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| アウディはその昔、とんでもないクルマを数多くリリースしていた |
現代のアウディは「過去」に未来を見る
一昨年には「タイプ52」を復元したアウディですが、今回は伝説の速度記録車、「アウトウニオン・ルッカ」を復元したと発表。
展示用にとどまらず、実際に今年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにて走行させる、と発表しています。
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アウディが1930年代に計画されつつも生産されず「世界最速のクルマになるはずであった」タイプ52を当時の設計図を頼りに復刻。なんと6リッター16気筒エンジン搭載
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この記事の要約
- 1935年の伝説再び:アウディがかつて世界最速を記録した「Auto Union Lucca」を完全復刻。
- 驚異のスペック:最高速度326.975km/hを叩き出した1930年代の技術の結晶を再現。
- グッドウッドでお披露目:2026年7月の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で動態走行を予定。
- 職人技の結晶:英国の名門レストアラーにより3年以上の歳月をかけてハンドメイドで製作。

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伝説の「シルバーアロー」が現代に降臨。アウディが挑んだ究極の復刻プロジェクト
自動車史に燦然と輝く「シルバーアロー」伝説。
その中でも一際異彩を放つ「Auto Union Lucca(アウトユニオン・ルッカ)」が、アウディの手によって2026年に完全復活を遂げることに。
1930年代、ドイツの自動車メーカー各社は「世界最速」の称号をかけて熾烈な争いを繰り広げており、今回復刻されたこのマシンは、1935年にイタリアのルッカ近郊で時速320kmオーバーという、当時としては信じられない記録を打ち立てた「レン・リムジーネ(レーシング・セダン)」です。
アウディ・トラディション(アウディのクラシックカー部門)が3年の月日を費やして現代に蘇らせたこの一台は展示物としてではなく、実際に走行可能な状態に仕上げられており、モータースポーツファン垂涎のイベント「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」でのデビューが決定している、とアナウンスされています。

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326.975 km/hの衝撃:史上最速の公道レーシングカー
1935年2月15日、伝説のドライバーであるハンス・シュトゥックは、イタリア・ルッカのオートストラーダ(高速道路)でこのマシンを駆って平均時速320.267km/h、瞬間最高速度326.975km/hを記録していますが、この記録の裏には当時としては最先端の技術が投入されています。
- 空力革命:航空研究所での風洞実験を反映した、流線型の「ティアドロップ」形状のボディ
- ミッドシップレイアウト:現在のスーパーカーの標準であるミッドシップを1930年代に採用
- 16気筒エンジン:圧倒的なパワーを生み出す多気筒エンジン

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今回の復刻にあたっては、アウディの歴史アーカイブにある写真や資料を基に、英国の「Crosthwaite & Gardiner」社が製作を担当。
ボディのアルミパネル一枚一枚に至るまで、熟練の職人による手作業で再現されているのだそう。

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Auto Union Lucca(2026年復刻モデル)主要スペック
今回の復刻モデルは、耐久性や今後のデモンストレーション走行を考慮して1936年型のType C用エンジンをベースにした仕様となっていますが、960kgという軽量な車体、そしてこの細いタイヤで520馬力、そしてもちろんドライバーアシストの類は全くなく、当時のドライバーは「命がけ」でこれを運転していたということもわかりますね。

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| 項目 | スペック詳細 |
| エンジン | 16気筒エンジン(コンプレッサー付) |
| 排気量 | 6,005 cc(Type C仕様) |
| 最高出力 | 520 PS (382 kW) @ 4,500 rpm |
| 燃料 | 特殊混合燃料(メタノール50% / 無鉛ハイオク40% / トルエン10%) |
| サイズ(全長/全高/全幅) | 4,570 mm / 1,200 mm / 1,700 mm |
| ホイールベース | 2,800 mm |
| 車両重量 | 960 kg |
| ボディカラー | セルロース・シルバー |
| 生産台数 | 1台(ワンオフ) |

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歴史的背景:なぜ今、この車なのか?
1930年代のモータースポーツ界はナショナリズムと技術的野心が複雑に絡み合った時代でもあり、Auto Union(現在のアウディの前身)とメルセデス・ベンツは、まさに「矛と盾」のようなライバル関係にあったとされ、一方が記録を塗り替えれば、もう一方が数週間でそれを抜き返すという極限の競争状態に。
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そしてこの「Auto Union Lucca」は、アウディのスローガンである「Vorsprung durch Technik(技術による先進)」の原点とも言える存在で、メルセデス・ベンツに対する優位性を大いに示した歴史的存在。

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多数の新興メーカーが登場し、エレクトリックパワーをもって「創業間もない」自動車メーカーがギネス記録を連発する中、こうした「歴史的事実の物理的な再現」はブランドの真正性を証明する強力なコンテンツとなりうることは間違いなく、アウディはあえて、この失われた歴史のピースを物理的に復元することにより、デジタル時代におけるブランド価値を再定義しようとしているのだと考えられます。
加えて、アウディはいま「原点」に立ち返ろうとしており、さらには近代においてアウディのイメージを変革したTTの再来とも言えるべき存在を市場へと投入することで「アウディ独自のポジションを」取り戻そうとしているわけですね。
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結論:美しき速度の怪物が教える「エンジニアリングの本質」
そういった状況において、この「Auto Union Lucca」の復刻は「懐古趣味」によるものではなく、未来へと通じる道を切り開く行為そのものであるとも考えられ、たとえば復元の過程では「風洞実験や軽量化、高効率パワートレイン」といった、現代のBEV(電気自動車)開発にも通ずる「エンジニアリングの本質」を再確認する作業も含まれます。
そして空気抵抗係数(Cd値)0.43という、当時としては驚異的な数値を叩き出したこの美しい流線型マシンは、2026年7月のグッドウッドにてその咆哮を再び上げることになりますが、かつて「世界最速の公道レーシングカー」と呼ばれたその走りを(YouTubeで)見ることができる日を楽しみに待ちたいと思います。

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