BMWの開発担当者がなぜZ4にMモデルが設定されないのかを語る。「会社の偉い財務担当の人が、投じた資金を回収できないからとGOサインを出してくれなかったんです」

｜　BMWとしてはライバル不在でも規模が小さなオープンスポーツ市場より、ライバルが多数いても規模の大きなSUV市場を狙ったのだろう　｜

たしかにこの選択肢は「十分に理解できる」ものではあるが

さて、BMWにてZ4プロジェクトを率いる人物がじきじきに「なぜZ4のMバージョンが市場投入されないのか」ということについて言及。

BMWはZ3、そして初代Z4にて「Mバージョン」を投入していますが、二代目Z4（2018～）ではついぞMモデルが設定されず、それは現行モデルのZ4に至っても同じです。

Z4はBMWが誇るオープンスポーツであり、ここにMモデルを投入することは同社のスポーツイメージを向上させることになると思われるのですが、なぜこれが実現されないのかを見てみましょう。

単純にBMW Z4のMバージョンには「市場がない」

BMW Blogによると、Z4プロジェクトの責任者はミハエル・ウィンベックなる人物だそうで、同氏によればZ4 Mが実現しなかったのは「生産へのゴーサインが出なかったから」。

同氏率いるチームは、Z4 Mを製造するというアイデアを考え、もちろん同社のエンジニアもそれを強く望んでいそうですが、残念ながら財務担当者が「そのようなモデルは少量しか売れない可能性が高いため、ビジネスとして承認できるものではない」という判断を下したのだそう。

現行Z4は美しいスタイリング、そしてなによりもオープントップという魅力を持っており、これに（M3やM4に積まれる）3リッター直6「S58」を搭載すれば素晴らしいスポーツカーになったであろうことは間違いなく、そしてB58（直6ターボ）を積むZ4 M40iが存在することからもS58の搭載はそれほど大掛かりな改修を要するとは考えられず、しかしそれでもBMWが「売れない」と判断したのにはそれなりの理由があったのだと思われます。

オープンスポーツ市場そのものが「縮小傾向」に

ちなみに現在BMW「M」部門は非常に好調だとされ、しかしメルセデス・ベンツ「AMG」、アルファロメオ「クアドリフォリオ」、アウディ「RS」に比較すると全体に占める販売比率がまだ高くはなく、であればその比率を高め、かつライバルに先行することを考慮するならば、メルセデスAMG、アルファロメオ、そしてアウディ（RS）が持たないオープンスポーツを追加することにも大きな意義があるんじゃないかと考えたり。

ただ、メルセデス・ベンツは「SLC」そのものを販売終了させたり、アウディもTT RS ロードスターの販売を終了させており、かつ肝心のZ4そのものの販売も好ましくはないそうなので、オープンスポーツ市場はそのパフォーマンスにかかわらず”縮小傾向”にあるのかもしれませんね。

そしてBMWは、「規模の小さなオープンスポーツ市場にハイパフォーマンスモデルを投入するよりも、たとえ競合ひしめく状態であっっても、市場規模の大きなSUV市場へとハイパフォーマンスモデルを投入したほうが、資金を回収できる可能性が高い」と考えた可能性もありそうです。

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参照：BMW Blog