| もはやカスタム抜きでのスーパーカーは語れない |
さて、現在は各自動車メーカー、特に高級車メーカーにおいて「メーカー純正カスタム」が盛んに。
かなり早い段階で取り組んだのはジャガー・ランドローバー、マクラーレン、ベントレーだと記憶していますが、これらは全てイギリスのメーカー。
かつてイギリスでは「メーカーから車体とエンジンを購入して」、その後にお気に入りのコーチビルダーにボディの架装を依頼していたという自動車の販売システムであったそうですが、その名残で「カスタム」という概念が定着しているのかもしれません(ベントレーのカスタム部門”マリナー”はもともと別会社でコーチビルダー出身)。
加えて富裕層は自分だけの「オリジナル」を作る傾向にあり、マクラーレンだと1億円の高額モデル「P1」において実に70%もの顧客がカスタムプログラム「MSO」を活用している、とのこと。
さらに(マクラーレンによると)年々こういった「カスタムの要望」はその規模や質とともに増加しており、「1930年代に逆戻りしたかのようだ」とも。
そんな背景があり各メーカーとも自社のカスタム部門を活性化していますが、どういったものがあるのかを見てみましょう。
まずはポルシェの「エクスクルーシブ マヌファクトゥア」。
これは2017年に「エクスクルーシブ」が名称変更を行ったもので、活動自体は1950年頃から行われていたようですね。
外装がモフモフの仕様など、かなり奇怪なものも作ってきた模様。
なお初代(964世代)911ターボSもエクスクルーシブの製作だそうで、外観だけではなくパフォーマンスや物理的な形状についてもカスタムできるようです(過去の多くの限定車もこの「エクスクルーシブ」の手による)。
名称変更を記念し、今回「911ターボS」の特別モデルを発表していて、これについては「エクスクルーシブ マヌファクトゥア」でできることを全部放り込んだような「見本市」となっています。
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そしてBMWの「インディビデュアル」。
ある程度の定型があるようですが、カラー、素材、仕上げなど様々なものを選択でき、もちろん「全部入り」だと相当な価格に。
アプリも公開しており、アプリ経由でもカスタムができるようですね。
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「アウディ・エクスクルーシブ」。
BMWとよく似た内容ですが、ボディカラー、ホイールのカラー変更、内装だと素材や仕上げなどの細かい指示ができ、「世界で一台」の自分だけのアウディを製作可能に。
アストンマーティン「Q」。
言わずと知れた007の特殊兵器製造部門から名称を頂戴したアストンマーティンのビスポーク部門ですが、かなりカスタムの幅が広く、サイトでもこれまでのカスタム例などを公開。
感覚的には「購入した車にオプションを装着する」というものでははなく、「自分だけの車を作るにはどうすればいいか」「こういった車を作りたいが、どうすればいいか」という相談を受け、そこからQが「じゃあこの車をベースとすればいいですよ」とアドバイスを行うような感じですね(問い合わせフォームがある)。
フェラーリ「テーラーメイド」。
基本ラインとして「クラシカ(クラシックなGTカーのイメージ)」「スクーデリア(レーシングカーのイメージ)」「インエディタ(アバンギャルドなデザイン)」の三つがありますが、他にも様々なカスタムが可能。
ワンオフのフェラーリを作ることができる「フォーリ・セリエ」もありますが、こちらは一台3億円程度は必要となっています。
5モデル70種類、合計350台が作られたフェラーリ70周年記念モデルは「テーラーメイド」で作られたものですね。
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ランドローバー「SVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)」。
スペシャルペイントから内装の素材や仕上げ変更、さらには特殊車両の製造やレストアも行う部門。
映画「007」に登場する車両もこのSVOが製作しています。
マクラーレン「MSO」。
マクラーレンをオーダーする人の20%がこれを活用すると言われるプログラム。
ボディカラーのカスタム始め、ボディ外装の「フルカーボン化」、エアロダイナミクス向上のためのエアロパーツ装着、そもそものワンオフモデル製作まで対応する部署ですね。
ランボルギーニ「アド・ペルソナム」。
ランボルギーニの現行モデル(現在だとアヴェンタドール、ウラカン)に対して通常オプションにはないカスタムを施す部門。
ボディカラーのカスタムペイントや内装の素材や仕上げ変更に対応し、複合素材「フォージドコンポジット」の使用も可能となっています。
ポルシェ同様、カタログオプションであっても「アド・ペルソナム」扱いとなっているものもありますね(ウラカン・アヴィオの一部カラーや、グリーンのブレーキキャリパーなど)。
ベントレー「マリナー」。
元々は別会社でコーチビルダーであった「マリナー」をベントレーが買収して自社のカスタム部門としたもの。
時々発表している「鷹匠向け」などのスペシャルモデルはマリナーの作品であり、ベントレーらしい、顧客一人一人に合わせた特別仕様の製作が可能となっています。
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メルセデス・ベンツ「デジーノ」。
時々発売される、通常ラインアップにないカラーもこの「デジーノ」によるもので、こういったボディカラーのカスタムやインテリアの仕上げや素材、カラーの変更を担当。
ワンオフ、というよりはある程度決まった形の中から選ぶというイメージですね。