| その答えはあまりにシンプル、そして理解ができるものであったが、一方でこの回答を聞きたくなかったような気もする |
BMW Mはそこまで日和るべきではなかったのかも
さて、BMWは「M社」の50周年記念たる今年に”M専売モデル”を発表するとし、しかしリリースされたのはSUVボディを持つ「XM」。
M社の前身は1972年に設立されたBMWモータースポーツ社であり、その設立の目的が高性能な市販車の開発や、モータースポーツ向け車両の開発や製造・販売であったこと、そして現在においてもM社は同様の認識を一般になされていることをを考慮すると、この「XM」を50周年記念モデルとして発表するのはやや奇異にも思えます。
ただ、これには(当然ながら)ちゃんとした理由があるようで、今回BMW M社のCEO、フランク・ファン・ミール氏がその意図についてカーメディアへと語ることに。
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BMWはハイパフォーマンスSUVセグメントでその存在感を欠いていた
フランク・ファン・ミールCEOによると、M社50周年のための記念モデルとしてXMが選ばれたのは「現在、もっとも市場や消費者、もちろんBMWにとっても重要なのはSUVだから」。
なお、BMW M社「初」の市販モデルは言うまでもなく1978年のM1ですが、そのM1が発売された時代だと、自動車メーカーが「我々は特別な技術や商品を持っている」とアピールするためにこぞって作ったのが「スーパーカー」だったといい、そのためにBMW M社がその存在感を強めるために作ったのもまたスーパーカーであるM1。
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ただし現代において「どの自動車メーカーもが参入したいと考えるセグメント」はもはやスーパーカーではなく高級SUVだといい、そしてBMWにとって不足していたのがラグジュアリー・フラッグシップSUV。
かくしてBMWは「M」の力を借りてその不足しているパズルのピースを埋めることになり、メルセデスAMG G63、ランボルギーニ・ウルス、アストンマーティンDBX、ベントレー・ベンテイガ等のライバルを作り上げたということになります。
BMWそしてBMW Mにとって欠けていたのは、「他社にはあるがBMWにはない」表現力の豊かなラグジュアリーSUVであり、成熟しつつある高級SUV市場において顧客が求めるのもまた個性的なSUVだと認識していたということになりますが、そこでBMWの用意した回答がXMだというわけですね。
たしかにBMW M社の考えも理解できるが
なお、BMW M社のこういった考えも理解でき、商業的に正しいのはXMかもしれず、しかしやっぱりちょっとだけ寂しいような気がしないでもありません。
そしてぼくが思うのは、そのブランドの価値を向上させようと考えるのであれば、「売れ筋」を作るより、売れなくても「スポーツカーやスーパーカー」を作ることだと考えていて、そうすることによってその自動車メーカーが「自動車をお金儲けの道具として捉えているのではなく、楽しい自動車を作ろうとしていることが伝わってくる」とも認識しているから。
これを実践したのがまさにトヨタですが、豊田章男社長の代になってからスポーツカーに注力するようになり、それによって「なんかトヨタは変わったな」「豊田章男社長率いるトヨタのクルマだからきっといいクルマに違いない」と人々が考えるようになったと思うのですね。
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そのほか、日産においても、ビジネス的に正しい選択は「ピュアエレクトリックで、人気カテゴリであるSUVの」アリアかもしれませんが、それでも実際に発表してみて話題が集まるのはフェアレディZのほう。
もちろん話題=売れるというわけではないので、フェアレディZ単体で見るとビジネス的に成功するとは考えてはいないものの、重要なのは「フェアレディZのようなクルマを作る会社は、ほかにもいいクルマを作ってくれそうだ」と人々が認識することであり、それは売れ筋商品ばかりを作ることでは成し遂げることができないだろう、とも考えています。
BMWは過去にスーパースポーツを作るという計画もあったが
ただ、BMWもそれを理解していたのだとも考えられ、だからこそ何度かスーパースポーツを作るというウワサや、マクラーレンとの共同開発でスーパーカーをリリースするというウワサが出てきたり、さらに実際に「ヴィジョンMネクスト」を発表したりしたのだと思いますが、やはり社内にて検討を行った結果、「優先すべきは」スポーツカーではなくSUVという結果になったのでしょうね。
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参考までに、インスタグラムやYoutube、TikTok等のSNSにて最も検索されるのはSUVではなくスポーツカーである場合が多く、これもやはり多くの人のスポーツカーに対する興味を示しているのかもしれません(繰り返しになるが、だからといってスポーツカーが売れるわけではない。あくまでも現代におけるスポーツカーとは実利を求めるものではなく、イメージ戦略における広告の一つだと捉えている)。
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参照:Autoblog