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ポルシェが今後、911はじめスポーツカーには「環境に優しい方法で製造された」スチールを使用すると発表。ポルシェはオールアルミではなくスチールの可能性を追求

2023/11/03

ポルシェ

| ただしこの「環境に優しいスチール」の生産量は限られており、ポルシェの需要を賄うことは難しいようだ |

ポルシェは2030年までにサプライヤー含めて「カーボンフリー」を目指している

さて、最近はどの自動車メーカーも「環境に優しい素材」の使用に注力していますが、再生プラスチック等に加え、再生アルミニウムの使用も盛んになっています(主にBMWグループ)。

加えてメルセデス・ベンツは「環境負荷が小さい方法で製造された」アルミニウムの使用に動くなど、環境保全に対する自動車メーカーの動きはまさに「各社各様」。

ポルシェは「H2グリーンスチール」の導入を決定

そこで今回報じられているのが「ポルシェがそのスポーツカー(911や718ケイマン・ボクスター)ラインアップの車体製造において、H2グリーンスチールを導入する」というニュース。

このH2グリーンスチールは、そのままこれが社名となっているH2グリーンスチール社が製造している鉄鋼で、多くの鉄鋼会社がスチールを溶かすために石化燃料を使用するのに対し、このグリーンスチール社では電気と水素をもって加熱しており、これによって鉄鋼生産時には(従来の方法に比較して)CO2排出量を95%削減できるのだそう。

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ポルシェは2026年からこのH2グリーンスチールを使用すると発表していますが、このH2グリーンスチールは生産量に限りがあり、ポルシェが入手できるのは年間わずか35,000トンにとどまり、しかしポルシェは2022年に220,000トンものスチールを使用しているので、この量ではまだまだ足りない、ということになりそうですね。

なお、ポルシェはライバルが軒並みアルミボディへと移行する中で「スチールボディ」を貫く数少ないスポーツカーメーカで、「まだまだスチールにも可能性がある」というのが(ポルシェが)スチールを採用し続けている理由だと言われています(ただしアルミニウムの使用範囲はモデルチェンジごとに拡大している)。

加えてポルシェは「スチールは機械的特性が優れているため」完全に車両から取り除くことは難しいともコメントしていて、今後も継続してスチールを採用するのは間違いなさそう。

ポルシェはH2グリーンスチールの採用についてこう語る

今回の発表に際し、ポルシェの調達責任者であるバーバラ・フレンケル氏は「ポルシェは、2030年までに自動車のバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成することを目指しています。CO2を削減したH2グリーンスチールは、当社の持続可能性戦略において重要な役割を果たすことになり、H2グリーンスチールによって、私たちはこの重要な材料によるCO2排出量をさらに削減することを目指します」とコメント。

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車両の大部分を占める素材でもあり、そして通常の方法だと大量に(製造時に)CO2を出してしまうスチールだけに、今回のH2グリーンスチールの採用はかなり大きな意味を持つことになりそうですが、少し前にはボルボも同様の方法で製造された鉄鋼サプライヤーと契約を結んだと報じられています。

参考までに、鉄鋼産業は世界全体のCO2直接排出量の年間7%を占めているため、環境への影響を減らす方法を見つけることは非常に重要であり、鉄鋼メーカーも様々な手法にてCO2排出量を削減する努力をしているようですね(グリーンでない企業とは取引をしないメーカー、そしてサプライヤーにもカーボンフリーを義務付けるメーカーも少なくはなく、素材製造業者にとってもCO2排出量低減は目の前にある大きな課題である)。

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