| 似たような性能や価格を持つ2社だが、その内容はまったく異なる |
ランボルギーニとフェラーリとはどう違うのか?という動画が公開。
ランボルギーニ、フェラーリともにイタリアのスーパーカーメーカーであり、「速く」「高価な」クルマを作ることで知られます。
その背景を知らなければ非常に似ている2社のようにも見え、意外なことですが「フェラーリとランボルギーニが同じグループに属する」と考えている人も。
ここで両者の「違い」を見てみましょう。
フェラーリはレーシングチームとしてスタート
まず、フェラーリの創業者でもあるエンツォ・フェラーリは1898年にモデナにて誕生。
1920年にはアルファロメオのドライバーとして加入するも成績が上がらず、1929年に自身のレーシングチーム「スクーデリア・フェラーリ」を設立しています(ドライバーよりも運営に回った)。
その後1947年に自動車製造・販売をはじめますが、当初の主な収入源は「使用済みレーシングカーを市販車に改装して富裕層に販売する」という手法だったと言われ、その目的もレースに参戦する資金を得るため。
つまり、市販車ビジネスを行うことを目的に設立された自動車メーカーではなく、レース活動を行う資金を稼ぐために作られたのがフェラーリという会社だと認識しています。
なお、フェラーリは「けして宣伝をしない」ことでも知られ、当初から販売する顧客を選んだりという姿勢が強かった、とも言われていますね。
もちろん、これはブランディング上の理由ではなく、「レースに勝つことしか頭になく、レーシングカーを乗りこなせるスキルを持つ客にしかクルマを売りたくない」というエンツォ・フェラーリの姿勢の現れだったと考えていて、これが結果的にフェラーリを「とんでもなく排他的な」孤高のブランドに押し上げることとなっています。
さらにエンツォ・フェラーリは「V12エンジン搭載車以外はフェラーリと呼ばない」「ミドシップはクソ」「エアロダイナミクスなんぞはエンジンを作れない奴がやるもんだ」という数々の名言を放っていて、「フロントエンジン搭載のV12」をとにかく愛した人物のようですね。
そしてフェラーリのエンブレム「馬」の由来は諸説あるものの、本当のところは「永遠のナゾ」です。
ランボルギーニは「商業的利益を考えて」のスタート
対するランボルギーニの創業者、フェルッチオ・ランボルギーニは1916年、ボローニャ近郊に誕生。
少年の頃からバイクを改造してぶっ飛ばしていたというエピソードがあり、もともとスピードが好きだったということもわかります。
機械に興味を持ち、徴兵後には軍用車両の整備を担当することになりますが、退役後は軍用トラックの払い下げを受け、それをトラクターにし改造して販売することで一財産を築くことに。
なお、(自動車メーカーとしての)ランボルギーニ創業の経緯としては、事業で成功したお金をもってフェラーリを買い、その後に壊れた際に修理をしてみたところ、使用していたパーツ(クラッチ)が自分のトラクターと同じであり、スーパーカービジネスは儲かると睨んだ、という説が有力。※諸説ある
そしてその際、フェラーリの改良プランを持ってエンツォ・フェラーリに会いに行ったものの、「トラクター野郎はトラクターでも作っとけ」と言われ、それに憤慨したこともスーパーカービジネスを始める(そしてフェラーリを見返す)きっかけになった、とも。※これも諸説ある
ちなみにフェルッチオ・ランボルギーニは「頭の切れる」人物であったようで、軍にて整備兵の仕事を獲得した方法も、「整備に必要な道具を隠し、自分だけがそれを使用して修理してみせたことから」得たのだという事実が息子(トニーノ・ランボルギーニ)が記した書籍に見られます。
さらに、上述の「フェラーリとの確執」も、ランボルギーニ宣伝のために作られた「物語」であったり、エンブレムに馬ではなく「牛」を使用したこともフェラーリと”対等”に語られるための戦略であったとも言われますね。※これも諸説あるが、それらはやはり商業的な理由で後付されたものだとぼくは考えていて、すべては計画的に流布されたものだと考えている。
なお、ランボルギーニ・ミュージアムにて、案内係の人に「本当のところどうなんでしょうね」と聞いてみたところ、「エンツォにフェルッチオが会いに行ったところ、トラクター野郎(トラクターマンという表現を使用していた)は黙ってトラクターを作ってろと言われたことが創業のきっかけだ」と教えてくれたので、ランボルギーニ社内では”それが定説”なのかもしれません。
フェルッチオ・ランボルギーニは「スーパーカーを作ってプロモーションに使用すれば、メインのトラクターやエアコンビジネスも更に儲かる」と考えていたと言われ、実際にランボルギーニ製トラクターやエアコンの広告には「美女とミウラ」が使用されたこともあるといい、やはり「いろいろな計算のものとに」スーパーカービジネスを始めたと考えて良さそう。
とにかく、そういった感じで「フェラーリはレースをするために」超高性能車を作り、ランボルギーニはビジネスのためにスーパーカーを作ったというのがお互いのルーツだと言えそう。
加えて、ランボルギーニは「フェラーリと違うということを証明するため」、つまり快適で高性能なロードカーであるというランボルギーニのルーツを強調するために、フェラーリの本業であるモータースポーツ活動を行わないという「社内規則」を持っていたと言われますが、これも実際のところは「利益にならないから」だったのかもしれませんね。
数字で見るランボルギーニとフェラーリとの違い
そしてランボルギーニとフェラーリとの「数字上」の差。
フェラーリは2018年には9,251台を販売しています。
ラインアップとしては488GTB、488スパイダー、GTC4ルッソT、GTC4ルッソ、ポルトフィーノ。
そしてランボルギーニはアヴェンタドール、ウラカン、ウルスというラインアップにて5,750台を販売。
ただし、ウルスは「発売されたばかり」でほとんど数字には貢献しておらず、2019年はおそらくフェラーリに近い数字まで販売を伸ばすことになりそうです。
そしてフェラーリの時価総額は83億ドル。
世界で最も価値のあるブランドに選出されるなど、もはやイタリアのみならず、世界を代表する企業のひとつでもありますね。
そしてランボルギーニの時価総額は110億ドル。
フェラーリを上回っているというのはちょっと意外です。
ただ、この数値について、(ランボルギーニは上場していないので)ランボルギーニが上場したらこれくらいの規模になるだろう、という予測値にとどまります。
VIA:Alux.com