
電気自動車販売(EV)の調子が良ければガソリン車の排気量が大きくても大丈夫な理由とは
BMWは「EVを売れば売るほど」大排気量エンジンをより多く生産できる
駆けぬける歓び(Sheer Driving Pleasure)を掲げ、エモーショナルな内燃機関で多くのファンを魅了してきたBMW。
近年、急速に電気自動車(EV)へ注力する姿に対して「BMWらしさが失われるのでは」と不安を感じていたファンも少なくはないかもしれません。
しかし実は、BMWがEVの販売を推進することこそが、伝統ある高出力V8エンジンの未来を守るための重要な鍵となっているといい、なぜEVの好調がV8エンジンの延命につながるのか、BMWが掲げるパワートレイン戦略の真意について考えてみましょう。
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この記事の要約
- BMWの電気自動車(EV)の好調な販売が、高出力なV8ガソリンエンジンをラインナップに引き伸ばして残留させる鍵となっている
- 欧州やオーストラリア等で導入される企業別平均CO2排出量(フリート排出量)規制において、EVの販売割合が増えることでV8搭載モデルの排出枠を相殺することが可能になる
- BMWは「Power of Choice」を掲げ、ガソリン、ディーゼル、PHEV、EV、さらには水素燃料電池車までを見据えた多様な選択肢を今後も提供する方針である

BMWの「EV普及とV8存続」の両立戦略
BMWグループ・オーストラリアの代表であるヴィクラム・パワ(Vikram Pawah)氏が語った内容によると、同市場における2025年のBMWの販売台数のうち、約20%がEVにて占められている、とのこと。
世界各国で導入が進む最新の排出ガス規制では、自動車メーカー全体で販売した車両の平均CO2排出量を算出する「フリート平均排出量規制」が適用される場合が少なくはなく、つまり、ゼロエミッションであるEVを一定数以上販売して平均値を大幅に引き下げることができれば、その分だけCO2排出量の多い高パフォーマンスなV8エンジン搭載車をラインナップに残し、販売を継続する余地が生まれるというわけですね。

スペックとパワートレイン戦略「Power of Choice」
BMWは約10年前から「Power of Choice(選択する力)」という独自開発アプローチを提言しており、これは単一のパワートレインに依存せず、同一のプラットフォームや柔軟な製造ラインを活用して多角的なパワートレインを提供する技術中立の考え方で、現在および今後のBMWが展開するパワートレイン体系の概要は以下の通り。
| パワートレイン形式 | 特徴および戦略的位置づけ |
| EV(電気自動車) | ブランド全体の平均CO2排出量を大幅に引き下げ、規制クリアに貢献 |
| V8 / 直列6気筒 ガソリン | 排出ガス規制に適合する次世代型を開発し、2030年代以降も生産継続 |
| PHEV(プラグインハイブリッド) | 日常の環境性能と長距離走行時のパフォーマンスを両立 |
| FCEV(水素燃料電池車) | iX5 Hydrogen等による実地検証を重ね、将来的な選択肢として投資 |
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BMW AG取締役(開発担当)のヨアヒム・ポスト(Joachim Post)氏も次世代の内燃機関ユニットが将来の厳しいエミッション規制に適合するよう設計されていることを明かしており、直列6気筒やV8、さらにはV12エンジンに至るまで、来世代以降も生産を続けていく計画を保持しています(エミッション規制に適合することとフリート平均排出量規制とは別の話であり、エミッション規制に適用していようともCO2を排出する限りは平均排出量規制による縛りを受けるので、販売台数におけるEV比率を向上させねばならない)。

他メーカーとの比較と市場での位置付け
EVへの全振りから舵を切り直し、内燃機関への再投資を行う「マルチパワートレイン」的な動きは現在の自動車業界においてひとつの主流となっていて、米ゼネラルモーターズ(GM)もV8エンジンの製造・維持に向けた巨額投資を発表するなど、世界の自動車産業においてV8のような大排気量エンジンの価値が再評価されているというのがいま現在(ただし欧州の大衆車ブランド、たとえばルノーやプジョー、シトロエンやフィアットは電動化中心の戦略である)。
一時期多くのメーカーが宣言した「完全電動化(あるいはEV)への一本化」に対し、BMWは柔軟に史上で需要の変化や各国の規制へ対応できる体制を維持してきたという現実があり、EVと大排気量ハイパフォーマンスカーの双方を成立させるアプローチはプレミアムブランド市場において極めて現実的かつ強固な強みとなっています。
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結論
「EVを売ることは、V8を守ることに繋がる」――一見反するような2つの要素は、BMWの緻密なフリート戦略と「Power of Choice」の理念によって完璧なバランスで共存しています。
規制への対応と走る歓びの追求を両立させるBMWのマルチパワートレイン戦略は、内燃機関の熱狂的なファンにとっても、持続可能なモビリティを求めるユーザーにとっても非常に頼もしい選択肢であり続けることが証明されており、今後もこの両輪がうまく機能することを願わんばかりでもありますね。
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参照:Car Sales











