| なぜいきなりフラビオ・マンツォーニ氏がフェラーリで頭角を表したのかは謎である |
それまではランチア、セアト、VWにてコンパクトカーを主にデザインしていた人物だが
さて、フェラーリはこれまでにも自社のパーソナリゼーションプログラム「テーラーメイド」にて様々なカスタムを施した個体を公開してきましたが、今回はその中でも「さらに特別な」812コンペティツォーネをリリース。
この812コンペティツォーネはマット仕上げのジャッロ(イエロー)トリストラートの上にネロ(ブラック)DSをもって、「実際に車両をデザインしたフラビオ・マンツォーニ氏が、機能の視覚化や解説を行うために車体上へと表現を行った」もの。
なお、このフェラーリ812コンペティツォーネはオークションへと出品され、収益金は慈善事業へと分配されることも明かされています。
外装だとエアの流れや・・・。
インテリアだと応力の分散が示されているようですね。
フラビオ・マンツォーニはこんな人
現在フェラーリのデザイン部門を率いるフラビオ・マンツォーニ氏は、大学にて建築や工業デザインを学んだ後にランチアへと加入し、その後にはフォルクスワーゲンへと移ってゴルフ6/7、up!、シロッコ等のデザインに携わります。
その後2010年からは現職であるフェラーリデのザイン担当シニアバイスプレジデントを努めていますが、ラフェラーリや488GTB/スパイダーを皮切りにフェラーリの車両デザインを手掛け、もちろん最新の「プロサングエ」までもが同氏の作品。
フェラーリは2009年に発表された458イタリアを最後とし、長年連れ添ったピニンファリーナとの関係を終了させることとなり、しかしそこでなぜ(コンパクトカーやファミリーカーのデザインに強い)フラビオ・マンツォーニ氏を雇入れ、さらに重役に据えたのかはちょっとナゾ(もしかするとフェラーリは当時、複数デザイナーを対象に、オーディションのようなものを行ったのかもしれない)。
-
フェラーリがピニンファリーナ・デザインを振り返る。1951年から60年以上にわたる協業の歴史の中でとくに印象に残るモデル7選
| すでにパートナーシップは解除されているといえど、現代のフェラーリが持つ要素の多くはピニンファリーナが作り上げたものだった | ときどき、フェラーリのデザインがピニンファリーナでなかったら、と考える ...
続きを見る
ただ、同氏が加入してからのフェラーリは大きくそのデザイン的な方向性を変更し、エアロダイナミクスを視覚的に表現するかのような複雑な構造を取り入れ、先進性をアピールするとともに1960年代のフェラーリ製レーシングカーを強く連想させるデザインをも採用しています。
さらにフラビオ・マンツォーニ氏は市販車のみにとどまらず、レーシングカーのデザインも行うほか・・・。
-
フェラーリがル・マン24時間レースを戦うハイパーカー「499P」を公開!50年ぶりの耐久レースのトップカテゴリに復帰、勝利にかける情熱は計り知れない
| フェラーリはこの499P開発のためにF1、そしてGTレースにおけるノウハウを集結させている | そのルックスは意外とスマートだった さて、フェラーリが予告通り2023年シーズンのFIA世界耐久選手 ...
続きを見る
フェラーリが発売するオフィスチェアのデザインも担当。
さらにはウブロの腕時計や・・・。
モンブランの万年筆まで。
他の自動車メーカーだと、こういた「ライフスタイル系」グッズには専任のデザイナーがおり、もしくはライセンスグッズを発売する場合、その製品を製造する会社側がデザインを行うのが通例ですが(自動車メーカーが「こんな風にして」と依頼して製造元がデザインを行うか、最初から製造元がデザイン案を示すことで進められる)、フェラーリの場合はフラビオ・マンツォーニ氏が積極的にこういった「ライフスタイル製品」のデザインに関わってDNAを注入することになっていて、これは極めて稀な例だとも認識しています。
それだけ同氏は「フェラーリの名を冠した製品」については妥協を許さず、同時にどんな製品であっても「フェラーリらしさ」を表現するのが自身の役割であると認識しているのでしょうね。