| まさか本当にSUV最強の出力を達成するとは思わなかった |
今後はニュルブルクリンクにてポルシェ・カイエン・ターボGTの記録に挑戦する可能性も示唆
さて、アストンマーティンがかねてよりティーザーキャンペーンを行っていたDBXの新バリエーション、「DBX707」を発表。
これは文字通り707馬力を発生するホットバージョンということになり、ポルシェ・カイエン・ターボGTの640馬力、カイエン・ターボS Eハイブリッド・クーペの680馬力を「軽く」超える数字です。
アストンマーティンCEO、トビアス・メアース氏によると「DBX707は、あらゆる分野で限界に挑戦し、性能と魅力の新しい基準を打ち立てるクルマです。ラグジュアリーSUVの中で最も速く、最もパワフルで、最もハンドリングが良く、最も魅力的であり、アストンマーティンをSUV界の頂点に押し上げることになります」とのこと。
アストンマーティンDBX707は全域に渡ってアップグレード
搭載されるエンジンはおなじみメルセデスAMG製の4リッターV8ツインターボですが、707馬力を達成するために新しいボールベアリング式ターボチャージャーを2基装備し、エンジンのキャリブレーションを行ったほか、新設計の4本出のアクティブエキゾーストシステムを搭載することに。
そしてアストンマーティンDBX707は「パワーがあるだけ」のSUVではなく、マニュアルモードを備え、シフトスピードを早めた9速トランスミッション(AT)を新しく搭載し、最終減速比を3:27へと短縮することで鋭い加速を実現しています。
駆動方式はもちろん4WD、しかしリアアクスルに搭載される電制デフも新しくなり、より「コーナーでは曲がりやすくなった」とのこと。
このパワーを受け止めるべく車体には補強がなされ、エアサスペンションのスプリングそしてダンパーが見直されることで車体のロールを減少させることで安定性を確保(トリプルボリュームエアチャンバーはそのまま維持)。
加えてeARC(エレクトロニック・アクティブ・ロール・コントロール)をアップデートすることで姿勢制御をより高いレベルに引き上げている、と紹介されています。
強大なパワーに対応すべくブレーキディスクはカーボンセラミック(フロント420ミリ、リア390ミリ)、ブレーキキャリパーは6ポッド、ホイールサイズは22インチへ(デザインは”スポーツ”と”リボン”の2種類があり、オプションで23インチも選択可能)。
なお、このブレーキ系によって40.5kgの軽量化を達成しているといい、ブレーキシステムの油圧サイジングとブースターのチューニングを見直すことでペダルフィールとブレーキレスポンスを向上させているのだそう。
アストンマーティンDBX707には高度なローンチコントロール機能が備わり、この「レース・スタート」を使用すれば4000回転をキープしたままDBX707を発進させることができ、0-100km/h加速はわずかに3.3秒。
この3.3秒というのはポルシェ・カイエン・ターボGTとまったく同じタイムであり、ランボルギーニ・ウルスの3.6秒をもしのぐ「SUV最速クラス」です(テスラ・モデルXにはかなわない)。
アストンマーティンCEO、トビアス・メアース氏によると、DBX707は「カイエン・ターボGTがベンチマーク」だと語っており、ニュルブルクリンクにおいて7分38秒9秒、つまりカイエン・ターボGTが持つ「SUV最速」を更新することになるかもしれない(できるできないはまた別の話でもある)、とのこと。
加えて、同社の車両エンジニアリング責任者、ドラモンド・ジャコイ氏は「究極のSUVを作ることは、私たちエンジニアリングチームにとって手強い挑戦でした。このクラスのクルマは、しばしば力強さへの執着で特徴づけられています。DBX707で私たちが目指したのは、圧倒的なパフォーマンスと完璧なコントロール性能、そしてアストンマーティンの全モデルに共通する本物のスポーツ性を両立させることでした。そのために、私たちはクルマのあらゆる部分に妥協のないアプローチを施しました。エンジン、トランスミッション、サスペンション、ブレーキ、電子制御システム、エアロダイナミクスなど、すべての領域で徹底的な改良と綿密なチューニングが施されています。その結果、新しいスタンダードを確立し、DBXをこのクラスのライバルからさらに差別化することができたのです」と自信を見せ、パワーのみを誇るだけのいくつかのSUVに対してクギを刺しているもよう。
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アストンマーティンDBXの外観もアップグレード
もちろん外観においても標準のDBXとは大きく差別化が図られており、大きなベーングリル(魚眼レンズで拡大された状態を見ているような錯覚を覚える)、新形状のLEDデイタイムランニングランプ、冷却のために大きく口を開けたフロントバンパーなどはDBX707の識別点。
なお、スラット(桟)も新しくなって「ダブルベーン」に。
リアだとディフューザーの大型化、クワッドエキゾーストパイプが目立つところですね。
ボディ各部にはカーボンファイバー多数。
なお、DBX707では「ラグジュアリーさ」を押し出すため、ソフトクロージングドアを採用している、とのこと。
エンブレムは「ブラック」。
これにかかわらず、外観の多くはダーククローム、そしてダークサテン仕上げを持っています。
そのほかだとダークサテンクロームフロントグリル、グロスブラックスプリッター、グロスブラックサイドシル、ダークサテンクロームウィンドウ、ルーバー付きボンネットブレード等が外観上の特徴として紹介されています。
なお、リアビューは一層特徴的で、ルーフウイングに加えて「リップスポイラー」が追加され、これらによって高速走行時の安定性と揚力を向上させています。
アストンマーティンのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるマレク・ライヒマン氏によれば、そのデザインは「ダイナミックな優位性から来る自信を表現することです。そのため、私たちはDBX707が最高性能のモデルであると一目でわかるようなデザインに集中しました。グリル開口部の拡大、リアスポイラー、オプションの23インチホイールなど、機能面はもちろんですが、サイドシルやリアバンパーなど、DBX707の圧倒的なパフォーマンスを、よりアグレッシブなスタンスと筋肉質な造形によって表現しています。その結果、ピュアなラインと完璧なプロポーションへのこだわりを持ちながら、力強さを感じさせるデザインに仕上がりました。DBX707は、真のパフォーマンス・ビーストでありながら、アストンマーティンのDNAに期待される美しさとエレガンスを兼ね備えているのです」。
アストンマーティンDBX707のインテリアはこうなっている
そしてアストンマーティンDBX707のインテリアも(エクステリア同様)ラグジュアリーそしてスポーティな仕上げを持っていて、スポーツシートが標準装備され、(コンフォートシートは無償オプション)いずれのシートにも16ウェイ電動調整機構が備わります。
シートの張り材および内装のマテリアルについて、レザーとアルカンターラとの組み合わせを持つ「アクセラレート」、ヘッドレストにアストンマーティンのウィングエンブレム刺繍、シート中央のコントラストストライプ、シートバックとベースクッションのパーフォレーション(穴あき)パターンが入るフルセミアニリンレザーの「コンフォート」、そして「インスパイアスポーツ」の3種類から選択することが可能です。
そして各スイッチ類もダーククローム仕上げとなっており、「ブライトクローム」と「カーボンファイバー」はオプション扱い。
各パネルのピアノブラックは「標準」、そしてカーボンファイバーやブロンズメタルメッシュも用意されている、とのこと。
もちろん、こういった豊富な選択肢でも「足りない」という人は、アストンマーティンのパーソナリゼーションプログラム「Q」を活用してさらなる多様性を追求することもでき、究極のカスタマイズが可能だとされています。
なお、このアストンマーティンDBX707の納車は2022年第1四半期を予定しているといい、価格については米国だと23万2000ドルからを予定している、とのこと。
アストンマーティンDBX707を紹介する動画はこちら
参照:Aston Martin