| フェラーリのワンオフモデルは新しいモデルであればあるほど、その特別さが増している |
ある意味で、「走る実験室」としての意味を持っているのかも
さて、目下のところ最新となるフェラーリのワンオフモデルが「KC23」。
フェラーリは上位50人程度の顧客を対象にワンオフモデルの製作を請け負っているとされ、1台あたり数億円、そして完成までには最低でも3年を要すると言われます。
しかしながらこのワンオフモデルは単にボディカラーや内装の張り材を変更するだけではなく、ボディ形状そのものを変更して「全く固有のクルマ」を作ることができるうえ、車名も固有となるために非常に価値のあるサービスとして高い人気を誇っているわけですね。
-
フェラーリの最新ワンオフモデル「KC23」公開。アクティブボディパネル、着脱式ウイングにて「天使から悪魔」へと変化する二面性を持ち、ボディカラーには液体金属を使用
| おそらくはこれまでに製作されたフェラーリのワンオフモデルの中で「もっとも未来的」 | フロントは499P、リアはフェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモにインスパイア さて、フェラーリが「フェラー ...
続きを見る
フェラーリKC23は納車前の「最終調整中」
そこで今回フェラーリはこのKC23に関する動画を公開しており、その内容は「納車前の最終調整」。
まずはフィオラノ・サーキットと思われるガレージに収まるフェラーリKC23を捉えていますが、KC23特有の「可変ボディパネル」が可動する様子も。
KC23のボディパネルのいくつかは「閉じたり開いたり」することができるのですが、停車時には「全閉」となり、これによってSF的あるいは未来から来たクルマのような「ツルっと」したルックスへと変化し、一方で走行を開始するとエアロダイナミクス、そして冷却性能の向上を目的としてパネルが開くことに。
かつ、リアウイングの脱着も可能であり、その外観の変化についてフェラーリは「ジキルとハイド」と表現しています。
一方、インテリアについてはスパルタンな仕様を持っていますが、これはKC23がフェラーリのレーシングカー、488GT3 Evoをベースにしているため。
よってその内装はレーシングカーそのものであり、こちらはジキルとハイドというよりはもう「ハイドそのもの」。
搭載されるエンジンは488GT3と同じスペックを持つ3.9リッターV8ツインターボ。
-
さらに戦闘力を高めたフェラーリ488GT3"EVO"発表!エアロダイナミクスの調整には18,000時間、「24時間耐久パック」もオプション設定
| 488GT3 EVOは488GTEとの互換性が高くなった | フェラーリがそのレーシングカー、488GT3 EVOを発表。これは2020年シーズンのGT選手権に参加するクルマで、4年前に発表され、 ...
続きを見る
フェラーリKC23「いざサーキットへ」
そして舞台はピットからサーキットへ。
動画ではKC23が轟音とともにサーキットを走行する姿が収められています。
このフェラーリKC23は公道走行ができないサーキット走行専用モデルとして開発されており、シャシー、サスペンション等のセッティングもまた「競技用」としてのスペックを持っています。
フェラーリKC23のボディカラーは「ゴールド・マーキュリー」
そして今回の動画につき、ちょっと興味深いのは、走行を終えた後に「カモフラージュ用のシートを剥がす」様子が収められていること。
丁寧に張り込まれた白黒パターンのドットや・・・。
プロテクションフィルムが剥がされます。
その下から顔を出すのはフェラーリKC23専用色の「ゴールド・マーキュリー」。
このボディカラーはアルミフレークを混入した(マツダのソウルレッドクリスタルメタリックのような)高輝度塗装で4層から成り、フェラーリのチーフデザイナー、フラビオ・マンツォーニ氏いわく「まるで生物のように見え、呼吸しているかのよう」。
もともとKC23のボディラインそのものが有機的なラインを持っており、いっそう「生物っぽさ」が強調されているように思われます。
なお、フェラーリはこういったワンオフモデルにて採用した意匠をのちの市販モデルに取り入れることが多く、たとえば458MMで取り入れた「Jカーブサイドウインドウ」「ラップアラウンドウインドウ」はのちのJ50や296GTB/296GTSに取り入れられたといった例も。
そしてフラビオ・マンツォーニ氏は「ブレード状のランプ」を好む傾向があり、これについては「ひとたび量産化の目処が立ったならば」今後の市販モデルにも用いられることになるんじゃないかと考えています(ワンオフモデルの中には、高価すぎて市販モデルに採用できないディティール、意図的にカタログモデルにはフィードバックされない特別な構造やデザインも含まれる)。
-
フェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモ正式発表!V6エンジンに3モーターHV、さらにボディカラーはシルバーという意外な仕様。そのデザインは過去のフェラーリから
| フェラーリ・ヴィジョン・グランツーリスモ・コンセプトはかなり現実的な仕様を持ち、そのデザインやシステムは今後各モデルに反映されるものと思われる | 現時点でこのボディカラーが何を意味するのかはわか ...
続きを見る
フェラーリKC23が「最終の」調整を行う動画はこちら
合わせて読みたい、フェラーリのワンオフモデル関連投稿
-
フェラーリが突如ワンオフモデル「BR20」発表!ワゴン+4人乗りのGTC4ルッソをベースに、しかしこれをクーペ+2人乗りへと変更した「ハイカスタム」
| デザインイメージは1950〜1960年代のクラシックなGT、そこへ独自要素をプラス | なかなかここまで大胆にカスタムするオーナーは少ない さて、フェラーリが突如としてワンオフモデル、「BR20」 ...
続きを見る
-
フェラーリが最新ワンオフモデル「SP48 Unica」を公開!ベースはF8トリブート、現在のフェラーリの魁となるデザインモチーフを多数盛り込む
| フェラーリ296GTBに「似ている」ように思えるが、おそらくは296GTBが「SP48 Unicaに似ている」のかも | ルーフからCピラー、リアにつながる造形はクラシカルでもあり、新しくもある ...
続きを見る
-
フェラーリがワンオフモデル「SP51」公開!ボディカラーは専用のロッソ・パッショナーレ、カラーリングは1955年のフェラーリ410Sへのオマージュ
| フェラーリのワンオフモデルは「量産モデル」ではなしえない芸術的なディティールを持っている | ちなみにオーナーは台湾人、このカラーリングは台湾国旗ともマッチ さて、フェラーリが新しいワンオフモデル ...
続きを見る
参照:Ferrari