さて、フェラーリは数年前から様々なプロトタイプを走らせていますが、今回もまた「謎」な一台が目撃されることに。
見たところSF90ストラダーレのようですが、フロントバンパー形状が変更されて下部が大きく突き出し、さらにはフロントフード形状も標準モデルと異なることがわかります。
この個体が目撃されたのはフェラーリ本社付近だとされるので、フェラーリ自身が特定の目的をもって走らせていることに間違いはなさそうですが、スポンサーステッカーが貼られていたりと、これまでのプロトタイプとは大きく異る部分も見られます。
次期フェラーリ・チャレンジ車両はSF90ストラダーレ?
このSF90ストラダーレについてはいくつかの見方があり、まずひとつは「新しいXXモデル」。
フェラーリはVIP顧客を対象に「XXプログラム」を展開していて、これはXXプログラム専用に開発された車両(これまでに599ベースの599XX、エンツォ・フェラーリベースのFXX、ラフェラーリベースのFXX-Kがある)を用いてサーキットを走行し、そこで得たデータを市販車の開発にフィードバックするという目的のもと実施されています。
これまではFR(599XX)、MR(エンツォフェラーリ)、MRハイブリッド(ラフェラーリ)といった異なるパッケージングを用いて実施されており、ここでミドシップ4WD+ハイブリッドという新しいセットアップを試すということは非常に理にかなっていると思いますが、それにしては市販モデルからの変更の範囲が小さく、なぜスポンサーステッカーが貼られているのかという疑問も生じます。
そしてもうひとつが「フェラーリ・チャレンジ」用の車両ではないかということ。
フェラーリ・チャレンジは、フェラーリが主催するワンメイクレースであ、1993年に348を用いて開催されたことに端を発し、その後355、360、F430、458、488を使用した「チャレンジ」が行われています。
ただ、それにしてもやはり市販モデルからの変更点が小さいままで、かつ、これまで「エントリーモデル」を使用してきたフェラーリ・チャレンジに対し、ミドシップモデルのトップレンジであるSF90ストラダーレを持ってくるのは考えにくいかも(レース参加の敷居を下げる意図もあって、これまでエントリーモデルが使用されていたのだと思われる)。
加えて、次期チャレンジ車両には296GTBが使用されるとも聞いているので、このSF90ストラダーレが「次期チャレンジ車両」というのもやは理解が難しいところがあります。
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どう考えてもこのフェラーリSF90ストラダーレの存在は「謎」でしかない
そして最後のウワサが「次期GT3用車両」。
こちらの説にも疑問が残り、まずは296GTBが次期GT3用車両に用いられると報道されていること、そしてGT3は規定によって「2WD」となるため(将来的には変更されるかもしれない)、4WDであるSF90ストラダーレは(レース参戦に際し)多くの変更を余儀なくされること。
そして、多くの変更を行うということはコストが嵩むということを意味し、レースに参戦するチームへの負担増を意味します。
であれば、最初から2WDを採用する296GTBをGT3用車両として用いるのが理にかなっており、よってこの車両がGT3用のプロトタイプという説も考えにくそうですね。
ただ、リアウイングを取り付けたテストカーが目撃されているという情報もあり、スポンサーステッカーが貼られているところからもなんらかのモータースポーツに関与することにはなりそうですが、ハイブリッドであることを示す高電圧ステッカーも貼られており、「ハイブリッドが走ることができるカテゴリ」となるとけっこう対象が絞られるのかもしれません。
フェラーリは販売構成の5%を「スペシャルモデル」に充てる
参考までにですが、フェラーリは488ピスタ、812コンペティツォーネのようなハードコアモデルを「スペシャルシリーズ」として位置づけ、全販売台数における5%程度のシェアを持たせるという計画を発表しています。
現在フェラーリは年間で1万台を販売しているので、その5%というと500台に相当しますが、ひとまず今年の「500台」は812コンペティツォーネ/812コンペティツィーネAで賄うとして、来年のぶんが必要となると、「SF90ストラダーレのハードコアモデル」が導入される可能性が浮上してきます。
ただ、そういった予測があったとしても、今回のプロトタイプにおける「変更範囲が小さく、謎のスポンサーステッカーが貼られている」という疑問を解消するには及ばず、やはりこのSF90ストラダーレについては「ミステリー」としかいいようがないのかもしれません。
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