| どう考えても現在の株価は「行き過ぎ」であり、いつビンファスト株の大暴落があってもおかしくはない |
アメリカに上場する新興自動車メーカーの株価はときとして「暴騰」しがちである
さて、ベトナム初の自動車メーカーとして誕生したヴィンファスト(ビンファスト / Vinfast)。
ヴィンファストはベトナム一の富豪であるファム・ニャット・ヴオン氏の支援を受けて2017年に設立され、その後2019年には第一号車を発売するというスピード展開を見せています。
なお、この”設立間もない自動車メーカー”がこれほどまでに速く車両を生産できた理由としては、BMW等から生産設備を丸ごと購入するという(半ばノックダウンに近い)生産方法を採用したからであり、開発費や開発期間を大きく節約できたからだと言われています。
その後、ヴィンファストはEVメーカーへ
さらにヴィンファストが優れていたのは、「すでに完成された車体」の上にデザイン性に優れるボディを載せたこと。
このボディはピニンファリーナによるデザインだとされ、信頼性の高い車体に美しいピニンファリーナボディという魅力的な組み合わせをもって一気に人気を拡大させたわけですね。
その後も既存自動車メーカーの工場を買収したりといった拡大を続け、そして現在ではEVメーカーへと転身を図るなど時代にマッチした動きを見せていますが、要は「ビジネスセンスに長けていた」ということなるのかも。
つまり、ビンファストの創業者は「理想の自動車」を追い求めて高性能車を作ろうとしたわけではなく、単に競争力のあるクルマを作って商業的な成功を目指したのだと考えられ、実際に2022年にはニューヨーク証券取引所へと上場を申請するなど、相変わらずのスピーディーな展開を見せています。
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ベトナム初の自動車メーカー、ヴィンファストが米証券取引所に上場を申請。2017年に創業した後2019年には一号車を発売、現在はEVメーカーへと華麗に変身
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上場後の株価は「ジェットコースター」
そしてヴィンファストは8月15日に上場(IPO)を果たして38.78ドルにまで株価が上昇し、しかしその週には一気に13.94ドルにまで下落してしまいます。
ただ、今週に入ってヴィンファストの株価は急上昇を見せ、なんと89ドルにまで上がって時価総額2000億ドルを記録するまでに至り、つまりこれはテスラ、トヨタに次いで地球上で3番目に価値のある自動車メーカーとなったうえ、ゴールドマン・サックスやボーイングよりも価値がある会社になったということを意味します。
しかしながらこの”ジェットコースターのような”株価の上下にはいくつか注意点があり、まず浮動株が非常に少ないこと。
ヴィンファストの創業者であるファム・ニャット・ヴオン氏が、いまだ同社株の99.7%を所有しており、投資家が売買できる株式はごく少数にとどまります。
よって、ちょっと買い注文が集まれば株価が大きく変動し、そしてそれを見た他の投資家がまた買い注文を出すことでどんどん株価が上がってゆくわけですね。
こうやってヴィンファストの株価は「実態とかけ離れたもの」となってゆくわけですが、ヴィンファストはアメリカ市場において、今年のみだとわずか137台しか納車しておらず、おまけに北米の自動車評論家からはその品質が疑問視されており、将来的なポテンシャルについてはあまり明るくはないだろう、とも。
こういった事情から、一部のアナリストは投資家にヴィンファスト株を売ることを勧めているといい、また一部の専門家はヴィンファスト株のパフォーマンスは「バブル」であり、いつ崩壊してもおかしくないと断言してる、というのが現在の状況です。
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