| 世界中探しても、トヨタ・ハイエースをここまで改造する男はほかにいないだろう |
しかも多額の借金をしながらプロジェクトを進行中
さて、トヨタ・ハイエースはある意味で「ランドクルーザーに次いで」世界中で愛されるトヨタのクルマだと言って過言ではないと思いますが、今回は南アフリカのハイエース愛好家が「ハイエースにランボルギーニ風のエアロパーツを装着し、V12エンジン(しかもツインターボ)を突っ込んだ」カスタムカーを製作して話題に。
なお、南アフリカだとハイエースは「クァンタム」として販売されており、主に人々の輸送(タクシー)や商用車として使用されることが多く、趣味性の高い乗り物というよりは「輸送や移動のための手段」として捉えられているようです(日本だと、これらの目的の他、レジャーやカスタムといった楽しみ方も一般的)。
ただしこの男は常識に甘んじることはなかった
そして今回紹介するハイエースのオーナーはジェームス・レデリンゲイスなる人物で、同氏は過去にもイタルジェット・ドラッグスターを世界最速のスクーターにチューニングすることを試みたり、スマート・ロードスターの超速仕様を作ったことも。
そして今回、ジェームス・レデリンゲイス氏はタクシーやミニバスのレンタル事業を促進するため、「イカれた」ハイエースを作ることにしたそうですが、どうやら「当初予定していたよりもずっと先に行ってしまった模様。
というのも、同氏がこのプロジェクトをスタートさせた際には「もっと簡単に事が運ぶと考えていた」そうで、しかしどうやら「やりだしたら止まらなくなった」と語っています。
もともとはターボのポン付けで終わらせるはずだったが
もともと同氏は中古のハイエースを購入してきて、ターボをポン付けして簡単にチューニングを終わらせようとしたそうで(彼にとっては1日で終る仕事のはずだった)、実際に「普通のハイエースの中古」を購入してきて兄の経営するポルシェのチューニングガレージにて作業を開始することに。
ただしそこでジェームス・レデリンゲイス氏は日本のS.A.Dなるエアロパーツメーカーがランボルギーニ・アヴェンタドール風のエアロパーツをリリースしていることを知ってしまい、どうしてもこのエアロパーツが欲しくなってしまいます。
そして生来の「こだわり」がムクリと頭をもたげてきて「もっとなにか出来ないか」と考えるようになり、事態がスパイラル的に泥沼へとハマってしまったようですね(よくある)。
同氏はこのエアロパーツを購入するために日本語の通訳を雇ってエアロパーツを輸入することになるものの、実際に届いたパーツを見たとたん「これはノーマルのエンジンではダメだ。ランボルギーニのようにV12エンジンをミッドマウントせねばならない」と直感してしまい、さらに勢いが加速してトヨタ・センチュリーのV12エンジンを入手することになりますが、なんと同氏はこれをツインターボ化することに。
彼は詩人でもあり、完璧主義者でもあった
どうやら彼は「中途半端なことが嫌いなようで、思いついたことはとことんやらないと気がすまない質のようですが、「スープを作るとき、それは食材の調和でなければなりません。一つのものに偏ってはいけません。すべてのものが同じくらいの割合で入っていなければなりません。これはクルマでも同じです。ひとつのことに注目しすぎるものはいけないのです」とも語っています(ずいぶん詩的な表現ですが、カスタムの必然性を正当化するのに十分でもある)。
つまりは「エアロパーツがエクストリームであるならば、エンジンもそうでないとバランスが取れない」と考えたようですが、この詩的な考えに基づいてハイエースを「まんべんなく」チューンすることにしたわけですね。
ただし事はそう簡単に運ぶわけもなく、エンジンのチューニングに始まり、フロアに大きな穴を開けてエンジンを積み、トランスミッションはじめドライブトレーンとドッキングさせるのは至難の業(左右シートの真ん中からその後ろにエンジンが装着され、とんでもなくうるさそうだ)。
ちなみにエンジンについてはチューンの挙げ句2基をふっとばしてしまい、現在使用しているのは3基め。
そしてサスペンションは「4つめ」のセットアップを使用しているといい、デフについても「2つめ」を用いており、これは現在マスタングGTのものを使用しているのだそう。
ボディカラーについてはランボルギーニ・アヴェンタドール発表時のオレンジによく似た色で、しかし独自の配合を持っており、実際に「アヴェンタドールに使用される塗料の6倍」もコストが掛かっている、とのこと(4層パール)。
まだまだハイエースは進化途中
なお、現在このハイエースはまだ「工事中」であり内装も仕上げ中。
よってこんな感じで色々とむき出しではありますが、今後これはちゃんと見栄え良く収められる予定だとされています。
そしてハイエース本来の目的である「(現地での)タクシー」として機能するようにシートも増設されるようですが、その完成が待ち遠しくて仕方がありません。
こういった改造を見ると、この人物について「お金と時間がありあまっている」人のようにも感じられますが、実際には多額の借金を背負いながらこのプロジェクトを進めているといい、まさに見上げた「カスタム魂」の持ち主ということになりそうですね。
S.A.Dカスタム製のハイエース向けエアロパーツはこんな感じ
そして彼が惚れ込んだというS.A.D製のカスタムパーツですが、たしかに見た感じは「ランボルギーニ」。
ただし「ランボルギーニのデッドコピー」でないのは、想定しうる法的問題を回避するためなのかもしれません。
参照:TopGear, James Redelinghuys(Facebook), S.A.D CUSTOM JAPAN