
| ミラノで公開された新型デザインスタディ「アウディ コンセプトC」 |
そのデザインは「ローゼマイヤー」風
アウディが公式Facebookの“フライング”投稿を経て、新たなスポーツカーコンセプト 「コンセプトC」 を発表。
このモデルは、来週開催される IAAミュンヘンモーターショー に先駆け、ミラノで初披露されたもので、最大の特徴は1930年代の アウトウニオン・レーシングカー から着想を得た「縦型フレームを持つグリル」。
アウディはこのモデルを「将来のスポーツカーの方向性を示すデザインスタディ」と位置づけています。
Image:Audi
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歴代アウディ・スポーツモデルの要素を凝縮
コンセプトCは歴代のアウディによるスポーツカーやコンセプトカーから要素を抽出して一台に融合させたモデルだとされ、ボディ全体はシャープでエッジの効いた面構成を持ちながら、フロントフードの曲線やリアフェンダーの張り出しがバランスを保っています。
- TT … アーチ状のAピラー、シンプルな円形ホイールアーチ
- R8 … ミッドシップ由来のプロポーション、サイドブレード風のBピラー処理
- ローゼマイヤー(2000年) … 縦型フロントグリル、ベント付きリアデッキ
- スポーツ・クワトロS1/S2 … 力強いブリスターフェンダー
Image:Audi
ただし、正面から見る縦長グリル+細いヘッドライトの組み合わせは評価が分かれるデザインで、2005年の「シングルフレームグリル」導入時のように議論を呼ぶことになるのかもしれません(ただしレクサスのスピンドルグリル、BMWのジャンボキドニーのように、すぐに慣れると思われる)。
Image:Audi
ちなみにサイドパネルは「アウディR8」を連想させる部分でもありますね。
Image:Audi
なお、特筆すべき箱のモデルが「デザインイベント」にて発表されたということで、かつアウディがこのモデルを「デザインスタディ」と表現していること。
つまりアウディはコンセプトCにつき、機能や性能よりも、まずは「デザインを見てほしい」と考えている、ということになりそうです。
Image:Audi
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アウディ コンセプトCのインテリア:ミニマルかつバウハウス的
このコンセプトC内装は歴代TTの流れをくむバウハウス的デザインを採用。
さらに、センタータッチスクリーンは排除され、最新TTと同様に デジタルメーターがインフォテインメントを統合し、運転への集中を妨げにくい設計となっています。
Image:Audi
- シンプルな丸みを帯びたダッシュボード
- 厚みのあるドアハンドル
- 建築的なステアリングスポーク
Image:Audi
雰囲気的には「高級で高機能な家電」を連想させますが、これが実現できれば大きなインパクトを市場に与えることは間違いなく、初代TTがそうであったように、一つの時代を築くこととなりそうです。
Image:Audi
一方でシートは「イタリア製の、高級かつシンプルでモダンな」家具のよう。
Image:Audi
次世代TT、あるいは「R6 e-tron」に?
ルーフはフルオープンではなく、タルガトップ風の着脱式パネル を備え、剛性と安全性の両立を狙っている、とのこと。
アウディは公式に市販化を認めてはいませんが、このコンセプトCは 次世代TTの方向性を示す可能性が高い と見られており、想定されるプラットフォームは現在開発中とされるポルシェ718ケイマン/ボクスターEVと共有されるEVアーキテクチャで、以下のようなスペックが予想されています。※これらはミュンヘン・モーターショーにて発表されることになるのかも
- ベースモデル:約300ps
- 上位仕様:約500ps
- アウディ版:中間の350ps前後で快適性と航続距離を重視
Image:Audi
ただし、純粋な「TT」ブランドをEVに転用することに抵抗を持つファンも多いため、名称は 「R6 e-tron」 といった新しいネーミングになる可能性も指摘されており、ここは続報を待つしかなさそうですね。※このコンセプトC発表前、その名称は「TT e-tron」になると言われていた
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参考までにですが、アウディは新型Q6 e-tronでもTTを意識したデザインを取り入れており、「TT、そしてTTが起こした革命に望みをかけている」ことはやはり間違いなさそうですね。
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アウディCEOのコメント
「私たちのクルマのデザインは、ブランドそのものを形作る。振り返りのフェーズは終わり、未来を見据えて加速するときだ。デザインと品質で新しい基準を築くことに注力する」
― アウディCEO ゲルノート・デルナー
Image:Audi
まとめ:未来のアウディを象徴する一台
アウディは近年、販売台数の伸び悩みという課題を抱えています。
その中で発表されたコンセプトCは、2000年代初頭に人気を博した「シンプルな造形」と「技術力の高さ」を現代的に再解釈したモデルであると捉えることができ、賛否両論の縦型グリルを含め、今後のアウディデザインの転換点となる可能性が非常に大きく、このモデルが「未来のTT」になるのか、それとも「R6 e-tron」として登場するのか、ファンの注目が集まっています。
アウディ コンセプトCを紹介する動画はこちら
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参照:AUDI