| どんな細かいところに至るまでもカスタムが施され、これは作る方も楽しかったんじゃなかろうか |
好き嫌いは分かれるだろうが、もっとも手間がかかったマクラーレンであることは誰もが認めざるを得ないだろう
さて、マクラーレンは12台のみ「メルセデス・マクラーレン SLR HDK(High Downforce Kit)」を製造していますが、これはメルセデス・ベンツSLRマクラーレン722GTにインスパイアされたロードカー。
そしてそのメルセデス・ベンツSLRマクラーレン722GTは、2006年に発表されたメルセデス・ベンツSLRマクラーレンのハイパフォーマンス版「722エディション」をベースにレイ・マロック社が当時21台のみ製造したレーシングカーで、「722」とは馬力ではなく(メルセデス・ベンツSLRマクラーレンのインスパイア元となった)300SLRが1955年のミッレミリアにて優勝した際のスタート時刻を示した数字を示します(7時22分。ドライバーはスターリング・モス)。
「どうして今になって」マクラーレンがこのSLR HDKを製造しようと考えたのかはわからないものの、一昨年辺りからマクラーレンはこのクルマの製造(というかレストモッドというか)を開始しており、722GT同様の過激なフロントリップ、フロントフェンダーエクステンション、サイドステップ、リアフェンダー、リアウイングを装着したロードカーに仕立て上げているわけですね。※現在、製造が完了した車両から納車が行われている
この「戦闘機風」メルセデス・マクラーレン SLR HDKはこんな仕様を持っている
そこで今回Youtube上に公開されているメルセデス・マクラーレン SLR HDKは「奇想天外な」仕様を持っており、見ての通り(レシプロエンジンを積んだ)戦闘機風。
P-51マスタング戦闘機っぽいカラーリングを持つようにも見えますが、これはオーストラリアのコレクターがマクラーレンにオーダーしたものだとされ、つまりはマクラーレンがこのペイントを施したということに。
このペイントは細部に至るまでとことんこだわっており、フロントの「口」のあたりはかなり入り組んだ構造を持つにも関わらず、巧みに塗り分けがなされているようですね。
そしてノーズはイエローに、さらにメルセデス・ベンツのスリーポインテッドスターの「端」はイエローにペイントされていて、これはおそらくプロペラを意識したんじゃないかと思います。
ボディパネルは「リベット風」にペイントがなされ(本物のリベットではなく、だまし絵のような感じ)、しかもリベット周辺やパネルには”ウェザリング”。
ラウンデル風のマークや各種コーションマークがいい味を出していますね。
カーボンパーツにもリベット風の加飾がなされ・・・。
サイドマフラー上部にもコーションマーク。
ドアには「ハニーバジャー(Honey Badger)」の文字とマスコット。
ドアオープナーには「PUSH TO OPEN」。
そしてドアを開くと、その下側にまでもリベット加工風のペイントが施され、さらには爆弾も描かれます。
リアウイングにはチェッカーパターン、そしてブルーのアクセント。
このディフューザーは上から見ても驚きの形状を持っていますが・・・。
下から見ても驚きのペイントが施されています。
リベット風の塗装やウェザリング風ペイントには相当に手間がかかったものと考えられ、ある意味ではアートカーよりも手がかかっているのかも。
マクラーレンはちょっと前に「とんでもなく塗装に時間がかかった」セナLM GTRを公開していますが、おそらくはその比ではないものと思われます。
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そしてエンジンルームにもイエローアクセント。
このペイントは困難を極めたであろうことが想像できますが、デザイナー、そしてペインターともに「悪ノリくらいのレベルで」楽しんでこのクルマを作り上げたんじゃないかとも考えています。
この「戦闘機風」メルセデス・マクラーレン SLR HDKのインテリアも特別すぎた
そしてエクステリアにここまで手がかかっているのであれば、そのインテリアが普通であろうはずはなく、シートバックもなんと「リベット風」。
ヘッドレストにはマスコットの刺繍、シートバックにはメルセデス・マクラーレン SLR HDKのシルエットが刺繍されています。
ダッシュボードにもマスコットの刺繍。
紛れもなくMSOが手掛けたというシリアルプレート。
リアコンパートメントはマット仕上げのフルカーボン。
インテリアのあちうこちにもコーションマークが記され、シフトノブのトップには「FIRE IT UP」。※このフラップの下にエンジンスターターボタンがある
リアトランク内には強度を確保するためと思われる構造物(こんな形状見たことない)も。
文字通りの「とんでもない」クルマが出てきたなという感じですが、マクラーレンがこういったデザインを行ったことにも驚かされ、その再現のための技術レベルの高さにも驚かされます。
かかったコストは「天文学的」なんじゃないかと考えていて、しかしいかにコストがかかろうとも、オーナーさんとしては大満足といったところかもしれませんね。
「戦闘機風」メルセデス・マクラーレン SLR HDKを紹介する動画はこちら
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参照:TFJJ