| 生産期間は非常に短く、レア度では群を抜いている |
ちょうど「クラシカルなフェラーリ」から「近代フェラーリ」へと移行する過渡期のクルマだった
さて、生産期間わずか18ヶ月、生産台数500台という非常に希少なフェラーリ365GTC/4が競売に登場し、将来的に有望な値上がり株として注目を集めることに。
フェラーリ365GTC/4は1971年に365GT 2+2の後継モデルとして発表されており、搭載されるのは4.4リッターV12、出力は340馬力、最高速は260km/hというスペックを持っています。
エンジンそのものはデイトナと同じではあるものの、レブリミットを引き下げることで「扱いやすさ」を目指しており、GTカーらしくリラックスしたドライブが可能となっています。
そのデザインも攻撃性を排除した保守的なもので、フェラーリとしてはかなり珍しいたぐいのクルマだと言えそうですね。
参考までに、この個体には採用されていないものの、「シート中央とドア内張りに(ドイツ車でよく見られた)チェック柄の生地を標準仕様として採用されていたといい、おそらくは「フェラーリで唯一、チェック柄を標準で採用したモデル」。
こういった特殊性は、この365GTC/4が「フェラーリの市販車部門の経営を、フィアットが引き継いではじめて発表された12気筒フェラーリ」ということに大きく関係しているのだと思われますが、1972年秋までの短い生産期間を経て365GT/4 2+2へとスイッチしています。
車体デザインはピニンファリーナ
このフェラーリ365GTC/4のデザインはピニンファリーナによるもので、それまでの優雅な曲線とグラマラスなフェンダーライン、楕円形フロントグリルを持つというデザインから、当時流行しつつあった「ウエッジシェイプで尖った」デザインへと移行しています。
いわば「スーパーカーっぽいデザインの原型」であったとも捉えることができますが、365GTB4(デイトナ)とともに、ひとつの時代を形成するトレンドを作り上げたクルマだと言えるかもしれません。
フェラーリ愛好家によって大切に保管される
このフェラーリ365GTC/4(シャシーナンバー16127)について、これまでごく一部のフェラーリファンによってのみ所有されており、走行距離は最小限、そして定期的なメンテナンスを受けてきた理想的な一台。
さらには67台しか生産されなかった右ハンドル仕様のうちの1台だとされ、コンディションにあわせてレア度も申し分ない個体だと考えて良さそうですね。
まずは1973年2月にシンガポールへと新車として納められた後に香港へと移されて14年を過ごしていますが、香港での初年度登録税(車両価格の135%)はすでに納付済みなので、今回香港在住のバイヤーがこの個体を購入したとしても、(香港へと持ち込む際に)この税金を支払わなくて済む、ということになります(今回あらたに購入価格の135%が必要になるのであれば、香港のバイヤーからするととうてい買う気が起きないと思われるものの、その税金が不要なので、香港からの入札も期待できる)。
1987年には同じく香港のイタリアンモータースがこの車両を入手してレストアを行うことになり、メカニズムの刷新に加えて、外装はブルー・リボットのメタリック・ペイントへ再塗装され、内装はブラック・レザーで仕上げられることに。
その後、この365GTC/4は、地元のフェラーリ・オーナーズクラブの中心メンバーである香港のロス・コーネル博士に売却され、必要に応じて定期的にイタリアン・モータースにてサービスやメンテナンスを受けていた、と紹介されています。
そして1994年頃、ロス・コーネル博士は365GTC/4をイギリスに輸出し、その5年後にはイギリス在住のフェラーリ愛好家に売却され、そしてつい最近になって今回の出品者がこの個体を手に入れていますが、イギリスでは過去3年間に渡ってフェラーリ・スペシャリスト、DKエンジニアリングによってメンテナンスが行われてきた、とのこと。
丁寧にガレージに保管され、必要に応じて整備されつつ、2018年と2019年に開催されたフェラーリ・クラシック・カヴァルケードへの参加を含め、ほんの数回しか使用されていないといい、そのため走行距離は5万6000キロにとどまっています。
予想落札価格は最高で約3400万円と見られており、クラシックフェラーリとしてはかなり「割安」と考えてよく、しかし今後の値上がりを考慮すると非常的に魅力的な物件かもしれませんね。
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参照:RM Sotheby's