| パガーニ・ゾンダRがオークションに登場する例は非常に少なく、おそらくは相当数の入札が集まるものと思われる |
そしてパガーニ・ゾンダRは今後もその価値を下げることはないだろう
さて、わずか10台のみが生産されたパガーニ・ゾンダRのうち「5番目」がRMサザビーズ主催のオークションへと登場予定。
さらにこの個体は2014年12月に「Rエボリューション」仕様にアップグレードされており、搭載されるのはAMG製となる(CLK GTR譲りの)780馬力を発生する6.0リッターV型12気筒エンジン(トランスミッションは6速シーケンシャル)です。
ゾンダRは2010年7月以来、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェの”非”ロードリーガル・ガソリンエンジン車の最速ラップレコードを保持していることで有名ですが、その凶暴さから(ベースモデルのゾンダともども)神格化されているハイパーカーでもあり、コレクターが手放さないため、めったに売り物が出ないことでも知られます。
パガーニのクルマは究極の芸術性、コレクターズアイテムとしての価値を誇る
まず「パガーニ・アウトモビリ」はランボルギーニにて技術主任を務めたオラチオ・パガーニ氏が「完璧さを追求し」1992年に興したハイパーカー専門メーカーで、ボローニャとモデナの間(ランボルギーニとフェラーリとの間)に位置する小さな村、サン・チェザリオ・スル・パナーロに社屋を構えます。
7年にわたる開発期間を経て、1999年のジュネーブモーターショーにてパガーニ初の製品、ゾンダC12を発表していますが、その斬新なスタイリング、圧倒的なパフォーマンス、そして想像を絶するほどの高度な技術力がたちまち高く評価され、一躍ハイパーカーのメインストリームへと躍り出ることに。
パガーニの創造性は、その独特で有機的なライン、驚くべき運動性能、並外れた品質において発揮され、これらは多くのジャーナリストやエンスージアストに衝撃を与え、それ以来ゾンダは世界中の最も目の肥えたスーパーカーコレクターの間で非常に高い地位を獲得することに成功し、この偉業はまさに「神話」と表現していいかもしれません。
ゾンダは20年以上にわたって生産されていますが、これは技術的進化の速度、それに起因する製品サイクルが速いスポーツカー業界においては異例のことであり、これはすなわち「ゾンダがいかに先進的であり、色褪せない性能と性格を持っていたか」を物語る事象だと思われます。
仮にゾンダが「最新テクノロジー満載の」スポーツカーであれば、すぐにそのプレゼンスは(後発の登場によって)弱まったのかもしれませんが、むしろアナログで、シンプルに研ぎ澄まされたクルマであったからこそ、その輝きが失われなかったのだと考えていいのかも。
実際のところ、生産が終了した後も多くのコレクターがゾンダの生産を熱望していたことからも、その人気のほどが伺えます。
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パガーニ・ゾンダRはこんなクルマ
そしてこのパガーニ・ゾンダRは、2007年にパガーニ初のサーキット専用モデルとして発表されており、パガーニの技術力を最も恐ろしく、そしてもっともスパルタンな形で抽出した、まさにパガーニの最高傑作ともいえるクルマ。
レースの規定、公道走行に関する規制から一切解放されることにより、何ものにもしばられない究極のドライバーズカーとして企画され、妥協のない究極のドライビングエクスペリエンスを提供することだけを目的として設計されています。
ゾンダRの構造は、ゾンダFのシャシーを進化させたもので、チタンとカーボンを織り交ぜたパガーニ社独自の素材を接着し、両素材の工学的特性を活かしたカーボンチタン・モノコックを採用。
サスペンションジオメトリー、パワートレイン、シャシー構造、ボディワークは、このモデルのために特別に開発されたもので、ゾンダRの構造には、既存ゾンダに使用される既存部品のわずか10%しか使用されていないといい、実際、ゾンダRはサーキット走行用に(ゾンダから)改造されたロードカーというよりも、それ自体が専用設計を持つオーダーメイドと言ったほうがいいかもしれません。
一切の妥協を排し、究極の性能を追求したゾンダRのボディ、インテリア、エンジンルームは壮観の一言に尽き、考えうる限りの高品質な素材を高品質な加工をもって仕上げられ、「機能が形態を決定する」というのはまさにこのクルマのことを示しているのかもしれません。
ゾンダRに搭載されるのは、メルセデス・ベンツCLK GTRから派生した自然吸気の6.0リッターV型12気筒エンジン、出力は780馬力。
このエンジンには、多板式レーシングクラッチと軽量マグネシウムケーシングを採用した6速シーケンシャルトランスミッションが組み合わせられています。
ルーフに取り付けられたF1用のカーボンファイバー製インテークチャンネルから新鮮な空気を取り込み、そのエアをエンジン内で爆発させた後にセラミックコーティングされたインコネル625製ヘッダー(エキゾーストマニホールド)経由で排出することになりますが、テールパイプはパガーニならではの「クワッド」レイアウト。
パフォーマンス面を見てみると、ゾンダRは0-96km/h(時速60マイル)までを2.7秒で加速し、最高速度はなんと370km/hを超えると言われます。
フロントフード上の4つ(片側2つ)のライトはベースモデルのゾンダに近く、しかしボディサイドに設けられたエアロパーツはゾンダとは全く異なるもの。
さらにはゾンダ・チンクエスタイルのエアインテークや・・・。
リアにも「これでもか」というくらいのウイングが装着されています。
タコメーターはステアリングホイールのセンター部に格納され・・・。
センターコンソールにあるのは「走りに関するスイッチのみ」。
室内にはチタン製ロールケージが張り巡らされています。
アクセルペダルにはシンプルなリンケージが装着され、ダイレクトなレスポンスを体感できそう。
どんなに小さなパーツであったとしても、高いクオリティそして妥協を排した設計を見ることができ、ゾンダRはまさに卓越したエンジニアリングと芸術的デザインの融合が高次元でなされた一台だということがわかります。
パガーニ・ゾンダRはサーキットを駆け抜ける獰猛な武器であるとともに「走る芸術品」だと考えてよく、さらに驚かされるのは実際にずば抜けたパフォーマンスをもっていることで、2010年7月にパガーニのファクトリードライバー、マーク・バッセンがニュルブルクリンクを走り、13年ぶりに「ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェをもっとも速く走った非シリーズの市販ガソリン車の最速記録記録」である6分47秒00を記録しています。
あらゆる観点から見てもゾンダRは「自動車市場最高のエンジニアリングと芸術性を持つクルマ」であることは疑う余地はなく、いったいいくらで落札されるのか、興味が尽きないところですね。
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参照:RM Soherby's