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【時速653km】世界陸上速度記録が更新される。ボンネビルで金字塔を打ち立てたのは1,600馬力の「建設機械用」水素エンジン搭載車【動画】

水素エンジンを搭載し「世界最高速」を記録したJCB「ハイドロマックス」を押し出すランドローバー・ディフェンダー・オクタ

Image:Landrover

| 時速653km(406mph)を打ち立て世界陸上速度記録を更新 |

達成したのは水蒸気しか出さない怪物、JCBの水素エンジン車「ハイドロマックス」

イギリスの重機・建設機械大手であるJCBが開発した水素燃料ストリームライナー「JCBハイドロマックス(Hydromax)」がFIA(国際自動車連盟)公認の地上速度世界記録において時速406.320マイル(約653.909 km/h)という途方もない記録を樹立したとのニュース。※ディフェンダーが「公式サポートカー」として協力している

これまでの水素エンジン車の記録(BMW H2Rの時速298.5km)や水素燃料電池車の記録(時速487.6km)、さらには同社が2006年に打ち立てたディーゼルエンジン車の最速記録(JCB Dieselmaxの時速563.4km)をも一挙に粉砕したのが今回の新記録であり、排出ガスは水蒸気のみという完全なゼロエミッションでありながら、内燃機関(エンジン)が持つ圧倒的なパワーとロマンを世界に見せつける形となっています。

この記事の要約

  • 水素エンジン車として史上最速の時速653.9km(406.320mph)を記録:米ユタ州ボンネビル・ソルトフラッツにて、FIA公認の地上速度世界記録を大幅に更新。
  • 伝説の最速男アンディ・グリーン氏がステアリングを握る:地上で音速を超えた唯一の人物が、20年前のディーゼル記録(JCB Dieselmax)に続き自ら記録を塗り替える。
  • 市販の「建機用」水素エンジンを2基搭載して1,600馬力を発揮:特別なレーシングエンジンではなく、実際の建設機械に採用されている自社製エンジンでゼロエミッションの可能性を証明。

往復アタックで平均653km/h!ボンネビルで打ち立てられた金字塔の詳細

今回の世界記録アタックは、モータースポーツの聖地として知られるアメリカ・ユタ州の塩平原「ボンネビル・ソルトフラッツ」にて実施され、FIA公認記録の条件である「1時間以内に同一コースを往復してアタックを行い、その平均速度を算出する」という厳格なルールの下、ハイドロマックスは1本目の走行で時速400.623マイル(約644.740 km/h)をマーク。

復路となる2本目では時速412.135マイル(約663.267 km/h)という異次元のスピードを叩き出し、平均時速406.320マイル(約653.909 km/h)という公認新記録を打ち立てています。

新旧レコードおよび関連マシン比較

車種名燃料・パワートレイン最高記録(平均速度)記録樹立年・ドライバー
JCB ハイドロマックス水素内燃機関(V8相当/2基)406.320 mph(約653.9 km/h)2026年 / アンディ・グリーン
JCB ディーゼルマックスディーゼル内燃機関350.092 mph(約563.4 km/h)2006年 / アンディ・グリーン
BMW H2R水素内燃機関(6.0L V12)185.500 mph(約298.5 km/h)2004年 / アフレック・シュワルツ
ThrustSSC(参考)噴射ジェットエンジン763.035 mph(約1,227.9 km/h)1997年 / アンディ・グリーン
水素エンジンを搭載し「世界最高速」を記録したJCB「ハイドロマックス」を押し出すランドローバー・ディフェンダー・オクタ

Image:Landrover

伝説のパイロット「アンディ・グリーン氏」のコメント

今回「ハイドロマックス」のステアリングホイールを握ったのは、1997年にジェットエンジン搭載車「ThrustSSC」で地上で世界で唯一音速(マッハ1)を突破した「世界最速の男」であり、元イギリス空軍パイロットのアンディ・グリーン中佐(OBE)。

同氏は以下のように今回の偉業についてコメントしています。

「マシンは素晴らしく、極めて安定していて強力かつ高速でした。ディーゼルマックスから20年の時を経て、再び水素パワーで世界地上速度記録を打ち立てられたことは最高の名誉です。世界最高峰のチームと素晴らしい技術による偉大な偉業です」

JCB ハイドロマックス 主要スペック一覧

全長約9.75メートル(32フィート)の鋭利なロケットのようなボディに包まれたハイドロマックスですが、その最大の驚きは心臓部にあり、これは特別にゼロから開発された高額なレース専用エンジンではなく、なんとJCBがイギリスのフォストン工場で実際に生産している「建設機械(ショベルカー等)用の直列4気筒4.8L水素エンジン」をベースにしたユニット(2基)で、文字通り「建機のエンジン」というわけですね。

項目詳細スペック・性能データ
全長約9.75メートル(32フィート)
エンジンJCB製 4.8L 直列4気筒 水素内燃機関 × 2基(ツインエンジン)
最高出力システム総合 1,600 hp(約1,622 PS / 1,193 kW)
燃料水素ガス(Direct Injection H2-ICE)
排出物H2O(水蒸気のみ / ゼロエミッション)
トランスミッション専用マルチスピードトランスミッション
ドライバーアンディ・グリーン(Andy Green OBE)

そしてJCBの会長であるアンソニー・バムフォード卿(Lord Bamford)は、自社で1億ポンド(約190億円)以上を投じて進めている水素エンジンプロジェクトのリーダーでもあり・・・。

「20年前、私たちはJCBディーゼルマックスでボンネビルへ乗り込み、イギリスのエンジニアリングがディーゼルパワーで何ができるかを証明しました。今日、私たちは水素パワーのエンジンでそれを再び証明したのです。ハイドロマックスは『水素エンジンは通用する、そして最高峰のレベルで完全ゼロエミッションで機能する』という事実を示してくれました」

なぜ今「水素エンジン(H2-ICE)」が世界で注目されるのか?

脱炭素化に向けた自動車・輸送業界の取り組みにおいて、バッテリー式電気自動車(BEV)が主流となりつつありますが、過酷な現場で稼働する大型トラックや建設機械、あるいはモータースポーツにおいては「水素内燃機関(H2-ICE)」が強力な選択肢として急浮上しています。

  • BEV(電気)に対する優位性:大容量バッテリーの過重リスクがなく、数分で水素チャージを完了して即座に稼働再開できる。重い荷物を運ぶ重機や長距離輸送において絶大な威力を発揮する。
  • 既存の製造インフラを活用可能:従来のガソリンやディーゼルエンジンの部品サプライチェーンや製造技術をベースに改善できるため、産業構造を守りながらコストを抑えて脱炭素へ移行できる。
  • 日本のモータースポーツとの親和性:トヨタ自動車(スーパー耐久シリーズでの水素カローラ参戦など)をはじめ、日本のメーカー連合(HySEなど)も水素内燃機関の開発を精力的に推進しており、JCBの今回の時速653kmという実証は、全世界の水素エンジン開発者へ強力な後押しとなりうる。
トヨタ GR LH2 レーシングコンセプトのサイド
やはりトヨタは「水素」か・・・。米国で「水素エンジン」の重要特許を申請、水素を燃やして走る「内燃」エンジンの実用化に一歩前進、市販車への転用に期待がかかる

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結論:未来のモータースポーツと脱炭素社会を切り拓くエネルギー

JCBハイドロマックスが打ち立てた時速406.320マイル(653.909 km/h)という前人未到の世界記録は、スピード狂のパフォーマンスではなく、「内燃機関(エンジン)のサウンドと脈動を残しながら、CO2を一切出さずに超高速で走る」という未来を証明するもの。

そしてJCBは過去にもディーゼルエンジンをもって記録に挑戦したことでもわかるように、「もっとも現実的な脱炭素」のための手段を追求しているのだと捉えることができ、”実現可能な解”を提示しているのだと考えることも可能です。

そしてショベルカーと同じ基本構造を持つエンジンがボンネビルで音速の半分を超えるスピードで疾走したという事実は、持続可能な自動車社会の新たな可能性を提示しているかのようにも思われ、ちょっと感慨深いものがありますね。

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参照:JCB, LandRover

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