| 2019年にヴィジョンMネクストではなくSUVの発売を決定したことが今でも悔やまれる |
BMWはやはりライバルに対抗する意味でも、そしてモータースポーツイメージ強化の意味においてもスーパースポーツを発売すべき
さて、アウディやメルセデス・ベンツといったライバルとは異なり、専用設計のスポーツカーやスーパーカーを持たないBMW。
100周年記念の折にもスポーツカーではなく自動運転車を発表したり、M社50周年の際にはSUVを発表していて、一向にスーパースポーツが登場する気配がない、というのが現状です。
ただしBMWおよびMはもう何年も前から「専用設計のスーパーカーを発売したい」という意向を持っており、多くの重役がその旨の発言を行っているのもまた事実。
ちなみにM社50周年の際にSUV(XM)を発表したのは、他社に比較して「高級でパワフルなSUV」のラインアップが欠けていたこと、世の中はSUVに目が行っていて、そのためブランドのプレゼンスを高めるにはSUVが最適であると判断したということが語られています。
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BMW M社のCEOはかく語る
そして今回、BMW M社CEOであるフランク・ファン・ミール氏がカーメディアに語ったのが「スーパースポーツは常に視野に入っている」ということ。
同氏によれば「”自動車メーカーとして”として、私たちは常にそのようなクルマを作ることを夢見ています。作るということではなく、そのようなアイデアを探求し続けているのです。そしてどうすれば(それが)うまくいくのかを、いつも考えているのです」。
にもかかわらずXMが発表されスーパースポーツが作られなかったのは「スーパースポーツが常に2番め(以降)」だったからということになりますが、この2番めがなかなか実現しない、ということになりそうですね。
BMWのスーパースポーツはこんな歴史をたどっている
BMWのスーパースポーツの歴史は1978年〜1981年まで発売されていたM専用ミドシップスーパーカー「M1」からはじまり、この販売が終了した後、BMWは専用設計のスーパースポーツを持たない状態が続いています。
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なお、その後BMWはイタルデザインとの共同プロジェクトによって「NAZCA (ナスカ)M12(1991年、ジュネーブ・モーターショーにて発表)」、「C2クーペ(1992年、東京モーターショーにて発表)」、「C2スパイダー(1993年、モナコF1GPにて発表)」といった一連のミドシップスポーツ(コンセプトカー)を発表していますが、これらはいずれも発売に至らず。
理由は不明ではあるものの、時期的なものを考慮するに世界的なリセッション(景気後退)が理由だったのかもしれません。
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さらに専用設計スーパースポーツ不在の時代が続き、BMWは2018年に8シリーズを復活させるものの、この際には「8シリーズはスーパースポーツ並みの性能を誇るので、別途スーパーカーを作る必要はない」というコメントも。
参考までに、2013年にはミドシップ+ハイブリッドというパッケージングのi8が誕生していますが、BMW自身が「i8はスポーツカーではなくサステイナブルなクルマ」と表現しているので(そのためMモデルも登場していない)、これはスーパースポーツに含めることはできないと考えています。
そして2019年にはついにスーパースポーツ復活の狼煙として「ヴィジョンMネクスト」がコンセプトカーとして発表され、「反響次第では発売」と報じられ、しかしBMWはM社50周年の目玉として、このヴィジョンMネクストではなくXMを選択した、ということになりますね。
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ただしBMWはこのままでは終わらない?
そういった流れのまま推移しているのが現在ではありますが、ちょっと前とは異なって現在はスーパーカーに対する要望が非常に高く、さらには「ガソリンエンジンが終わってしまう前に」ピュアなスポーツカー、とくにマニュアル・トランスミッションに対する渇望が市場に存在すると考えてよく、仮に今、BMWが「M社の50周年記念モデル」を計画していたならば、それはスポーツカーとなっていたかもしれません。
さらにですが、BMWはIMSAそしてル・マン24時間レース含むWECに参戦することになり、このイメージを活用するためにもスーパースポーツのプライオリティが上昇している可能性もあるんじゃないかとぼくは考えているわけですね(近年のF1含むモータースポーツ人気とスポーツカー人気の同時多発的な高まりは偶然ではないと思う)。
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そしてもう何年も前から出ているBMWとマクラーレンとの提携、それによるスーパースポーツの発売があるとすればもう「今」しかなく、BMWがスーパースポーツを開発するためのお膳立ては整った、とも認識しています(ただ、ちょっと時期が遅すぎたようには思う)。
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参照:Autocar