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フェラーリの株価が最高値を更新。上場時の60ドルから9年で7.5倍、もし当時100万円分フェラーリ株を買っていたら今では750万円に。なぜフェラーリはここまで「強い」のか

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| フェラーリはまだ誰も「ブランディング」を考えていない時代からブランドを高みに押し上げることを考えていた |

そしてエンツォ・フェラーリの思想は「完全に」現代のフェラーリにも引き継がれている

さて、ぼくがずっと(その上場以来)買い貯めているフェラーリ株が最高値を記録。

ちなみにぼくが最初にフェラーリ株を購入したのは2016年のフェラーリの上場直後であり、その際の株価は57ドル、そして昨日の終値は452.90ドルなので、7.95倍になったという計算に。

理論上だと、100万円投資していれば795万円に、200万円投資していれば1590万円に、500万円投資していれば3975万円に、そして1000万円投資していればなんと7950万円に増えているという計算になります(ぼくの場合、今に至るまで継続的に買増したので、株式取得平均単価は当然ながら57ドルを上回っている)。

なお、フェラーリの株式を保有していると、そのぶん配当もくれるので(さほど大きい額ではないものの)、これもまた「ありがたい」部分ですね。

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フェラーリの「ブランド価値」は最強の部類である

フェラーリは販売台数や売上高という観点からだと、自動車メーカー「最大」でも、また世界中の数ある企業の中でも最大クラスではないものの、そのブランド価値は「トップレベル」にあると考えています。

同様にブランド価値が非常に高いのはエルメスそしてロレックス、パテック フィリップだと認識していますが、ぼくは「フェラーリとロレックスが売れなくなったら、それは世界が破滅する前兆である」とも考えていて、つまりはそれくらいフェラーリを高く評価しているわけですね。

ぼくがフェラーリを高く評価する理由は、クルマそのものというよりはブランディングという側面にあり、もともとエンツォ・フェラーリがはじめた「顧客が求めるよりも1台少なく作る」という希少性を維持するための哲学、そしてルカ・ディ・モンテゼーモロ前社長が述べた「我々のクルマは手が届かぬ美女のような存在なのです」という誇りに代表される排他性に現れると考えていて、これがフェラーリを絶対的な高みに押し上げているのだと解釈しています。

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もちろん「高価なクルマを作ったり、台数を限定したり」すればブランドとして認識されるようになるわけではなく、ブランドとして認知されるようになるのは長い歴史、そしてその分野における圧倒的な功績が必要となりますが、フェラーリの場合は「モータースポーツ」をそのバックボーンとしており、ル・マンやF1における活躍がフェラーリの名を全世界に轟かせ、レースで活躍したクルマの高額な取引価格がその土台を形作っているのだとも認識しています。※ブランドというのは自らが総主張したからブランドとして認知されるものではなく、他者から認められて初めてブランドとして成立する

そしてこの豊富な取引実績があるためにクラシックフェラーリの取引相場やブランドイメージが簡単に崩れ去ることはなく(一度や二度くらいの高値売買では意味をなさず、継続し、かつ安定して何度も取引がなされ、かつ取引の都度価格が上昇してゆくことが重要である)、これが「未来のクラシックフェラーリは、いまあなたが乗っているそのクルマなのです」というエンツォ・フェラーリの言葉に重みを持たせているわけですが、エンツォ・フェラーリは「ブランディング」という概念すら存在しなかった時代から”いかにフェラーリの価値を高めるか”に腐心しており、それが現在のフェラーリを形作っているのだと考えることも可能です。

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ポルシェやブガッティは最近になって豊かなモータースポーツの歴史を活用する方向へと動いていますが、フェラーリはもう75年も前からそれを行っていて、つまりフェラーリはモータースポーツの歴史のみではなく、ブランディングに関する歴史も非常に長く、それは自動車史上「最長」であるかもしれません。

そしてその傾向は現代に至るまで続いており、前フェラーリCEO、セルジオ・マルキオンネ氏が急逝した後の後任として名があがったのはグッチやサンローランといったハイブランドのCEOであり、つまりフェラーリは自社の業態を「自動車製造という工業」ではなく「ブランドビジネス」だと捉えていたということに。

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最終的にCEOに選ばれたのは電子業界出身のベネデット・ビーニャ氏ですが、これはフェラーリの優先順位として「電動化」のほうが(時代背景的に)高かったこと、そして同氏の経験がほかブランドとの差別化に繋がり、結果的にフェラーリ排他性を持たせることとなり、それがフェラーリのブランド価値を押し上げるとであろうという判断であったのだと考えています(実際のところ、自動車業界出身ではない人物をCEOに選んだのはフェラーリくらいであり、ポルシェ、ランボルギーニ、マクラーレン、アストンマーティンなどライバル各社のCEOは皆自動車業界出身者である)。

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こうやって見ると、フェラーリがいかに「特殊」な自動車メーカーであるかがわかるかと思いますが(自動車を売るよりもブランドを売っている)、ブランド価値が高くなれば(フェラーリワールドなどの)ライセンスビジネスにおけるチャンスが拡大し、さらには新車販売時のパーソナライズにおける利益率の向上を見込むことが可能となるなど、大きく収益が改善する可能性が見えてきます(利益の柱を販売台数に依存するとリスク耐性が弱くなる。その意味においても、フェラーリのようにビジネスを多様化させることは柔軟性と持続可能性を高めることにつながる)。

そして今後フェラーリはそのブランド価値をさらなる高みへと引き上げることになるものと思われ、来年にはルイス・ハミルトンのスクーデリア・フェラーリへの加入もあり、市販車ビジネス以外での明るい話題も(エイドリアン・ニューウェイがここに加われば鬼に金棒である)。

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ただしフェラーリとて「無敵」ではなく、やはり懸念となるのは販売台数の増加による希少性の低下であり、しかしこれについては車種を細分化する、車種ごとにデザインを変える、車種ごとのモデルサイクルを短くするなどの対策が見られ、「今後に期待」といったところだと思います。

そしてもう一つの懸念は「電動化」であり、これはフェラーリだけの問題ではありませんが、ハイブリッドスポーツの人気が今ひとつ盛り上がらず、この問題をどう解決するか、あるいはフェラーリよりも先にライバルがこの問題を解決してしまうとちょっと厄介であるとも考えているわけですね。

ライバルにとっては(避けて通ることができない、そして自動車業界にとって大きな転換点となる)電動化をうまく利用すれば、現在の勢力図をひっくり返し、フェラーリよりも優位に立つことができるチャンスでもあり、それを各社とも虎視眈々と狙っているはずで、もし(それができるのはランボルギーニだと考えているが)ライバルに電動化で先を越されてしまうと、フェラーリはここで大きなビハインドを背負ってしまうことになるのかもしれません。

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