| 2035年以降、普及車メーカーは販売する新車を100%EVにする以外の道はない |
「合成燃料」「水素」という選択肢はほぼ残されていない
さて、ここ最近様々な方面で話題となっているトヨタ。
やはりその理由としては、これまでEV化に消極的であった姿勢から一転して「ソリッドステートバッテリー(全固体電池)を実用化し、1回の充電で1,500kmを走行できるEVを作る」「ギガキャストを導入し、ほかの手段とあわせてEVの開発コスト、製造コストを半分に圧縮する」と発表したことが大きいものと思われます。
この背景には様々な理由があるものと思われますが、そのひとつは「2035年以降、欧州では内燃機関を積むクルマの新車販売ができなくなる」という決定であることは明らかで、これが施行されるとトヨタは得意のハイブリッドモデルの販売すらもできなくなってしまいます。
「合成燃料(Eフューエル)」という逃げ道はあるが
なお、この「2035年以降に内燃機関搭載車の販売を禁止する」という決定にはいくつかの除外があり、その一つが「合成燃料(Eフューエル)のみを使用するクルマであれば、内燃機関を積んでいても新車販売が可能である」こと。
ただ、この合成燃料はガソリンに比較すると(原価ベースで)5倍〜10倍の価格になるといい、ここに課せられる税金次第ではとんでもなく高価な燃料となってしまいます。
よって、日常的な移動手段として使用されることが多いであろうトヨタ車に(趣味性の強いスーパーカーであればいざしらず)合成燃料を入れるユーザーはほぼいないものと思われ、よってトヨタは2035年以降、欧州(EU)においてEV以外の販売を絶たれると考えて良いのかもしれません(FCVの可能性も残されるが、欧州では水素ステーションの数が非常に少なく、よってこれを一般向けに販売することは期待できない)。
トヨタは2035年以降、欧州で販売するクルマを100%EVにすることが可能である
そして今回、こういった現状につき、トヨタの欧州法人にて最高執行責任者(COO)を務めるマット・ハリソン氏がまず語ったのが「EUが提案するユーロ7(2030年までに、2021年比で二酸化炭素排出量を55%削減することを自動車メーカーに義務付ける)には賛同しない」ということ。
同氏の意図としては「この基準はあまりに現実とかけ離れており」現実的に実施するのは不可能であり、実施するにしても内容が緩やかなものになると考えているようですね(これは他の自動車メーカーのCEOたちも同じである)。
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さらに同氏は「(EUの決定に対応するため)2035年からは販売の100%をBEV(純電気自動車)にする準備が整う」とも語っていて、現在の欧州におけるトヨタのEV販売シェアにつき、2022年のゼロから2025年には15%、2030年には55%、そして2035年には100%になるとも予想しています。
いかにEV積極政策を発表したトヨタといえどもこの計画はいささか楽観的に感じなくもないですが、2035年にはハイブリッドもPHEVも(新車では)販売できなくなり、となると否が応でも「100%EVにしなければ」生き残ることができず、よってこの予想は「予測」ではなく「必達」なのかもしれませんね。
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参照:Automobilwoche