| 外観だけではなく、言葉の遊びも |
エイプリルフールネタとして作られたレンダリングのようですが、4月1日当時は拡散せず、今頃になって出てきたフェラーリ821スーパーファストのハードコアモデルのCG画像、「812 CURVA(クルヴァ)」。
レンダリング自体は812スーパーファストに488ピスタ風のフロントスプリッター、そして巨大なリアウイングを装着し、センターに458スペチアーレ風のストライプが入ったもので、ある意味では「お約束」。
ネーミングには注意が必要
ただ、今回の812クルヴァの「お遊び」はこの外観にあるのではなく、その名称。
そもそもフェラーリ488ピスタ(PISTA)発表時に話題となったのがそのネーミングであり、これはスラブ系言語の「Pizda」に発音が近く、スラングで「女性器」を表すものだとされています。
そこで今回の「Curva」ですが、これはイタリア語だと「カーブ」を意味するので、「コーナリング」を意図したものとしては「ピスタ」にも関連性があり、ハードコアモデルの名称としてはマッチしているのかもしれません。
ただ、Pista=Pizdaのように今回の「Curva」にも深い意味があり、これは同じくスラブ系言語の「Kuruwa」と発音が近く、このKuruwaはスラブ系スラングで「娼婦」を意味し、しかも相当な度合いの侮辱的表現になるようですね。
そういった意味では奥の深い「ジョーク」だと言えそうです。
そのほかにも色々な例がある
なお、自動車は世界中で販売するので各国の商標や単語の持つ意味をすべてクリアするのは難しく、従って「488ピスタ」のような例が生じるわけですが、過去に「危なかった」のはホンダ・フィットで、これはもともと「フィッタ」という名称での発売を計画しており、発売直前のところで「フィッタとはスウェーデン語で性行為の意味。本当にこれで発売するのか?」という問い合わせが入って急遽名称変更に。
逆に日本から輸出する例だと「三菱パジェロ」がスペイン語圏では「パジェロの発音が”オナニー”を意味する単語に似ている」ということで「ショーグン」へと変更されたり、そのほか国内外で「その国でもともと取られていた商標に抵触するので別の名称にした」「その国での語感や意味が好ましくないので別の名称に改めた」例はたくさん。
オペル「コルサ」、フェラーリ599「フィオラノ」、ミニ「カントリーマン」も同じような例ですし、国際的に有名なのはポルシェ「911」。
商標が移動(売買)される例もあり、クライスラー「クロスファイア(ブリジストンから移動)」、日産「シルビア(トヨタから移動)」、アウディ「Q2(アルファロメオから移動)」、といった例も。
フォルクスワーゲン「イオス」はキャノンのデジタル一眼レフカメラ「イオス」とかぶるものの、これは商標として登録されている範囲が重複しないので問題にならなかった(キャノンは”自動車”においてイオスの商標を登録していたわけではない)ケースですね。
他の業界だとアップルの「アイフォーン」と村田製作所の「アイホン」が競合したり(アップルが村田製作所になんらかの費用を払っていると言われる)、腕時計の「フランク・ミュラー」と「フランク三浦」(これはフランク三浦が勝った)がよく知られる競合例。
なおフェラーリ「812」は「800馬力、12気筒」を意味するので、もしフェラーリ812スーパーファストのハードコアモデルの出力が850馬力になったとしても、「812」のままで通せそうですね(自然吸気エンジンなので大きなパワーアップは難しく、さすがに900馬力台に乗せて”912”はなさそう。ポルシェともかぶるし)。