| ポール・マッカートニーの他、ロッド・スチュワート、フランク・シナトラなどミュージシャンにはランボルギーニ好きも多い |
やはり当時の「反主流」という精神が支持されたのだろうと思う
さて、ランボルギーニは今年で「V12ガソリンエンジンのみで走行する」モデルの生産を終えることになりますが、新しい時代を迎える前に、その過去にスポットライトを当てるコンテンツをいくつか公開しています。
そしてその最新シリーズがこの「ランボルギーニ400GT 2+2」で、これは1963年にランボルギーニが設立されたわずか3年後に発売されたグランドツアラーであり、1964年に発売された350GTの後継モデルという位置づけです。
なお、350GTはランボルギーニ「初」のクルマですが、これはフェラーリの扱いにくさ、非日常性に対抗し「乗りやすく快適な」GTカーとして誕生したもので、そのホイールベースを延長し4座としたものがこの400GT(350GTは3+1という変則的なシートレイアウト)。
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このクルマがランボルギーニ?
仮に現在のランボルギーニしか知らなければ、このクルマをランボルギーニだと認識することは難しいかもしれませんが、ランボルギーニを「エキゾチックなスーパーカーメーカー」へと方向転換させたのは大排気量初のミドシップカーであるミウラの登場(1966年)、そしてその後のカウンタック(1974年)だと考えてよく、カウンタック以前のランボルギーニには「フロントエンジン、4シーター」というパッケージングが多く見られます。
そしてこのランボルギーニ400GTのフロントに搭載されるのは4リッターV12(320馬力)、トランスミッションは5速マニュアル、駆動方式はFR。
ボディサイズは全長4,470ミリ、全幅1,727ミリ、全高1,257ミリ、ホイールベースは2,550ミリという、現代の基準からするとかなりコンパクトなクルマですね。
ランボルギーにとポール・マッカートニーは縁が深い
そして今回、ランボルギーニはこのメタリックグレーの400GTにてアビーロード・スタジオからサヴィル・ロウ、そしてその間にある多くの有名な通りを網羅するツアーへと出ることに。
これはビートルズが1962年10月5日にリリースしたデビューシングル「Love Me Do」の60周年記念日に敬意を表しての試みだといいますが、1969年1月30日にサヴィル・ロウのアップルコープ本社の屋上で(伝説となる)最後のライブを行ったとき、その真下の路上にロッソ・アルファ(赤)とネロ(黒)内装を持つランボルギーニ400 GTが駐車しており、その実際の様子はピーター・ジャクソン監督のビートルズ・ドキュメンタリー映画「ゲット・バック」でも見ることが可能なのだそう。
ビートルズの4人のメンバーはそれぞれクルマ好きとしても知られていて、その中でもとくにポール・マッカートニーはランボルギーニを愛したことでも知られ、以前には自身が所有していたというダークレッドのランボルギーニ400GTがオークションへと出品されたことも(下の画像)。
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なお、このランボルギーニ400GTのデザインはカロッツェリアリア・トゥーリングが担当し、ベルトーネがデザインを担当するのようになったのはミウラやエスパーダ以降となっています。
今見るとその美しさには改めて感銘すらおぼえますが、今回のツアーを映像に収めたのは当時ポール・マッカートニーに何度もインタビューした経験を持つイギリスのジャーナリスト、そして放送作家でもあるディラン・ジョーンズ氏。
同氏は「ロンドンはマッカートニーがインスピレーションを得た場所であり、ロンドンは彼の作曲、創作過程、そして無限の好奇心に影響を与えた都市でした。彼が自分をどちらかといえば伝統主義者だと考えていたにもかかわらず、ロンドンのアンダーグラウンド・カルチャーで起きている目まぐるしい変化が彼の創造性を刺激し、ジョン・レノンと協力し、比類なき一連の音楽的傑作を作り上げたのです」とコメントしています。
そしてランボルギーニ400GTもまた比類なき傑作であることは間違いなく、当時「もっとも優れたグランドツアラー」という名声をほしいままにしていたという事実についても(V12エンジンの時代が終わったとしても)ぼくらの心に永遠にとどめておく必要がありそうですね。
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参照:Lamborghini