| まさに前途多難 |
トヨタが「空飛ぶ車」の開発を行うと報道されましたが、今のところ試作車は「飛ぶ」前にクラッシュしてしまうというのがその現状。
この「空飛ぶ車」はもともとトヨタの社内有志が集まり進めてきたプロジェクトで、今回これにトヨタが「会社として」資金を出す方針を決めた、ということになります。
よって試作品はまだトヨタ公式といえるものではないと思うものの、東京オリンピックの開催される「2020年までの実用化」はちょっと難しそう。
というのも空を飛ぶには推進力が必要ですが、これを得るには現段階で「ジェット」か「プロペラ」となり、ジェットは燃費や騒音、発着場所の問題があり「パーソナルモビリティ」としてはまず無理。
となると「プロペラ」となりますが、これも燃費ほかモロモロの事情を考えると「電動」になると思われ、となると「コスト」「重量」「稼働時間」というEVと同じ問題が立ちはだかることになります。
このうち「コスト」は大きく、たとえ車体(機体?)が技術的に実現できたとしても「運べる人数」が少ないためにコスト回収が困難。
一般の人が利用できるような料金設定には(購入にせよ公共交通機関にせよ)ならないでしょうし、普及するような料金設定とするには「メーカー(もしくは国)の大きな負担」が必要であり、そこまでメーカーが先行投資を行うかどうか、という懸念も。
加えて「航路」も問題もあり「風」や、同じような「空飛ぶ車」と上下ですれ違うと気流が乱れて姿勢を崩す可能性、墜落したときの人的・物的ダメージを考慮するとまだまだ実現するには「道のりは遠く」、無人飛行も実現していない段階での「2020年の実用化」は難しそうですね。
なお、こちらはトヨタの「理想」。
そして現実。
もちろんすべての偉業はこういった挫折を経て達成されることは理解しており、今後に期待したいところです。
エアバス社も2020年の実用化を前提に実験を重ねていると言いますが、こちらは現在イタルデザインとの協業にて推進中。
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ときどき奇妙な特許を出願するトヨタですが、今回は「変形する空飛ぶ車」の特許。
車体後部にプロペラを備え、車体の後ろ半分が飛行時には変形する模様。
この図面だけを見ると「?」ですが、もちろんトヨタとしては実現するために特許を出願していると思われ、そのうちこれを再現したコンセプトカーが出てくるかもしれませんね。
ぼくらが子供の頃に思い描いた未来の自動車というと「空をとぶ車」ですが、プロペラを使用した車だと離着陸に距離を要しそうで、実際に移動手段として使用するのは難しそうですね(この車は日常の移動手段ではなくレジャー用なのかもしれない)。
都市部での移動に「空を飛ぶ車」を使うとなると垂直離着陸が必要なように思いますが、エネルギーのムダが大きかったり、実現できても「合流」という問題もあり、さらには空中の三次元的な交通整理を考えると実用は難しいのかもしれません。
「マイノリティ・リポート」のようなチューブ式の「決まったところを走る」車か、「トータル・リコール(リメイク版)」のように電磁浮遊式で多層構造の道路を走る方式であればまだ実現の可能性は高そうですね(重力をコントロールして車体を浮かせるのはできそうにない)。
なお、マイノリティ・リポートでは都市部ではチューブを使用した車、田舎では通常のタイヤ走行の車と使い分けられており、いっそう現実的であったと思います。
仮に「空を飛ぶ車」が実用化されたとしても、これを一般人に運転(操縦?)させると交通が混乱しそうで、そのときは完全自動運転でないと収集がつかなくなると思いますが、今後自動車は段階的に自動運転化→空を飛ぶ(宙に浮く、多層式もしくは複数のチューブを移動する)というように変化してゆくのかもしれない、と考えたりします。