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2010年代はじめに計画された「TT以上、R8未満」、アウディR4はなぜ市販化されなかったのか?プロジェクト中止の真相、今その精神を引き継ぐ存在とは

アウディのキー

| アウディ内部では常に「スポーツカー必要派」と「スポーツカー不要派」とのせめぎあいが起きているようだ |

そしてドイツの企業だけあって判断には「情熱」よりも「合理性」が求められる

アウディのスポーツカー史において、世界中のファンが「もし実現していたら・・・」と今なお惜しむモデルが存在し、それが、スーパーカー「R8」の弟分として計画されていた「Audi R4」。

実用性と効率性を重視するアウディにあって、TTとR8の間に位置する「ミッドシップ・スポーツ」として開発が進められていたこのプロジェクトではありますが、華々しいモーターショーでのデビューを飾りながら、最終的に闇に葬られてしまったという悲運のモデルです。

ここでかつて計画されていたR4の全貌、そしてアウディが描く次世代スポーツカーの未来を紐解いてみましょう。

この記事の要約ポイント

  • ベイビーR8の誕生: R8のデザインとミッドシップレイアウトを継承した小型スポーツカー計画
  • 幻に終わった理由: ポルシェやVWグループ内での競合、コスト問題によるプロジェクト断念
  • アウディスポーツの現在: TTとR8が相次いで生産終了し、ラインナップからスポーツカーが消滅
  • 復活への布石: 最新コンセプト「Concept C」が示す、完全電動スポーツカーとしての再始動
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アウディR4の起源と「e-tronコンセプト」の衝撃

アウディR4の構想は2009年のフランクフルトモーターショーで発表された「e-tronコンセプト」にまで遡ることができ、これはR8を凝縮したような美しいスタイリングに「当時はまだ珍しかった」4モーターの電気自動車(EV)技術を搭載したという先進歴なクルマです。※下の画像は2011年に発表されたオープン版、e-tron スパイダー

その後のデトロイトモーターショーではさらに進化したモデルが登場し、市販化に向けた期待は最高潮に達するものの、当時はまだEV技術が未熟だったため、市販版(R4)はガソリンエンジンを搭載した「ミッドシップ・ライトウェイト・スポーツ」として開発が進められることになったわけですね。

アウディのコンセプトカー、e-tron スパイダー(シルバー)

Image:Audi


車種概要:幻のAudi R4と、そのライバルたち

計画されていたR4は、アウディだけでなくVWグループ全体のスポーツカー戦略の要となるはずで・・・。

幻のスペックと開発背景

予測・計画されていた内容
レイアウトミッドシップ(MR)
プラットフォームVW ブルースポーツ / 次世代ポルシェ・ボクスターと共有案
エンジン2.0L 直4ターボ または 2.5L 直5ターボ
最高出力約300 hp 〜 350 hp
シャシーアルミニウム・スペースフレーム または スチール
位置付けTTの上位、R8の下位

なぜプロジェクトは中止されたのか?

2013年の生産開始を目指していたR4ではあるものの、最終的に以下の理由で「お蔵入り」となってしまい、今に至るまでその計画が「解凍」されていないというのが実情です。

  1. カニバリズム(共食い): ポルシェ・ケイマン、そしてアウディ自社のTT RSと市場が重なり、グループ内での競争を避けるという判断が下される
  2. コストの壁: 専用プラットフォームの開発コストに対し、スポーツカー市場のパイが小さすぎた
  3. ブランド戦略の転換: アウディは「e-tron」ブランドの初期ターゲットを、より収益性の高いSUVや大型セダンへシフトさせた
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TTとR8が去った後の「空白」

現在のラインナップを振り返ると、かつての輝きを放ったTT(2023年終了)もR8(2024年終了)も姿を消しているというのがアウディの現在地。

そしていまアウディのパフォーマンスを象徴するのは912馬力を誇る「RS e-tron GT」ですが、これはあくまで4ドアの大型GTカーであり、純粋な「2ドア・スポーツ」を求めるユーザーにとって、現在のアウディには選択肢がないという危機的な状況が存在しています。

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次世代スポーツカー「Concept C」への期待

かくして「R4」は幻に終わったものの、アウディはスポーツカーを諦めてはおらず、昨年発表された「Concept C」は、アウディが再び2ドアスポーツカー市場へ参入することを強く示唆するモデルでもあり・・・。

  • 100%電気駆動: 次世代ポルシェ718(EV版)とプラットフォームを共有
  • デザインの融合: TTの曲線美とR8のダイナミズムを融合させた新しいスタイル
  • 役割: TTより高価で、R8よりは手が届きやすい「中間のスポーツカー」という、かつてのR4の構想をEVで実現
アウディ コンセプトCの外観~リア画像

Image:Audi

「R4」という名前が復活するかは不明ではありますが、その内容を見るに「R4」の精神を受け継いでいるとも考えてよく、アウディが描く新しいスポーツカーの新章が間もなく始まろうとしているのかもしれません。


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