>ポルシェ(Porsche)

ポルシェ「新型911GT3のMT比率は40%に達するだろう」。なおアメリカでは70%がMTを選ぶと予想され、「効率や速さ」よりも「楽しさ」を重視する傾向が拡大?

ポルシェ911GT3のマニュアル・トランスミッション

| 新型911GT3は先代よりも「MT比率が高くなる」と予想されている |

ポルシェは現在のところ数少ない「スポーツカーにマニュアル・トランスミッションを設定する」自動車メーカーではありますが、(先代911である)991世代では当初911GT3からMTの選択肢を外してしまい、しかしその後発売された(GT3スペック+MTという構成を持つ)911Rの異常とも言える人気に押される形でマニュアル・トランスミッションを911GT3後期モデルにて復活させることに。

なお、ポルシェが991前期型911GT3にマニュアル・トランスミッションを設定しなかった理由としては「PDKのほうが速いから」「そもそも(経験上)5%しか選ぶ人がいないMTをわざわざ用意することはビジネス的に許されないから」。

ポルシェはやはりMTを廃止したい?「真のポルシェを味わうには必ずしもMTを選ぶ必要はない」

| 現代ポルシェにおいてはMTを選ぶ理由は”自己満足”以外には存在しない? | 「本物のポルシェに乗るには、必ずしもマニュアル・トランスミッションに乗る必要はない」。これは今回ポルシェが改めて主張した ...

続きを見る

911GT3といえど、「速さ」より「楽しさ」を求める人が多かった

ポルシェとしては完全に実用面のみを追求し、「速く走る」ためにマニュアル・トランスミッションを廃止したということになるものの、実際のところ「速く走る」よりも「楽しく走る」ことを求めるユーザーが少なからずいたということになり、結果的に991後期における911GT3では「MT比率が30%(ほかの911だと20−25%)」にまで上昇。

こういった現象がポルシェの「マニュアル・トランスミッションは不要」という考え方を変えたということになりますが、今ではポルシェのGT部門を管理するフランク・シュテファン・ウォリザー氏の認識では「新型(992)GT3では、MT比率は40%にも達するだろう」というレベルに。

ポルシェが新型911GT3発表!レーシングカー譲りのエアロにサスペンションを持ち、出力は510馬力へ
ポルシェが新型911GT3発表!レーシングカー譲りのエアロにサスペンションを持ち、出力は510馬力へ。ニュルのタイムは先代比-17秒、7分切りを達成

| 「RS」のついていない、”通常”の911GT3が7分を切る時代になった | さて、ポルシェがついに待望の新型911GT3を発表。最も気になるのはそのスペックですが、搭載されるのは4リッター・フラッ ...

続きを見る

もはやMTは「非効率的」

なお、MTのほうが速く走ることができた時代はとうに終わりを告げており、そのため「速さ」に高いプライオリティを設定しているマクラーレン、フェラーリ、ランボルギーニは(現行モデルにおいて)そもそもマニュアル・トランスミッションを想定しない設計を持っているほど。

実際のところ、新型ポルシェ911GT3についても、0−100km/h加速だとマニュアル・トランスミッションのほうがPDKよりも0.5秒遅く、この数字を見ると「たしかにMTは非効率的」。

ポルシェのマニュアル・トランスミッション
ポルシェが新型911に待望の”MT”追加!レブマッチにスポーツクロノと機械式LSD装備、ただし「0-100km/h加速はPDK比で0.5秒遅い」

| 本国ではMTは無償オプション扱い。車体重量はマイナス20キロ | ポルシェが2020年モデルの911カレラS、カレラ4S(クーペ、カブリオレ両方)に「7速マニュアル・トランスミッション」を設定する ...

続きを見る

ただ、今の時代においてスポーツカーの存在自体がそもそも無駄に近いので、そういった無駄を好む人が「あえてMTを選ぶ」のは不思議ではないのかもしれません。

なお、ポルシェのアメリカ法人によると「アメリカでは70%が(911GT3では)MTを選ぶだろう」とも語っており、このあたりはクルマでの楽しみ方を知っているアメリカ人ならではだと言えそうですね。

ちなみにMTに対するアプローチはメーカーやクルマによって異なり、GRスープラだと「ATのみ」、ホンダ・シビック・タイプRでは「MTのみ」。

トヨタGRヤリスのマニュアル・トランスミッション

ただしトヨタはMTを排除しようとしているわけではなく、GRヤリスだと「RZではMTのみ」という展開です。※日本だとスポーツカーはMTで「なくてはならない」という風潮がある

ただし今後MTが絶滅危惧種であることは間違いなく、しかもPHEVやEVが主流になってくると構造的に「MTが存在し得ない」ということになり、そういった意味でも新型911GT3RSは「MTが選べる最後の世代のスポーツカー」の一台ということになるのかも。

そう考えると、新型911GT3では「MTを選ぼう」と考える人が(これまでの911各世代に比べ)多いだろうというポルシェの予測にも納得です。

合わせて読みたい、関連投稿

マツダ・ロードスターのマニュアル・トランスミッション
高学歴・高収入になるほどマニュアル・トランスミッションを好むという統計結果!米では66%がMT操作可能、55%がMT車を所有経験アリ、しかし実際に売れたMT車は全体のわずか2%

| どのみち、エレクトリック時代になればMTそのものが消え去り、単なる「思い出」になってしまう | さて、マニュアル・トランスミッションが用意されていなければ「買う気が起きない」、またマニュアル・トラ ...

続きを見る

米ではトヨタ86の”わずか”33%がMT。なお日本では86の60%、BRZの74%がMT。S660やロードスターのMT比率は?

| 調べてみたら以外な数字が出てきたぞ | トヨタが北米市場において、「86のマニュアル・トランスミッションの販売比率は1/3」と公開。これはCarbuzzが報じたもので、トヨタ86のMT比率は33% ...

続きを見る

トヨタのキー
新成人の「カーライフ調査」最新版!「免許保有率はさらに下がって51.3%」「女性の5.4%はMT免許」「女性の方が車の所有率が高い」「女性の方が車を欲しいと考えているようだ」

| どうやら男性はクルマに対して臆病になっているようだ | さて、ソニー損保が例年のごとく、「新成人のカーライフ意識調査」を公開。2021年版では「運転免許保有率」は昨年の56.4%から今年では51. ...

続きを見る

参照:Autocar, Bloomberg

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->ポルシェ(Porsche)
-, , , , , , ,