザインで世界を驚かせた一台。

なぜ名車？： 「デザインの力だけでブランドの地位を上げた」と言われるほど当時の自動車界に衝撃を与える。バウハウスの影響を受けたシンプルかつモダンな姿は、20年以上経った今も色褪せない

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4. Audi R8 (2006)

アウディが初めて放った本気のミッドシップ・スーパーカー。

なぜ名車？： ル・マン24時間レースでの連覇で培った技術を凝縮。映画『アイアンマン』の主人公トニー・スタークの愛車としても有名になり、「クールで知的なスーパーカー」という独自のポジションを築くことに成功

5. Audi RS6 Avant (C6型 / 2008)

「やりすぎ」と言われるほどのパワーを詰め込んだ、究極のファミリーカー。

なぜ名車？： 実用的なワゴンボディに、なんとランボルギーニ由来のV10ツインターボエンジンを搭載。当時のスーパーカーを凌駕する580馬力を発揮し、「世界最強のワゴン」として語り継がれる存在

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「クワトロ」名車ベスト5 スペック比較表

モデル名	生産年	エンジン	駆動方式	特徴
Quattro (Ur)	1980-91	2.1L 直5ターボ	quattro	4WDスポーツの始祖
RS2 Avant	1994-95	2.2L 直5ターボ	quattro	ポルシェ共同開発の怪物
TT (初代)	1998-06	1.8L 直4ターボ等	FF / quattro	世紀のデザイン革命児
R8 (初代)	2006-15	4.2L V8 / 5.2L V10	quattro	毎日乗れるスーパーカー
RS6 (C6)	2008-10	5.0L V10ツインターボ	quattro	V10搭載の最強ワゴン

アウディの名車に共通する「美学」

これら5台に共通しているのは、単に「速い」だけでなく、常に「知性」と「先進性」が感じられること。

無骨なラリーカーから洗練されたR8まで、その根底には常に「クワトロ」という技術への自信が流れており、アウディの歴史は困難な状況でも「技術で前進（Vorsprung durch Technik）」し続けた挑戦の歴史でもあるわけですね。

結論：なぜ今もクワトロが必要なのか？

「クワトロ」は単なる4輪駆動システムではなく、それはドライバーに「どんな状況でも安全に、かつ速く目的地に着ける」という絶対的な自信を与えるための技術。

45年前に始まったこの挑戦は、今や電気自動車の時代へと突入し、しかしどれだけ動力源が変わろうとも「4つのタイヤを緻密に制御し、路面を捉え続ける」というアウディの哲学が変わることはなさそうです。

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