| あのシーンを走ったクルマを手にできるとなれば相当熾烈な争奪戦となりそうだ |
映画史上、もっとも有名なクルマのうちの一台、「エレノア・マスタング」。
これは「60セカンズ(2000年)」に登場したもので、その人気の高さから数々のレプリカが存在します。
しかしながら、今回紹介するのは「実際に映画に登場した個体そのもの」。
つまりレプリカではなく「本物」ということになりますが、その本物のエレノア・マスタングが来年1月にメカム(Mecum)の開催するオークションに登場することが明らかに。
このエレノア・マスタングはもちろん撮影のために製造されたもので、製作にあたったのはシネマ・ビークル・サービス社。
映画の撮影には11台のエレノア・マスタングが製作されたと紹介されていて(”3台”説もあった)、この個体は主に外観や内装の大写しになるときに使用されたほか、クライマックスの「ロサンゼルス市街から埠頭まで」のカーチェイスシーンに使用されたもの。
つまりは11台の中でもっとも出番が多かった個体だと思われ、かつ細部まで作り込まれた個体だとも考えて良さそうですね。
「エレノア・マスタング」はこうやって作られた
なお、メカム・オークションによると、このエレノア・マスタングのデザインはスティーブ・スタンフォード氏によって作成され、それを細かく現実的に調整したのが有名カスタムカーショップのチップフーズ(Chip Foose)。
その後シネマ・ビークル・サービス社が1967年製のフォード・マスタングをメースにGT500風の架装を施し、カスタムホイールや追加ランプ設置、「ペッパーグレイ・メタリック」の塗装を施した、とのこと。
画像を見ると「新車同様」に見え、それもそのはずで、このエレノア・マスタングはつい最近、シネマ・ビークル・サービス社によってレストアが施されたばかりだそう(レストア後から145キロしか走っていない)。
劇中にて破損したドアミラーなども元通りとなっています。
なお、劇中ではこのエレノア・マスタングは「ユニコーン」だと表現されていますが、それはユニコーンは(美しき処女意外は)制御不能で捕まえることができない動物でもあり、このエレノア・マスタングもまた、これまで「どうしても盗めなかった」という比喩にて使用されていたわけですね。※ユニコーンは比喩として映画に登場することが多い。ほかに「ブレードランナー」など
映画のラストでは、ボロボロになったエレノア・マスタングを合法的に手に入れたメンフィス(ニコラス・ケイジ)が元カノのスゥエイ(アンジェリーナ・ジョリー)とドライブに出かけようとするシーンがありますが、アンジェリーナ・ジョリーはなんとドアを開けてではなく窓からこのクルマに乗り込んでおり、「あれは名シーンだったな」と今でもバッチリ記憶しています。
この個体はカーチェイスに使用されただけあって足回りもしっかりチューンされており、トータル・コントロール・プロダクツ( Total Control Products )製のサスペンション、ウィルウッド( Wilwood )製のブレーキシステムが装着されている、とのこと。
エレノア・マスタングのNOSは本当に作動する
さらにこのエレノア・マスタングは撮影用といえど実際のハイスピード走行に耐えうるように作り込まれており、エンジンはアルミ製ヘッドを装着した5.8リッターV8(イグニッションシステムはMSD)。
カムシャフト等も変更されるカスタムエンジンとのことですが、出力については不明です。
なお、エキゾーストシステムはマグナフローによるステンレススティール製で、マフラーエンドは「サイド出し」。
エンジンルームにはピロボール式の補強バーが組まれており、おそらくは相当なパワーを発生するものと思われます。
そしてトランクルームにはNOS(ナイトラス・オキサイド・システム)。
このNOSは飾りではなく、実際に作動し、作動時には「+100馬力」を稼ぎ出す、と紹介されています。
エレノア・マスタングのインテリアはこうなっている
そしてこちらはエレノア・マスタングの室内。
さすがに「室内撮影」にも使用されただけあって完璧な作り込みを持っています。
ちなみに「パワーステアリング」が装着されているそうで、NOSはもちろん、上述のディスクブレーキ等の装備もあり、「普通に乗れるハイパフォーマンスカー」でもありますね。
ステアリングはウッド、ペダルはアルミ、ハースト製のシフター装備。
シートハローバック、そしてオートメーター製の追加タコメーターが見えます。
センターコンソールには消化器、そしてNOSをアクティベートするためのスイッチ。
一度でいいのでこのスイッチをパチンと入れ、NOSを噴射してみたいと思うのはぼくだけではないはず。
そしてNOSの噴射はシフトノブに取り付けられたボタンにて。
「GO BABY GO」の文字が感涙モノ。
そのほかにも多数のカスタムパーツが取り付けられており、「60セカンズに登場した」という肩書がなくとも、一流のカスタムカーであるのは間違いなさそう。
メカム・オークションでは予想落札価格を公開していませんが、「またと出ない」名車であるだけに、相当な値が付きそうですね。
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VIA: Mecum Auctions