| メルセデス・ベンツは「開発があまりに困難であったため」同様のハイパーカーを二度と作りたがらないようである |
その苦労の甲斐あってかメルセデスAMG Oneは現在「市販車ではニュルブルクリンク最速」を誇っている
さて、メルセデス・ベンツがもっとも開発に苦労したであろうハイパーカー、「AMG One」。
AMGの創立50周年記念車として2017年9月に発表され、多くのエンジニアリング上のハードルを乗り越えて生産が開始されたのはその5年後の2022年8月です。
テスラもびっくりなほどの納車遅延が発生しているわけですが、その理由はひとえに「搭載されるF1用のエンジンとハイブリッドシステムをロードカー用に調整することがとんでもなく困難だったから」。
そして今回、元F1チャンピオンのニコ・ロズベルグへと(限定275台のうちの1台である)AMG Oneが納車されていますが、彼がこのクルマをオーダーし仕様を決めたのは2018年10月のことなので、そこからもう6年が経過しようということになりますね。
-
【動画】ニコ・ロズベルグ、AMG本社へ。自身のAMG ONEについて内外装仕様決定の過程を公開
| ボディカラーはメタリックグレーに決定 | ニコ・ロズベルグがAMG ONE(旧プロジェクト・ワン)の仕様を決めるため、古巣のメルセデスAMGを訪問。 ニコ・ロズベルグはもはや説明不要、2016年の ...
続きを見る
メルセデスAMG Oneはその操作方法も難解だった
今回、ニコ・ロズベルグはAMG Oneの納車の儀を自身のYoutubeチャンネルに公開した動画にて紹介しており、その様子はほかのオーナーがアップしたのと同様に「ニュルブルクリンク最速の市販車にふさわしい」格調の高いもの。
-
発表から6年、ついにメルセデスAMG Oneが納車されたコレクター。その驚きの納車の儀を動画にて紹介。納車スペースはAMG Oneの世界観がとことん貫かれる
| ここまでの演出がなされるのであれば、AMG OneのオーナーはAMG本社までクルマを引き取りにゆくしか無いだろう | もちろん、「納車の儀」の後は自宅までAMG Oneを届けてもらえるものと思われ ...
続きを見る
このAMG One最大の特徴はやはり「F1マシン由来の1.6リッターV6ターボエンジン」ですが、同時にAMG Oneのアキレス腱ともなってしまっていて、このエンジンはこれまでにも「約5万キロごとにオーバーホールせねばならない」、そのほか「給油時には減圧を行う必要があり、減圧が完了するまでは給油キャップが開かない」といった通常のクルマでは考えられない仕様が明らかになっています。
そしてニコ・ロズベルグによると「AMG Oneの起動は厳密な手順に基づく必要がある」、そして「エンジンを停止するときにも最適な温度に達した後でないと停止できない」。
なお、これら手順を6回続けて「間違って」しまうとクルマの機能がロックされて始動(もしくは再始動)が不可能となってしまい、その際はAMGの担当者に連絡し、専用の端末を持ってきてもらい、それを繋いで「アンロック」して貰う必要があるのだそう。
AMG Oneは「常に」エレクトリックモードにて起動し、そこから触媒を(電気的に)暖めはじめ、触媒が適温に達した後にようやくガソリンエンジンが始動するといい(これまで60~90秒待たねばならない)、そしてエンジンが最適な温度(摂氏500度)に達するまでの時間は停止状態だと5~8分、運転すると約2~5分(外気温に左右されるのだと思われる)。
-
ヒョンデの高級ブランド「ジェネシス」がカリフォルニアにデザイン拠点を新規開設。なぜ自動車メーカーは「カリフォルニアでデザインを行いたがる」のか?
Image:Genesis | カリフォルニアはアメリカの中でも「もっとも販売が期待できる」地域であり、文字通り現地の風景の中では「すべての見え方が異なる」 | そして多くのメーカーがデザイン拠点を構 ...
続きを見る
いったんエンジンが始動するとまさにAMG Oneは轟音を放ち、その音圧は各国で何とか規制をクリアできる120デシベルに抑えられているものの、室内に入る音量はハンパではなく、よってAMG Oneにはノイズキャンセリング ヘッドフォンが付属することについても言及されています(このサウンドの抑制もメルセデスAMGが手を焼いた部分であり、これでも開発段階に比較するとかなりマイルドになったらしい)。
動画では、メルセデスAMGの最高技術責任者、ヨッヘン・ヘルマン氏が「ソフトウェアを正しく動作させることが長い開発プロセスの中で最も困難な部分」であったとも語っていて、前メルセデスAMGのCEO(開発遅れの責任を追求され更迭された)はこれに加えてエンジンのアイドル回転数をF1マシンに積まれた状態の”5,000rpm”から”1,250rpm”に下げることも大変な作業だったとコメントしています(アイドリング回転数を下げないと騒音規制や排ガス規制をクリアできない。それでもオーストラリアや中東、北米など、いくつかの国や地域では合法に登録できないと言われている)。
さらにヨッヘン・ヘルマン氏はAMG Oneにつき、「メルセデス・ベンツ史上最も開発が複雑かつ困難を極めたクルマであって、二度と再現されることはない」ともコメントしていますが、これは同氏だけの意見ではなく、メルセデス・ベンツの「総意」であることも過去に語られていますね。
-
ヒョンデの高級ブランド「ジェネシス」がカリフォルニアにデザイン拠点を新規開設。なぜ自動車メーカーは「カリフォルニアでデザインを行いたがる」のか?
Image:Genesis | カリフォルニアはアメリカの中でも「もっとも販売が期待できる」地域であり、文字通り現地の風景の中では「すべての見え方が異なる」 | そして多くのメーカーがデザイン拠点を構 ...
続きを見る
ニコ・ロズベルグにメルセデスAMG Oneが納車される様子を収めた動画はこちら
合わせて読みたい、メルセデスAMG One関連投稿
-
メルセデスAMG Oneでアウトバーンを走り350km/hを記録するオーナー現る。開発時に指摘された信頼性の低さとは裏腹に、製品版のクオリティは高そうだ【動画】
| 文字通りメルセデスAMG Oneの「350km/hまで」は一瞬である | アストンマーティン・ヴァルキリーに比較すると、その車内はまだ「静か」かも さて、メルセデスAMG Oneがアウトバーンにて ...
続きを見る
-
ほとんど売り物が出ないハイパーカー、メルセデスAMG Oneがドバイにて販売中。画像と動画にてその内外装が詳しく紹介される
| 今までこれほど仔細にメルセデスAMG Oneを紹介した例はなかったように思う | 発売までには色々あり、発売後も物議を醸したハイパーカーではあるが、高いコレクション価値を持つことは間違いない さて ...
続きを見る
-
メルセデス・ベンツ「AMG Oneの直接の後継はない。もう二度とF1のエンジンを積んだハイパーカーが登場することはないだろう」。よっぽど開発に苦労したんだな・・・
| メルセデスAMG Oneの開発については苦労話が多数出ており、その気持はわからないでもない | とにもかくにも、これでメルセデスAMG Oneはユニコーンの仲間入り さて、メルセデス・ベンツは開発 ...
続きを見る
参照:Nico Rosberg(Youtube)