| 一時、トヨタは「儲からない会社」の筆頭だと言われていたが |
今では「儲かる会社」へと見事に変貌
さて、トヨタは昨日、2023年3月期における営業利益が予想の3兆円から大きく伸びて4兆5000万円になると発表していますが、これは前年同期比+65.1%増であるどころか、日本企業初の「3兆円」を大幅に超えるということを意味します。
なお、世界生産と販売が過去最高の水準となっていることについても触れており、売上高は43兆円(前年同期比で15.7%増)に達するであろうことにも言及済みで、生産と販売についてはそれぞれ1,010万台(前年同期比+10.6%)と1,040万台(同8.2%)を見込みますが、これはマイクロチップ(半導体)含むサプライチェーンの回復、そして世界中の旺盛な需要を反映しての結果なのだそう。
トヨタの営業利益増加は販売の好調のみではない
なお、今回トヨタが発表した数字を見てもわかるとおり、販売台数の見込みは10.6%増、しかし営業利益は65.1%増。
これはすなわち「トヨタのクルマが儲かる構造になった(コストダウンできた)」ということがあろうかと思われるものの、為替の変動による影響も考えられ、というのも当初1ドル=125円として計算していたのに対し、今回の発表では1ドル=141円に修正しているため。※実際はもっと円安なので、2023年3月期が終わってみて、実際の為替レートにて最終的な集計を行った場合、4兆5000万円をさらに上回る可能性が大きい
ただ、予想為替レートの差もそこまで(12.8%)大きくはなく、かつトヨタのグローバル生産における(為替差益が出る)国内生産の比率が約30%であることを鑑みると、トヨタが大きく営業利益を伸ばしたということについて、もっと別の(根本的な)理由があるのかもしれません。※トヨタの営業利益率はこの1年で2倍(6%から12%)となっており、もっとも儲からない自動車メーカーから、もっとも儲かる自動車メーカーへと変革しつつある
トヨタはEVの販売予想を大きく引き下げる
そしてトヨタは今回、「好調な営業利益」を発表する一方でEVの販売予想台数を当初の202,000台から123,000台へと大きく(39%)引き下げていて、その代わりに従来型ハイブリッド車の販売を350万台から360万台に引き上げることについても言及しています。
そしてここへ、プラグインハイブリッドと水素燃料電池車(FCEV)を加えるとその予想販売台数は前年度比42%の390万台に達すると見積もっており、これは大きな飛躍と言って良いでしょう。
そしてトヨタ自動車のCFO(最高財務責任者)によると、ハイブリッド車の増産がトヨタに利益をもたらし、これが将来的にBEVを生産・販売するための基盤になったとのことで、つまりハイブリッドの販売を加速させたことで大きな利益を獲得できたとも考えることができそうです。
実際のところ、トヨタ自動車CFOは「ひとつの大きなポイントは、慎重な投資判断のタイミングです。各国のエネルギー事情やインフラ、技術の進化、実際の顧客需要の変化などを考慮しながら、BEVやバッテリーへの投資を総合的に判断したことで、将来に向けた投資を推進するための強固な財務基盤を実現することができました」と述べており、EVのみを未来だと信じ、そこへ大量のリソースを「投じなかった」ことがトヨタを強くしているということなのかもしれません。
参考までに、トヨタは「1台のEVを作るよりも、たくさんのハイブリッドを作ったほうが気候変動対策になる」ともコメントしていますが、これはそのまま「気候変動対策」を「利益」へと置き換えることができそうですね。
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参照:TOYOTA