| 入手したとしてもおそらくZ1を普通に乗ることは難しいだろう |
とにかくZ1はいろいろな意味で画期的なクルマだった
さて、ぼくが1990年代に欲しくてたまらなかったクルマ、BMW Z1がオークションへと登場予定。
あまりにレア、そして珍車の部類に入るのでご存知ではない方も多いかと思いますが、これは1989年から1991年にかけてわずか8,000台が製造されたクルマであり(発表時は35,000台の受注が入ったとされていた)、その名が示すとおりZ3やZ4、Z8など「Z」シリーズへの道を切り開いた元祖です。※当時BMWは、シリーズに関係なく、通し番号のように数字を使用しており、よってZシリーズの1番目ということでZ1だった
BMW Z1はこんなクルマ
このBMW Z1は見てのとおりオープンモデルであり、最大の特徴はBMW史上「Z1にしか装備されない」昇降式ドア。
ドアがサイドシルに格納されるかのように「下へ」スコンと収まるのですが(画像はドアが降りた状態)、いったいなぜこのような構造を採用しようと考えたのかは不明です。
なお、ボディパネルは熱可塑性樹脂(GE製)でできており、取り外しが可能で、40分で全ボディパネルの交換ができたと当時説明がなされています(これはこれで、今考えるとサステイナブルだった)。
参考までにですが、この時代には「復元力のあるパネルを用いて修理コストを最小限に抑えることができる」「パネル単位で簡単に交換でき、やはり高額な修理コストがかからない」といったクルマがいくつか登場していますね。
この個体のボディカラーはダークグリーン、内装はライトタン、トップはブラックという仕様を持ち、比較的「よくある」仕様のひとつ。
なお、走行距離はなんと61kmにとどまるそうですが、機械的な保証はなく、ボディパネルの一部には摩耗が見られる、とのこと。
BMW Z1はいろいろなところが画期的だった
このBMW Z1にはデザイン的な見どころが多く、フロントだとキドニーグリルの外側にもグリルがある「ダブルキドニー」。
これは1960年代のBMW 1500にも見られたもので、こっそりここでリバイバルしていたわけですね。
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Z1のロゴもなかなか秀逸(アルファベットと数字とば繋がるデザインは、BMWだと他に例を見ないと思う)。
chinaminiZは「Zukunft」、つまりドイツ語で「未来」を意味します。
ドアミラーはコンセプトカーばりに「Aピラーマウント」。
なお、車両の開発責任者はのちにポルシェで993世代の911を開発し、その後アストンマーティンに移ってヴァンテージをヒットさせたウルリッヒ・ベッツ氏。
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搭載されるエンジンは2.5リッター直6で、パワートレイン全体はE30世代の325iからの移植です。
反面、リアサスペンションは援用設計となる「Zアクスル(マルチリンク)」。
参考までに、エキゾーストシステムのタイコ部分はディフューザー形状を持っており、これによってエアロダイナミクスを向上させています(今でも一部のBMWはタイコをフラットフロアの一部として機能させている)。
ステアリングホイール、ダッシュボードの構造も非常に独特。
シートもかなり独特。
なお、見てのとおりサイドシルはかなり高くなっているので(そのぶん衝突安全性も高い)文字通り「敷居が高く」、乗降がちょっと困難です(愛情があればカバーできる範囲ではあるものの、助手席に乗る人にとってはそう言ってられないかも)。
シフトノブを見て気づく人も居るかと思いますが、この形状現代のM3やM4はじめBMWのマニュアル・トランスミッション車と同じもので、つまりBMWのシフトノブはこの時代から進歩していないということを意味します(なので、現在のシフトノブのデザインは現行モデルの内装にまったくマッチしていない)。
これはつまり、BMWが「マニュアル・トランスミッションにビタイチ資本を投じるつもりはない」ということを意味しており、BMWのMTが「首の皮一枚」で繋がっているということを意味します。
さらに参考までに、こちらが現行M4のシフトノブ(マニュアル)。
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