| これもまた「必要な変革」であり、ぼくらは生き残るために必要な道を探し、スキルを身に着けなばならない |
単純作業、機械的作業はAIに取って代わられるだろうが、思考作業、創造的作業はまだまだ人間にしかできない
さて、昨今話題のAIにつき、自動車産業においても設計やデザイン、そして製造現場に取り入れることによって「より効率的な」そして「よりクリエイティブな」業務ができるようになっていると言われ、多くの自動車メーカーがその実例を公開しています。
今回紹介するのは「BMWの製造現場におけるAIの活用事例」ですが、BMWはすでにデザインプロセスにおいてAIを取り入れていることを明かしていて、これによって多くのデザイナーにインスピレーションを与えている、とも報じられていますね。
-
BMWもAIをデザイン制作プロセスに導入したもよう。「しかしAIは既存の画像を合成するだけなので、結局はどこかで見たことがあるようなものになってしまいます」
| ただ、やがてはAIが人間の思いつかないようなデザインを作り出す時代が来るだろう | しばしそれまでは「人間の補佐」にとどめておくのがベターなのかもしれない さて、ここ最近なにかとデザインについて語 ...
続きを見る
BMWは品質管理にAIを導入
今回BMWが「AIを導入した」と発表したのは米国サウスカロライナ州スパータンバーグにある工場においてであり、ここ数年かけ、AI機能を取り入れるために工場全体をアップグレードしてきたと報じられています。
この車体工場では、ラインを流れるSUVのフレームに対し、ロボットが300~400個の金属スタッドを溶接しているそうですが、現在ここでAIが担っている役割が「品質管理」。
具体的にはこれらのスタッドが正しく配置されているかどうかをAIが検査・チェックしているとのことで、BMWグループ・マネージャーのカーティス・ティングル氏によると、AIがスタッドの配置ミスを検出した場合、このAIが自動的にロボットに修正を行うよう指示するといい、このシステムのおかげでBMWは6人の作業員をラインから削減し他の仕事に配置転換することができたのだそう(もともと何人がいたのかは語られていない)。
つまりこれは「AIが人から仕事を奪った」一例ということになり、しかしBMWはこれによってすでに年間100万ドル以上を節約することが可能になった、ともコメントしています。
「AIは人間の5倍優秀」
カーティス・ティングル氏はさらに「AIは人間の思考や手作業を方程式から直接排除します。私たちは、AIの助けを借り、私たちが以前可能だと考えていたことの5倍を達成しています」と語り、つまりAIは人間の持つ不確実性という要素を完全に排除することで効率化を(5倍早く)達成している、とも考えていいのかも。
ちなみにひとくちに「AI」といっても色々な種類や活用方法がありますが、もともと人間が行っていた機械的作業つまり定型業務はAIによって完全に互換が可能であり、しかし思考業務についてはまだまだAIが人間の代わりを務めることはできず(ただし補助することで人間の作業を効率的にはできる)、人間としてはクリエイティブな作業へと特化するしか生き残る道がないのかもしれません。
そのほか、BMWは検査プロセスの改善にもAIを導入していると説明しており、BMWのITプロジェクト・リーダーであるカミーユ・ロバーツ氏によると、生産ラインのフロアには26台のカメラが設置され、車両がラインを移動する様子を撮影しているそうですが、AIがこれらの写真を分析し、人間の作業員が修正する必要があるのかどうかを判断するのだそう(そしてAIに指示されて人間が修正を行うことになるのだと思う)。
-
トヨタもカーデザインにAIを導入。「未来的」「空力優先」などプロンプトを入力することでデザイン候補が示され、デザインプロセスを大幅に短縮可能に【動画】
| 自動車メーカー各社ともデザインや設計にAIを積極導入、ただしその活用方法は微妙に異なる | AIはまだまだ発展途上であり、今後は思いもよらない活用方法が見つかるかも さて、アウディやBMW、日産が ...
続きを見る
さらに現場の作業員は「工場スキャナ装置(スキャニング・デバイス)」なるものを装着し、工場の隅々までスキャン画像を撮影することになるそうですが、これらの画像は工場のデジタル・ツインを作成する(つまり本物とそっくり同じ工場をバーチャル空間に作り上げる)ために使用され、BMWは生産効率を向上させるために加えたい変更を、現実世界で実際に実施する前にバーチャルな世界でテストすることが可能となる、と説明しています。
なお、このスキャニング・デバイスを使用した工場のスキャニング・プロセスは数ヶ月から数日で完了するといい、結構短期間にて工場の「バーチャルクローン」が出来上がるようですね。
あわせて読みたい、AI関連投稿
-
アウディがホイールの設計にAIを導入し「デザイン手法を再発明した」と発表!AIがデザイナーに無限のパターンを提供し、デザイナーはそれをAIと対話しつつも最終形へ
| 製品のデザイン、設計の現場はどんどん変わってゆく | 今後は車体デザインにもAIが導入されることになるのかもしれない さて、アウディがホイールのデザインにおける「再発明をなしとげた」というプレスリ ...
続きを見る
-
VWが他社がなし得なかった方法で「EVを軽く、強く、安全に」作ることができる新素材、耐荷重複合材料(コンポジットマトリックス)を開発。そのカギはAIにあった
| フォルクスワーゲンは新型バッテリーの導入にも言及し、ここから大きく巻き返しを図ることになりそうだ | すでに内外装デザインの変更含め、EV刷新計画が始まっている さて、「フォルクスワーゲンが、BM ...
続きを見る
-
日産もAIの活用を本格化!従来の方法では計算に時間のかかった空力学に応用するほか、そもそもどうAIを役に立てることができるかの研究も
| まだまだAIの活用ははじまったばかり。どう使うかによってその結果が大きく左右される | AIの普及によって一部の職は失われるだろうが、逆に「AIを使う人」「AIを検証する人」といった職種も誕生 さ ...
続きを見る