光見えて灯火類はLED、ドアハンドルはポップアップ式のフラシュマウント
ルーフが「見た目は昔の911、中身は最新レーシングカー並みの911」、”CTRアニバーサリー”を発表。
なお、これは昨年にプロトタイプとして公開された「RUF(ルーフ)CTR 2017」のプロダクションモデルという位置づけで、ルーフ創業者、アロイス・ルーフの生誕80周年を記念したもの(ポルシェは昨年に70周年を迎えたので、アロイス・ルーフは会社としてのポルシェよりも年齢を重ねている)。 ※「CTR」は「カレラ・ターボ・ルーフ」の略
ルーフCTRアニバーサリーはこんなクルマ
ルーフCTR アニバーサリーは形状こそポルシェ911(930世代)ですが、中身は全くの別物で、まずシャシーには「カーボンモノコック」を採用。
それにアルミのサブフレームを装着するという構造はマクラーレンの市販車、ランボルギーニ・アヴェンタドールと同様です。
加えてサスペンションは「プッシュロッド」となっており、これはもう完全にレーシングカー。
※ルーフは997世代の911をベースにした「CTR3」でミドシップ化を経験しているものの、今回のCTRアニバーサリーでは「ミドシップ化できたはずなのに」RRレイアウトとなっていて、やはり初代CTRを強く意識したことが伺える
なおルーフCTR アニバーサリーの出力は710馬力、最高速度は時速360キロ、重量はわずか1200キロ、0-100キロ加速は3.5秒。※出力と重量の割に加速は速くないのはマニュアル・トランスミッション採用だから
外観はレトロですが中身は最新、かつ燈火類もLED化されてドアハンドル含むボディ表面もフラッシュサーフェス化が図られる等、初代CTRから数えて32年分の進化が詰め込まれているようです。
エンジンは水平対向3.4リッター(ボアを拡大している)。
ツインターボにて加給し出力は710馬力が公称値となっていますが、ルーフの提示する数字は「最低保証値」で、いかなる悪条件でも「出せる」数字。
よってよりよい環境(というか普通の環境)であれば、公称値よりもかなり良い数字が出た、とされていますね。
ルーフ(RUF)とはこんな会社
「RUF(ルーフ)」はチューナーとして捉えられることが多いものの、ちゃんと認可を受けた「自動車メーカー」。
完成車のポルシェ911をベースにチューンすることもありますが、基本的にはポルシェより”まっさら”のボディやエンジンの供給を受け、自社ならではのノウハウを盛り込んで「超高性能車」を作る会社(よってルーフが製造した車は、形がポルシェであってもポルシェではなく、ルーフという車種)。
つまりポルシェをベースにするというのが目的ではなく、「ルーフの考える性能を実現できる可能性を持っていた」のが単にポルシェであった、と言いかえることもできそうです。
初代ルーフCTR(イエローバード)はこんなクルマ
そんなルーフですが、1987年にポルシェから供給を受けたボディを使用して組み上げた「初代CTR」を発売。
これは当時世界最速であったフェラーリF40の時速323キロ(実測)を超える時速340キロを叩き出したうえ、その後も改良型が時速342キロと記録をさらに更新。
しかも最高速だけではなくニュルブルクリンクのラップタイム最速記録を塗り替えるなど運動性能の高さも証明したという、まさに「怪物」。
当時、発表された際にその個体が明るいイエローにペイントされていたことから「イエローバード」と呼ばれるようになっており(ジャーナリストがそう呼んだことが始まりだとされる)、今回の「CTR アニバーサリー」はボディカラー、ルックスともに初代CTRへの敬意を払ったものとなっています。
下記は初代CTRと、今回発表されたCTRアニバーサリーのスペック。
CTRアニバーサリーは初代CTRに比較し、よりワイドに、より低いシルエットを持っており、しかし重量は初代に比べてわずか50キロの増加のみ(エンジンの水冷化、ブレーキやホイールの巨大化があるにもかかわらず)。
RUF CTR 1987 全長:4151ミリ 全幅:1692ミリ 全高:1310ミリ 重量:1150kg エンジン:3.4リッターツインターボ 出力:469馬力 トランスミッション:5MT(のちに6MT化) 最高速度:時速343キロ 0-100キロ加速:4.1秒 |
RUF CTR アニバーサリー 全長:4207ミリ 全幅:1818ミリ 全高:1265ミリ 重量:1200kg エンジン:3.6リッターツインターボ 出力:710馬力 トランスミッション:6MT 0-100キロ加速:3.5秒以下 |
ちなみにルーフは2018年に、やはりレトロな外観、しかしカーボンモノコックを持つ「SCR」も発表しています。