ニュル最速、そしてメルセデスAMG最強モデル「AMGT GTブラックシリーズ」の生産が終了したもよう。わずか1700台強が作られたのみ、今後の価格高騰は間違いない

｜　メルセデス・ベンツはコレクターから愛されるブランドだけにAMG GT ブラックシリーズもコレクターズアイテム化するだろう　｜

なぜ生産がこれほど早く終了したのかはわかっていない

さて、メルセデス・ベンツ専門ブログ「MBパッション」によると、メルセデスAMG GTブラックシリーズの生産が終了した、とのこと。

メルセデスAMG GTブラックシリーズは「サーキットでのパフォーマンスを妥協なく追求した」AMG GTシリーズの最高峰であり、それまでのトップレンジであったAMG GT Rの585馬力から一気に720馬力にまで出力が向上しています。

その価格はもハンパなく、AMG GT Rの2453万円に比較して4630万円という設定を持っていて、発表当初にはとくに限定台数が明言されていたわけではないと記憶していますが、トータルで1700台あまりが生産されたと報じられています。

メルセデスAMG GTブラックシリーズは「単にパワーアップしたAMG GTではない」

そもそもこの「ブラックシリーズ」自体がAMGにおける「究極」のモデルという位置づけではあるものの、このAMG GTブラックシリーズについてはAMG GT3やAMG GT4などのレーシングカーから移植されたパーツが多く見られ、搭載される4リッターV8ツインターボエンジンにはフラットプレーンクランクが採用されています。

このV8ツインターボエンジンに組み合わせられるトランスミッションは、高トルクに耐えうるよう強化が施された7速デュアルクラッチ、駆動輪は後輪のみ。

これによってメルセデスAMG GTブラックシリーズの0-100km/h加速は3.2秒、0-200km/h加速は9秒以下、最高速度は325km/hをマークします。

なお、AMG GT Rの0-100km/h加速は3.6秒、最高速は318km/hなのでパフォーマンスは大きく向上しているということになりますが、最高速が思いのほか伸びていないのは「ギアレシオが加速重視」「ダウンフォースの強化で最高速が抑えられている」からだと思われます（リアウイングは最大で20度まで角度調整ができる）。

足回りにはAMG GT R同様にアダプティブダンパーを採用しており、アンチロールバー、キャンバーの調整も（手動にて）可能となっているほか、パワーアップに対応する形でボディも強化され、カーボン製のパネルやトンネルクロスバーもボディ裏に追加。

ストッピングパワー増加にも抜かり無く、ブレーキローターはカーボンセラミックに、そしてブレーキパッドは「レーススペック」が採用されています。

メルセデスAMG GT ブラックシリーズは現在ニュルブルクリンクで「もっとも速い市販車」

ただ、メルセデスAMG GTブラックシリーズを最も有名にしたのはそういったスペックではなく、「ニュルブルクリンクを最も速く走った市販車」となったこと。

それまでニュルブルクリンクのトップは長らくミドシップや4WDによって占められており、FR車だとラップタイムのトップ10はおろか、トップ20にわずか2台が入るのみ。

そういった状況において、FRレイアウトを採用するメルセデスAMG ブラックシリーズが首位を獲得する意味は非常に大きく、パッケージングの不利をはねのけてなしとげた偉業にはただただ敬服するばかりです。

なお、今回メルセデスAMG GT ブラックシリーズの生産が終了した理由については報道がなされておらず、実際に生産が終了したのかどうかまでを含めて事実関係は不透明。

本当に生産が終了したとすると、予定生産台数に達したのか、もしくは新型メルセデスAMG SLを生産するためにラインを再整備する必要があり、メルセデスAMG GT全体の生産が終了したかの「どちらか」だと思われ、しかし時期的なことを考えると後者なのかもしれません。

参考までに、メルセデスAMG GT ブラックシリーズは2020年秋に発表されており、生産は早くとも2020年末、そして通常だと2021年から開始されていると思われ、となるとその生産期間はわずか1年程度の短命なモデルということになります（これまでの例を見るに、ブラックシリーズはいずれのモデルにおいても、その末期に登場している）。

合わせて読みたい、メルセデスAMG GT関連投稿

参照：MB Passion