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「もっとも価値が高いフェラーリ」のひとつ、275GTB/Cスペチアーレが競売に。生産されたのはわずか3台、市場に出る可能性があるのはこの1台のみ

2023/12/11

「もっとも価値が高いフェラーリ」のひとつ、275GTB/Cスペチアーレが競売に。生産されたのはわずか3台、市場に出る可能性があるのはこの1台のみ

| もしかすると250GTOを超えフェラーリ史上「最高落札額」を記録する可能性も |

この他の2台の275GTB/Cスペチアーレが売りに出される可能性は限りなく低い

さて、おそらく最も特別なフェラーリのひとつ、スカリエッティ製のボディをまとう1964年型フェラーリ275GTB/Cスペチアーレがオークションに登場。

この275GTB/Cスペチアーレは「275GTB(ロードカー)の顧客向けレーシングカーのうち、スペシャルボディを仮装した」特別仕様車で、生産されたのはわずか3台の、そしておそらく「売りに出される可能性があるのはこの1台(シャシーナンバー06701)のみ」だと言われています。

なお、ベースとなる275GTBは1964年に発表され、フェラーリのロードカーとして”初めて”トランスアクスルレイアウトと独立懸架サスペンションを持つモデルとしても知られており、カスタマーチーム向けの競技専用(コンペティション)モデルとしては「シリーズ1(ショートノーズ)」が10台、「シリーズ2(ロングノーズ)」が12台生産され、これらとは別に製作されたのが今回競売にかけられる「スペシャルボディを持つ」3台です。

Ferrari-2750GTB (11)

1960年代のフェラーリとしては極めて珍しい「ワンオフの」275GTB/4が競売に。ボディカラーには注文者の名が冠されフロントはロングノーズ化される
1960年代のフェラーリとしては極めて珍しい「ワンオフの」275GTB/4が競売に。ボディカラーには注文者の名が冠されフロントはロングノーズ化される

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フェラーリはホモロゲーション取得のために3台の275GTB/C スペシャルモデルを製作

このフェラーリ275は250シリーズの後継として誕生し、コンペティションモデルは”偉大なる”250GTOの成功を上書きするために企画されることとなりますが、フェラーリは1964年から1965年にかけ、FIAホモロゲーション取得ために3台の275GTB/Cスペシャルを製造します。

Ferrari-2750GTB (12)

いずれも超軽量のアルミ製ボディワークと、ウェーバー製キャブレター6基を備えた213/Comp型ドライサンプV12エンジンを搭載し、そのほかサイドパイプ付きの250LMタイプエキゾースト、GTOスタイルのアルミ製バケットシート、ピットストップ時に素早く給油できる社外アルミ製フューエルフィラーキャップ等の特徴を持っています。

Ferrari-2750GTB (3)

なお、このパワーニットは3.3リッター”コロンボ”V型12気筒で、デイトナSP3、ラフェラーリに搭載されるV12エンジンと並ぶ歴代最高の12気筒エンジンのひとつとされ、最高出力は約300馬力、そのパワーは5速マニュアルトランスアクスルを介して後輪を駆動します。

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今回オークションに供される個体は1965年に完成し、フェラーリはこの275GTB/CスペチアーレをもってGTクラスへの参戦をホモロゲートしようと試みるものの、FIAに提出された車両が公道走行可能な275GTBの公称乾燥重量を大幅に下回っていたため、FIAはこれらを同系列のモデルだと認めず、その要求を却下することに。

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ただしその後、双方の歩み寄りによって合意が成立し、シャシーナンバー06885の1台のみが1965年のル・マンに出場することが可能となるわけですが、この個体は決勝では総合3位、クラス優勝を飾るという輝かしい記録を残しています。

参考までに、この個体は故(フェラーリコレクターの)プレストン・ヘン氏一族が所有しており、市場に出ることは一切ないであろうと言われていますね。

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このフェラーリ275GTB/Cスペチアーレはこんな経緯を持っている

そこでこのフェラーリ275GTB/Cスペチアーレ(シャシーナンバー06701)の歴史を振り返ってみると、まずは1965年5月にイタリアのピエトロ・フェラーロがフェラーリから直接購入し、彼の経営する製紙会社カルティエレ・デル・ティマーヴォ名義にて登録されることに。

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なお、購入に際しボディカラーがオリジナルのロッソ・チーナからグリジオ・スクーロ・メタリザートに変更されたと考えられていますが、その4年後にはアレッサンドロ・グレゴリなる人物へと売却しています。

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アレッサンドロ・グレゴリはこの車を2年間所有した後、ロンドン在住のE.B.ウィルソン大佐へと売却し、さらにその後にはブローニュ=ビヤンクールに住むミシェル・ポブレジェスキへと所有権が移転。

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ミシェル・ポブレジェスキはこのフェラーリ275GTB/Cスペチアーレを25年に渡って使用し、そのうち最初の10年以内にエンジンの冷却性能を高めるために車体の改造が行われ(おそらくはこの際に、その際に250GTOスタイルのD型インテークが追加されたものと思われる)、同時にロッソ(レッド)へとペイントされた、とのこと。

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その次の所有者はフェラーリ・コレクターのブランドン・ワンで、彼はグッドウッドで開催されたインターナショナル・ヒストリック・フェスティバルを含むヒストリックイベントへとこのクルマを参加させ、1997年には1年にわたるレストアを行ない、最初のオーナーが購入した時と同じグリジオ・スクーロ・メタリザートに再ペイントされています。

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そしてレストアを終えた直後に別のフェラーリ・コレクターが購入し、2002年にロサンゼルスで開催されたFCAナショナル・コンクールに展示された後、2014年のオークションにて現オーナー、レスリー・ウェクスナーがこの個体を購入したそうですが、流れからすると現オーナーがまたロッソへとボディカラーを戻したということになりそうですね。

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参考までに、2014年のオークションに登場した際のカラーがこちら(画像はRMサザビーズより)。

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この時の落札価格は2640万ドルで、フェラーリとしては歴代9位(F1マシンを除く)の落札金額という記録を持っていますが、上述の「1965年のル・マンに出場して総合3位に入賞し、クラス優勝を果たしたシャシーナンバー06885のフェラーリ275GTB/Cスペチアーレ」が売りに出されることがあれば、もっとも高価なフェラーリになるのは間違いないとも見られているので、今回のシャシーナンバー06701についても、限りなくトップに近い金額で落札されることになるのかもしれません。

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参照:Mecum Auctions

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