| トヨタは「ダクトカバーを外せばクーリングやエアフローを改善できる」と言っていたが |
ハードにチューンしたホンダS2000から新型トヨタ・スープラに乗り換えたユーチューバー、Jackie Ding氏。
今回はそのスープラに採用されているエアベント/インテークがどのくらい機能するのかについて解説しています。
なお、新型スープラには多くのエアベント/インテークが設けられていますが、それらの殆どには「フタ」が被せられています。
これは「現時点では必要ないものの、将来的にパワーアップしてゆくと必要になるエアの取り込みや排出を可能にするためにあらかじめ用意している」という大義名分。
そしてトヨタは「大きな(ボディを切った張ったするような)改造ができないカテゴリのレースに参戦する際にも、レギュレーションにひっかからないようにエアフローを改善できる」ようにするため、レースに必要と思われるエアベント/エアインテークを設計段階から設け、しかしロードバージョンでは不要(過剰)とも思われる部位にはフタをしている、ということになっているわけですね。
これを額面通りに受け取るならば、「これらの”ダミーのフタ(カバー)”を外せば、クーリングやエアフローが改善できるはず」。
そこでこれを検証してみたのがJackie Ding氏ということになりますが、その内容を見てみましょう。
フロントフードのエアアウトレット→フェイク
まずはフロントフード上にあるエアアウトレット。
これはエンジンルームの熱、フロントフェンダー内の圧を排出するために設けられているだろうということが想像できます。
ただ、現時点では「カバー」が装着されていて機能しないことは理解しており、要点は「これを外せばどうなるのか」。
こちらがフロントフードを開け、ダミーのカバーの裏側を見たところ。
そもそもフードに穴が開いておらず、つまり外側のカバーを外してもまったくエアは外に出ない、ということに。
つまりエアを外に出すにはボンネットをカットしないといけないということになりますが、もしカットしたとしても、エンジンルームはパッキンで仕切られているので、フードを閉じるとエンジンルーム内の熱は外へと逃げることはできず。
もしくはフロントフェンダー内の圧を抜くにしても、フェンダーのインナーがブロックしていることでやはりエアを外へ出すのは不可能です。
ちなみにこちらはアストンマーティンDB11。
フェンダーのインナー上部からエアを抜き、フェンダーサイドのエアベントからホイールハウス内のエアを抜く構造ですが、本来はこういった構造を持っていないといけない、ということですね。
フロントバンパーのエアインテーク→フェイク
そしてフロントバンパー左右には大きなエアインテークがあり、しかしその上半分はフェイク。
これもパワーアップしたときに必要となる冷却用のエアを取り入れることができるのだと信じられているものの、この部分のカバーを外しても「どこにも風が行かない」ようですね。
一方、下半分の「メッシュが採用され、実際にエアが流れる」部分はちゃんとエアが通るようです(ライトを照らし、光が通ることを確認済み)。
サイドのエアインテーク→フェイク
そしてドア後ろからリアフェンダーに抜けるインテーク。
こちらも純正状態ではカバーが装着され、現時点で機能しないことは十分承知です。
しかしドア外側のカバーを外してもエアが抜ける構造ではなく・・・
そもそもフェンダー側もエアを吸い込む構造を持たないようですね。
そのほかのインテーク、アウトレットもフェイクだった
そしてこちらのインテークもやはりフェイク。
リアのスリットもやはりフェイク。
参考までに、こちらはマクラーレン720S。
どこから空気が入ってどこへ抜けるという流れがひと目で分かる構造を持ち、実際にエアフローもよどみなく抜ける構造を持っています。
このあたり、やはりBMWやトヨタが超えることができない「壁」でもあり、価格差を考えると致し方ない部分ではあるものの、ちょっと残念な部分でもありますね。
ちなみにトヨタはヴァルファイアにて「フェイクマフラー」をオプションとして発売していますが、これは実際のマフラーとは無関係の「マフラー風の装飾をパネルに取り付けただけ」で、パイプの中は貫通していないというシロモノ。
VIA: Jackie Ding