| ピーターセン博物館に8台のルーフが集う |
ルーフは今もポルシェ911をベースとしたコンプリートカーを作り続けている
ロサンゼルスのピーターセン自動車博物館がルーフに特化した展示「Pfaffenhausen Speed Shop - The RUF Gallery」を開始したと発表。
今回は8台のルーフが展示され、その内容は1990年式の「RUF CTR イエローバード」、2012年式の「RUF CTR3 クラブスポーツ」、2007年式の「RUF Turbo R カブリオレ」、2016年式の「RUF ターボ R Ltd」、2016年式の「RUF アルティメイト」、1994年式の「RUF RCT EVO ナローボディ」、1994年式の「RUF RCT EVO ワイドボディ」、2015年式の「RUF RT12R」。
ルーフはポルシェのチューナーではなく「自動車メーカー」
そもそも「RUF(ルーフ)オートモービル」はチューナーとして捉えられることが多いものの、1939年にアロイス・ルーフによって設立された「れっきとした自動車メーカー」。
完成車のポルシェ911をベースにチューンすることもありますが、基本的にはポルシェより”まっさら”のボディやエンジンの供給を受け、自社ならではのノウハウを盛り込んで「超高性能車」を作る会社です(よって、ルーフが製造した車は、形がポルシェであってもポルシェではなく、ルーフという車種であって、車検証もルーフとなる)。
なお、ルーフにとっては、ポルシェをベースにするということが目的ではなく、「ルーフの考える性能を実現できるポテンシャルを持つコンポーネントを保有していた」のが単にポルシェであり、そのためにルーフはポルシェを選んだと言いかえることもできそうです。
ルーフといえばCTR(カレラ・ターボ・ルーフ)
RUFを有名にしたのは1987年に発表した「初代CTR」。※今回はイエローの1990年モデルが展示されている
当時世界最速であったフェラーリF40の時速323キロ(実測)を超える時速340キロを叩き出したうえ、その後も改良型が時速342キロと記録をさらに更新し、最高速だけではなくニュルブルクリンクのラップタイム最速記録を塗り替えるなど運動性能の高さも証明したクルマです。
そして、その記録を実現するためには(当時の911に設けられていた)雨樋すらも削り取り、徹底したフラッシュサーフェスを実現したことでも知られます。
当時数々の記録を達成した個体が明るいイエローにペイントされていたことから、メディアを中心に「イエローバード」と呼ばれるようになっていますが、「CTR」とは「カレラ・ターボ・ルーフ」の略で、エンジンは水平対向3.4リッター(ボアを拡大している)。
名称の通りツインターボで武装し出力は公称値で469馬力となっていますが、ルーフの提示する数字は「最低保証値」なので、いかなる悪条件でも「出せる」数字です。
ルーフは「自社設計」が可能な技術も
そして近年になりルーフの名を改めて轟かせたのが「CTR3」。
これは997世代のポルシェ911をベースとして「ミドシップ化」した車輌で、車体後半を作り変え、全長を11インチ(28センチ)も延長したクルマ。
ルーフCTRの「車体後半」は新型フォードGTのプラットフォームを製造したマルティマティック社との共同作業によるもので、完全にオリジナルの設計を持っています。
エンジン本体はポルシェの3.8リッター・フラットシックスをルーフがチューンしたもので、ツインターボによって加給され766馬力を発生し、もちろんこれはリアアクスルの前に搭載されることに。
トランスミッションは6速マニュアルのほか7速デュアルクラッチが用意され、駆動輪は後輪のみ、トップスピードは380キロというずば抜けた性能を持つクルマです。
そしてルーフはさらに自社設計範囲を拡大し、車体そのものを完全に新設計した、しかしレトロな「新」CTR(2019年)も登場しています。
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