
| ランボルギーニは「電動化×エクスクルーシブ」戦略にてひた走る |
ただし米国の導入した関税については「注視が必要」
さて、アウトモビリ・ランボルギーニ(Automobili Lamborghini)が2025年第1四半期の業績を発表。
ここでは「世界的な地政学的リスクや貿易摩擦の影響にもかかわらず、売上・営業利益ともに大幅な増加を達成し、好調な業績を記録した」と述べていますが、もはやランボルギーニの成長は既定路線となっており、ここでその内容を見てみましょう。
■ ランボルギーニの2025年第1四半期ハイライト
- 🚗 納車台数:2,967台
- 💶 売上高:8億9,520万ユーロ(前年同期比 +29.6%)
- 📈 営業利益:2億4,810万ユーロ(前年同期比 +32.8%)
■ ランボルギーニCEO ステファン・ヴィンケルマン氏のコメント
「未来は私たち自身の手の中にあります。この困難な経済状況の中で、ブランドの力強さと私たちの戦略の正しさが改めて証明されました。パフォーマンス、イノベーション、そしてエクスクルーシビティを融合させながら、品質とカスタマイズ性を重視するという私たちの方針が成果を生んでいます。」
■ 業績を支えた2大モデル:レヴエルトとウルスSE
今回の好調な業績には、「レヴエルト」「ウルス」という2つのハイブリッドモデルの投入が大きく貢献しているといい、ニューモデルのレヴエルトに人気が集まるのはともかくとして、登場以来(PHEVを除くと)大きな変更を受けていないウルスの長きにわたる人気っぷりにも驚かされます。
ランボルギーニは現時点でウラカンの生産も行っているものの、今年いっぱいでウラカンの生産を終了させたのち、PHEVスーパーカー「テメラリオ」の生産へと移行することとなりますが、これで「完全に」PHEVしか持たないスーパーカーメーカーへと変貌を遂げることに。
そしてPHEVモデルの好調ぶりは「いまひとつハイブリッドモデルの人気が高まらない」マクラーレンやフェラーリとも異なるもので、ランボルギーニ特有の現象だといえるのかもしれません。
【レヴエルト】
- ランボルギーニ初のV12プラグインハイブリッドスーパーカー
- 現在2年以上の納車待ちが発生するほどの人気ぶり
【ウルスSE】
- ベストセラーSUV「ウルス」の新型PHEVバージョン
- 新規顧客層の獲得とブランド価値の強化に貢献
■ 地域別販売実績:アメリカが最大市場に
販売台数は、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、アメリカ、APAC(アジア太平洋)間でバランスの取れた分布を実現しており、これはもちろん意図的な戦略によるもので、「過去の経験から導き出された成功法則(過去に中国市場に頼りすぎ、中国の売上が激減したことでダメージを被った)」に基づいています。
地域 | 台数 | 前年比 |
EMEA | 1,368台 | +7% |
アメリカ | 1,034台 | +21% |
APAC | 565台 | +14% |
主な市場ランキング(国別):
- アメリカ:933台
- ドイツ:366台
- イギリス:272台
- 日本:187台
- イタリア:143台
- 韓国:134台
- 中東地域:104台
- スイス:95台
- オーストラリア:85台
- フランス/モナコ:76台
■ ランボルギーニCFO、パオロ・ポマ氏の見解
「2025年は好調なスタートを切りました。不確実な貿易環境の中でも、私たちは持続可能な成長と環境への責任に基づく長期的なビジョンを維持しています。」
■ 保護主義への懸念と今後の見通し
ランボルギーニは、米欧間の新たな貿易措置(つまり関税)が第1四半期には影響しなかったものの、将来の影響については注視を続けているとし、加えて「ルールに基づく自由で開かれた貿易」を支持する一方、保護主義的な政策が成長や競争力、開発に悪影響を及ぼす可能性を指摘しています。
ランボルギーニの場合は「100%受注生産」なので、関税導入前の「駆け込み」、関税導入後の「買い控え」が生じるわけではありませんが、関税が今後も効力を発揮し続けるのであれば、さすがにいくばくかの顧客は「買い替えをためらったり」、新規客であっても「新車ではなく中古車を購入する」ことでなんらかの影響が出るのかも。
現時点ではレヴエルトの強力な受注残とウルスSEの登場による新規顧客開拓が見事に結びつき、ランボルギーニは持続的な成長路線を維持しており、さら今後はテメラリオの生産も控えてはいるものの、「電動化×エクスクルーシブ」戦略の真価が問われる1年となるのは間違いがなさそうですね。
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参照:Lamborghini