
| トヨタはテスラのクルマを分解し研究してきたことでも知られるが |
先端技術を「まず中国から」導入するあたり、レクサスの危機感がうかがえる
電気自動車(EV)市場で巻き返しを図るトヨタ・レクサス陣営が、これまでにない革新的な生産技術を導入した「次世代EVクロスオーバー」を投入することが明らかに。
日本経済新聞などの報道によると、レクサスは中国・上海に建設する新工場において、2027年秋より次世代EVの生産を開始する予定だといい、最大の注目点はテスラがパイオニアとして知られる大型アルミ一体成型技術「ギガキャスティング」の採用です。
軽量化による航続距離の伸長と製造コスト削減を同時に狙うことがこの目的で、急速にEVシフトが進む巨大市場・中国でのシェア奪還に向けた「切り札」となることが期待されています。
なお、トヨタ及びレクサスは2023年9月に「2026年から生産する新型EVにギガキャストを導入する」と発表していて、そして今回それが「予定通り」実現することになったのだとも考えられますが、「計画の発表からここまで3年」というスピード感がすでに(タイミングを見計らっていたという可能性もあるにせよ)中国メーカーに先行を許してしまう体質を表しているのかもしれません。※中国の自動車メーカーであれば、発表と同時に導入しているであろう
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【この記事の要点】
- 革新技術の導入:テスラに倣う「ギガキャスティング」を採用し、ボディ構造の大幅な軽量化と航続距離の向上を実現
- 上海新工場での生産:最先端技術を日本や米国ではなく、EV主戦場である中国・上海の新工場から初投入する異例の戦略
- 販売強化の切り札:2027年秋から月産1,000台ペースでスタートし、将来的には年間数万台規模へ拡大を予定

次世代EVクロスオーバーの主要スペック・概要
これまで電気自動車(BEV)の展開において慎重姿勢を見せていたトヨタおよびレクサスではありますが、足元では急速にEVラインナップの拡大を進めており、その中でもブランドの未来を左右する重要モデルの生産計画が具体化しているというのが現実です。※現時点ではこの「次世代クロスオーバー」がどんなクルマなのかは全く不明
| 項目 | 内容 |
| モデルタイプ | 次世代電動クロスオーバー(SUV) |
| 生産開始時期 | 2027年秋(予定) |
| 生産拠点 | 中国・上海(新設の完全独資工場) |
| 採用技術 | ギガキャスティング(大型アルミダイカスト一体成型) |
| 予想生産規模 | 初年度:約1,000台/月 ➔ 順次「年間数万台」規模へ拡大 |
| 主要ターゲット | 中国市場(将来的にはアジア他地域への輸出も視野) |
テスラ追随の「ギガキャスティング」がもたらす革新
「ギガキャスティング」は、従来数十〜数百もの鋼板パーツを溶接・接合して作っていた車体構造(アンダーボディなど)を超大型のアルミ鋳造機を使って一体成型する技術であり・・・。
- 大幅な軽量化:不要な部品や接合用パーツを削減し、車両重量を軽量化できる
- 航続距離の延長:車体の軽量化により、航続距離が数%向上すると見込まれている
- 生産効率の飛躍:部品点数と工程数を圧倒的に減らすことでコスト競争力を高めることが可能
米国のFord(フォード)が次世代モデル「Fathom」に採用を計画しているように世界中の自動車メーカーが追随を進めていますが(スピードを重視する中国ではかなり普及が進んでいる)、レクサスがこの最先端ラインを立ち上げる拠点として選んだのが上海です。
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なぜ最先端技術を「中国・上海」から投入するのか?
トヨタはこれまで最先端の製造技術や重要モデルの初投入を日本や米国の製造拠点に限定する傾向があり、しかし今回のレクサスにおいては、その慣例を破る「稀有な例外」ということに。
その背景には、中国における厳しいEVの競争環境があるとされ、2025年実績においてレクサスの米国販売台数が37万260台であったのに対し、中国市場での販売台数は18万2,458台にとどまっていて、BYDや吉利(Geely)をはじめとする現地EVメーカーが急成長を遂げる中、既存のガソリン車・HVを中心としたラインナップでは苦戦を強いられています。
現行レクサスラインナップにおける位置付け
現在、中国で販売されているレクサスの純電気自動車は「RZ」のみであり、競争が激化する中国市場においてラインナップの拡充は最優先課題ともいえるもの。
実際のところ、「ピュアエレクトリックミニバン」を持たないレクサスは中国「マクサス」「デンツァ」に大きくシェアを奪われており、それを考慮するならば、競争の厳しいクロスオーバーセグメントではなく、まだレクサスの威光が通じる「ミニバン」での投入を検討したほうがいいのかもしれません。
- ラグジュアリーSUV/クロスオーバー:NX, RX, GX, LX
- フラッグシップ・プレステージ:ES, LS, LM
- 現行BEV(電気自動車):RZ
- 次世代BEV(2027年予定):新クロスオーバー(仮称) [ギガキャスティング採用]

上海に新設されるレクサス工場は外資単独出資(100%子会社)としてテスラに続く異例の形態となることがすでに報じられており、電池や電動パワートレイン、スマートコックピット関連のサプライヤーが密集する中国のサプライチェーンをフル活用し、開発期間の短縮と圧倒的なコストパフォーマンスの両立を目指すことが期待されています。
「LF-ZC」コンセプトの市販版がいよいよ現実に?
なお、レクサスは「Japan Mobility Show 2023」等にて2026年〜2027年に向けた次世代EVコンセプト「LF-ZC」を公開していますが、今回の上海生産モデルは、このLF-ZCで提示された「モジュール構造」「車載OS(Arene OS)」といった新世代BEVアーキテクチャの要素を色濃く受け継ぐ可能性が指摘されています。※LF-ZCそのものは開発が中止されたと報じられているが、それまでに培った知見が次世代EVに活かされることについても言及されている

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ギガキャスティングの課題とレクサスの信頼性
ギガキャスティングはコストと軽量化に優れる反面、「事故時の修復難易度が高い」「万が一の交換費用が高額になりやすい」というデメリットも存在し、高品質で知られるレクサスがこれらの補修性や長期耐久性の課題に対してどのような独自の品質基準(レクサス・クオリティ)を盛り込んでくるかにも注目が集まるところ。
なお、一部中国の自動車メーカーすでにこの課題を解決し、「部分的に修理が可能な」ギガキャスト車両を市場へと投入していますね。
グローバル展開への波及効果
このギガキャストにつき、当面は中国市場専用車または中国からの輸出車を中心とした生産体制(初期は月産1,000台規模)になると報じられていますが、ここで培われたギガキャスティングの量産ノウハウや低コスト調達ネットワークは、将来的に日本の元町工場や米国の生産拠点へフィードバックされる見通しであることについても報じられています。
結論
上述のように、レクサスが2027年秋に投入する次世代EVクロスオーバーは「単なる新車の域を超え」、同社のモノづくり革命を象徴する重要なモデルになるものと思われ・・・。
- 技術革新:「ギガキャスティング」により軽量化と航続距離向上、コスト削減を実現
- 戦略転換:最先端技術を上海工場から投入し、世界最大のEV市場・中国での復活を目指す
- 今後の期待:中国市場での成功を足がかりに、世界基準のプレミアムEVへと昇華することが期待される
巨大EV市場での生き残りをかけたレクサスの挑戦は、今後の電動化戦略全体の成否を占う重要な指標となりそうですね。
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参照:日本経済新聞











