フロントバンパーレス、悪魔のZっぽい
インテリアのカスタムで知られるVilnerがフェアレディZの内外装をカスタムして公開。
なんとも魅力的なボディカラーを持つフェアレディZですが、この個体にはちょっとしたストーリーがあり、それは「もとドイツの撃墜王が所有者だった」ということ。
そしてその撃墜王とはメッサーシュミットに乗って活躍したドイツの「エリック・ハートマン」。
彼は第二次世界大戦中に仲間からは「Bubi(ベイビーの意味)」として親しまれる反面、敵国からは「ブラックデビル」とあだ名されて恐れられ、実際に撃墜した連合国機の数はじつに352を数えます。
撃墜王がアメリカからドイツへと持ち帰り、自宅のリビングに展示していた個体をレストモッド
しかし戦争終了後に彼は戦犯として捉えられ、その後10年間ソ連の監獄で過ごし、出所後の1956年に西ドイツ空軍へと加入。
その後1970年に退役し、1990年に寿命を迎えたそうですが、それまでにアメリカに住む機会があったそうで、その際に現地で「恋に落ちた」のがこのフェアレディZ(もちろん当時はカスタムされておらず、ボディカラーもノーマルのゴールドメタリックだった)。
このフェアレディZ(280Z)は1976年式で、エリック・ハートマン一家がアメリカからドイツのハンブルクへと引き上げる際にもドイツへと運ばれることになり、その後は彼の自宅のリビングルームに(彼が戦時中に乗っていた戦闘機、メッサーシュミットBf109のパーツと一緒に)ずっと飾られていたそうです。
そしてこの話がヴィルナーのオーナーでもあるアタナス・ヴィルナー氏の耳に入ることになり、そのストーリーに創作意欲が掻き立てられることになって今回のカスタムプロジェクトが発足したようですね。
このボディカラーは「ヴィルナー・コバルト・マットメタリック(Vilner Cobalt Matt Metallic)」、そしてアクセントは「ヴィルナー・カッパー・ローズ(Vilner Copper Rose)」。
ただしボディカラーを塗り替えるだけではなく各部は大きく作り直されており、前後バンパーは外された上でボディパネルはスムージングされることに。
そしてヘッドライトとテールランプはLED化され、リアのエンブレムはブラックに、そしてリアスポイラーも追加。
リアエンドにはF1スタイルのリアフォグランプも。
サイドのウインカーは現代のフェアレディZに採用されるものが流用されていますね。
ウインドウモールやCピラーのバッジ、ドアハンドルなどはグロスブラックに。
全体的にメッキパーツがなくなり、そのために「イマっぽい」雰囲気となっているようですね。
インテリアはヴィンテージレザーで覆われ、その範囲はシートのみならずセンターコンソールやダッシュボードまで。
一方でカーペット、そしてシートのパイピング、ルーフライニングはボディカラーとマッチしたブルーが採用されています。
シートやドアインナーパネル、ルーフライナーには波型のステッチが入り、ヘッドレストにはヴィルナーの20周年記念ロゴ入り。
さらにはエンジンにも手が入り、ヘッドカバーにはポリッシュがかけられて点火系もパワーアップ。
タワーバーも装着されていますね。
このフェアレディZについては、ヴィルナーいわく「これまでのどの作品よりもコストと情熱がかけられている」とのことですが、「撃墜王が所有していた」にもかかわらず一切ミリタリー色が入っていないのは興味深い、と思います。
VIA:Motorious