
| フェラーリ「XXプログラム」は選ばれしもののためだけの”特権”である |
その輝かしい「XXプログラム」の歴史とは
モータースポーツの頂点に君臨するフェラーリが”選ばれた顧客”とともに究極のパフォーマンスを追求する実験的プロジェクト「XXプログラム(XX Programme)」。
2005年にムジェロ・サーキットで始動して以来、公道走行の型式指定やレース規制から解き放たれたモンスターマシンを生み出し続けてきましたが、トラック(サーキット)専用モデルとしてスタートするとともに最新技術の実験場として機能しており、後に登場するロードカーへ数々のフィードバックをもたらすという役割を果たしています。
今回は、初代FXXから最新のSF90 XXに至るまで、約20年にわたるXXファミリーの進化と輝かしい歴史について見てみましょう。
この記事の要約
- XXプログラムは2005年に始動したフェラーリ最高の開発実験・トラック専用プログラム
- FXX、599XX、FXX Kと進化を重ね、レース規制や公道基準にとらわれない技術革新を追求
- 2023年には初の公道走行可能なスペチアーレモデル「SF90 XX」が登場し新たな領域へ

フェラーリ「XXプログラム」の概要
XXプログラムの最大の特徴は、単に極限のハイパーカーを販売するだけでなく、「顧客オーナーがファクトリーのテストドライバーを兼ねる」という革新的なコンセプトにあります。
オーナーは専用のイベントカレンダーに従って世界の名門サーキットを走り込み、得られたテレメトリーデータやフィーリングをマラネッロの開発陣へフィードバックすることとなり、つまり、XXマシンは未来のフェラーリ市販車を形作るための“走る実験室”として機能するもので、ごく限られたオーナーだけがその開発プロセスに参加できるという特別なコミュニティ。
歴代XXモデルの特徴・スペック・デザイン
2005年:FXX / FXX Evo
エンツォ・フェラーリをベースに、F1のノウハウを惜しみなく投入して開発された記念すべき第1弾。
最高出力800 cvを誇り、乾燥重量は僅か1,155 kg。フィオラノ・サーキットのラップタイムは1分18秒未満と、ベースとなったエンツォより約7秒も早いタイムを記録していますが、後に登場した「Evo」ではレブリミットが9,500 rpmまで引き上げられています。
2010年:599XX / 599XX Evo
599 GTBフィオラノをベースとした、XXファミリー唯一のFR(フロントエンジン)モデル。
アクティブ・エアロダイナミクスや高度な電子制御を搭載し、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにて市販車派生モデルとして史上初の7分切り(6分58秒16)を達成することに。
Evo仕様では最高出力が750 cvに達し、可変リアウィング(DRS)が導入されています。
2014年:FXX K / FXX-K Evo
ラ フェラーリ(LaFerrari)のV12ハイブリッドパワートレインを昇華させたサーキット専用車。システム合計出力は驚異の1,050 cvに達し、4段階に調整可能なHY-KERSシステムを搭載し、Evoモデルではエアロダイナミクスが大幅に強化され、GTレースマシンに匹敵する強烈なダウンフォースを獲得しています。
2023年:SF90 XX ストラダーレ / SF90 XX スパイダー
XXの理念を初めて公道モデルへと落とし込んだ意欲作。
1,016 cvを発揮するV8ツインターボハイブリッドを搭載し、F50以来となる固定式リアウィングを採用していますが、スリックタイヤではなく公道用タイヤにてフィオラノで1分17秒309を叩き出し、初代FXXのタイムを更新してみせたという驚愕の一台です。
| モデル名 | 登場年 | レイアウト / パワートレイン | 最高出力 | トピック |
| FXX / Evo | 2005年 | ミッドシップ / 6.3L V12 NA | 800 cv (Evo: 860 cv) | XXプログラムの原点。エンツォベース |
| 599XX / Evo | 2010年 | フロント / 6.0L V12 NA | 700 cv (Evo: 750 cv) | ニュル7分切りを達成した唯一のFRモデル |
| FXX K / Evo | 2014年 | ミッドシップ / 6.3L V12+HY-KERS | 1,050 cv | ラ フェラーリベースのハイブリッドモンスター |
| SF90 XX | 2023年 | 4WD / 4.0L V8 TT+3モーター | 1,016 cv | シリーズ初の公道走行可能モデル(クーペ/スパイダー) |

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競合比較・市場でのポジショニング
モータースポーツ規制に縛られない”サーキット専用ハイパーカー”というジャンルにおいて、フェラーリのXXプログラムは独自のポジションを築いており、例えばマクラーレン「P1 GTR」や「センナ GTR」、アストンマーティン「ヴァルカン」、ブガッティ「ボリード」、ポルシェ「935クラブスポーツ」など競合他社もトラック専用限定モデルをリリースしていますが、フェラーリのような「長期的な顧客参加型・データ収集プログラム」として体系化されている例は極めて異例。
単なるコレクターズアイテムにとどまらず、開発エンジニアとオーナーが一体となって市販車の未来を切り拓くシステム自体が他メーカーとの明確な差別化要因となっており、「自分がフェラーリの新型車の開発に参加している」という自負こそがこのプログラム「最大の」要点なのかもしれません。
新しい気付き:20年壊れず走り続ける「FXX」の真実
XXプログラムの信頼性を示すエピソードとして、フェラーリは2007年から初代FXX(Chassis #14216)を所有し続けているエバーハルト・ユング(Eberhard Jung)氏の存在を挙げており、同氏のFXXはかつてミハエル・シューマッハとともにサーキットを走り、世界中のコースを巡って累計16,000 km以上を走行しているそうですが、驚くべきことにその走行スピードと過酷な環境にもかかわらず、17年以上もの間「一度も故障したことがない」のだそう。
「これは純粋な野獣であり、間違いなく初心者向けではない」とユング氏が語る通り、妥協のないパフォーマンスと、過酷なサーキット走行に耐えうるマラネッロの圧倒的なビルドクオリティこそが、XX血統の真の凄みなのかもしれませんね(いかに早くとも、壊れてしまうようではレースに勝てない)。
結論
2005年のFXX始動から20年以上の時を経て、フェラーリのXXプログラムは常に「自動車のパフォーマンスの限界」を更新し続けてきたという歴史を持っています。
そしてサーキット専用車として極限を追求してきたノウハウは最新のSF90 XXへと受け継がれ、ついに公道へとそのパフォーマンスが解き放たれることに。
限界をつくらず、常に進化を留めないフェラーリの情熱を象徴する”XX”の名を冠したマシンたちはこれからもスーパーカーの未来を提示し続けることとなるのは間違いなく、次なる「XX」モデルの登場にも大きな期待がかかります。
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参照:Ferrari











