｜ 内外装の仕様も理想的、価格が下がる要素はどこにも見当たらない ｜
フェラーリ550マラネロ、つまり「マニュアル・トランスミッション搭載フェラーリ」が、米中古車売買サイト、Bring A Trailerにおいて110,000ドル（1200万円くらい）で売買成立。※もともと550マラネロにはF1マチックが搭載されていないので、全車MTではある
正直これは衝撃的な価格であり、もちろん「安すぎる」取引であるため。
これまでにも550マラネロは何度か市場に登場していますが、いずれも価格は2000～2500万円ほどとかなり高価。
ちなみにこの2世代後の「599」のマニュアル・トランスミッション車だと8200万円で落札されたこともあって（こちらはF1マチック車とMTとがある）、ぼくとしては「フェラーリの中で比較的価格の下がりやすいV12モデルであっても、さすがにMTだけは別格だな」と捉えていたわけです。
MTのフェラーリ599GTBが8200万円で落札。MTとは何かを考える
やはりコロナウイルスの影響？
いったいなぜこんな安値で売買されたのかまったくの謎ですが、やはりコロナウイルスが大きく影響しているのかも。
コロナウイルスがどれくらいエキゾチックカーの中古相場に影響しているのか数値的に把握してはいませんが、この状況で「中古スーパーカーを買おう」とする人はかなり少なくなっている可能性が大（新車のスーパーカー、数億円のクルマをポンと現金で買うような人であれば、新型コロナの影響は受けていないのだと思われる）。
もしそうだとすると、ロレックス同様に現在は「スーパーカーの仕込み時」だとも考えられ、とくに価格が下がりにくい、そして長期的に見ると上昇に転じるであろうマニュアル・トランスミッションを持つフェラーリは「買い」なのかもしれませんね。
デイトナ、サブマリーナが下げ止まらず、GMTマスターIIは過去最安を更新中、エクスプローラーの中古はほぼ定価に。ロレックスの相場はどこまで下がるのか？
そしてもう一つ考えられるのは、「MTの人気が下がってきた」こと。
マニュアル・トランスミッションには信者、つまりMT厨が存在するワケですが、その思想のもととなるのは「MTのほうが速い」「MTのほうがピュア」というものだと思われます。
ただ、現在ではATのほうがMTよりも加速、サーキット走行ともに圧倒的に速いのは疑う余地がなく、シフトチェンジのスピードはもちろん、多段化によって効率的にエンジンパワーを引き出せるようになっています。
「ピュア」さにおいては意見が分かれるところではあるものの、近年のスポーツカーは、設計当初からMTを排除することで、よりシンプルでより軽く、より効率的なレイアウトを採用することができ、ぼくはこれを「ピュア」だとも捉えているわけですね。
そしてATのほうがMTよりも速く走れる、さらにぼくと同じくATのほうがピュアだと考える人が増えてきているのだとすれば（ちなみにぼくは、そのクルマにMTがあれば、MTをずっと選んできたが、途中で翻意した）、MTを求める人の数は少なくなり、そこでMTの価値自体が下がってきている可能性も。
ただしこれも数値的に立証されたわけではなく、今後の「MTスーパーカー」の相場を見てみないと判断は難しい、とも考えています。
フェラーリ550マラネロはこんなクルマ
フェラーリ550マラネロの登場は1996年。
エンジンは5.5L V12、出力は485馬力で、これをフロントにマウントして後輪を駆動します。
0-100km/h加速は4.5秒、最高速度は320km/hというパフォーマンスを誇り、かつFRレイアウトに起因する高い実用性、ピニンファリーナのデザインによる美しいボディも人気を呼んだクルマでもありますね。
今回売却された車両のボディカラーはブラック、インテリアもブラック。
デイトナシートも装備され、「人気の高い」仕様であるだけに、なおのこと今回の価格は「かなり謎」。
カーボンパーツもふんだんに使用され、シフトノブもカーボンファイバー。
あと数年後には、けっこうな高値で売却できるのかもしれません。
