
| かつての日産の状況は「不健全」だとも表現される |
しかしいまの日産は再び熱い魂を取り戻しつつある
日本の自動車大手の雄でもある「日産自動車(Nissan)」。
近年、業績の低迷や度重なる経営陣の刷新など苦しいニュースが続いていましたが、2025年4月に新たに就任したCEOイヴァン・エスピノーサ氏(47歳)のもとで、今まさに会社を根底から変える大改革が断行されています。
そこで今回、エスピノーサ氏は米メディアのインタビューに対し、これまでの日産が陥っていた「台数、台数、また台数(Volume, Volume, Volume)」と、ただひたすらに販売規模だけを追い求めてきた旧来の拡大路線が明確な「間違い」であったと非常に率直な言葉で認めており、特にアメリカ市場において、安価なクルマのレンタカー業者への販売(フリート販売)へと過度に依存したことが結果として日産のブランドイメージを著しく傷つけ、リセールバリューの低下を招いたと猛省することに。※レンタカー業者へのリース販売を大量に行うと、一定期間経過後にリース落ち車両が一斉に中古市場に出てきて相場が大きく下落する
ここでは、この衝撃的な告白の背景にある日産の過去の過ちと現在進行中の大胆な再建計画「Re:Nissan(リ・ニッサン)」による劇的な変化、そしてファン待望の新型車情報について考えてみたいと思います。

Image:Nissan
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この記事の要約(30秒チェック)
- 数から「質」への転換: 新CEOエスピノーサ氏は、ブランド価値を下げていた「米国でのレンタカー市場への過度な依存」から脱却すると宣言
- 痛みを伴うリストラ: 世界で約2万人の人員削減、7つの工場と2つのデザインスタジオを閉鎖する大規模なコスト削減が進行中
- 開発効率の劇的アップ: 新車の開発期間を52ヶ月から37ヶ月へ短縮。プラットフォーム数も13から7へと半減させる
- 名車の復活に期待: 北米では伝統の本格SUV「エクステラ」がV6ハイブリッドで復活。国内では今冬に新型スカイラインがお披露目へ
- 生粋のクルマ好きトップ: エスピノーサCEOは私生活で「Z(フェアレディZ)」を毎日運転する熱狂的な車好き。「シルビア」や「GT-R」の復活にも前向き
「台数の呪縛」が日産ブランドを安売りさせてしまった過去
かつての日産(特にカルロス・ゴーン氏の時代から前CEOの時代にかけて)は世界シェアや販売台数の拡大を最優先事項として掲げており、その結果としてアメリカ市場などではディーラーに巨額のインセンティブ(値引き原資)を支払い、フリート販売と呼ばれる「レンタカー会社への大量格安販売」に頼ることで表面上の数字を作っていたという内情も。
しかし、レンタカーとして街に溢れたクルマは中古車市場に大量に流入し、日産車全体のリセールバリュー(下取り価格)を暴落させてしまい、これが「日産=売却価格が低く安いブランド」という悪循環を生んでしまうことに。
そこで今回、2025年4月に生粋の「日産っ子(2003年にメキシコ日産に入社し商品企画を歴任)」としてトップに登り詰めたエスピノーサ氏がロイターの取材に対しこう断言しています。
「以前は『とにかく数だ、台数だ、ボリュームだ』という状態でした。しかし、これは自動車会社を運営する方法としては決して良いやり方ではありません」
彼は今後、こうしたレンタカー市場からは「距離を置く」方針を明確にし、値引きに頼らない「商品力と品質」による真のブランド復活を目指すといい、現に、直近のJ.D.パワーによる顧客満足度調査では、日産の初期品質が大きく向上しているという明るい兆しも見え始めています(台数を追求するに際してコストを引き下げていたという事実もあり、いわゆる”日産タイマー”の存在も報じられた)。
復活・投入が予定されている注目モデルのスペックと概要
新戦略「Re:Nissan」では、ただ生産規模を縮小するだけでなく、浮いたコストを「魅力的な新型車の投入」へと一気に集中させるという方針を掲げていて、開発期間を従来より1年以上短縮して市場に新鮮なモデルを矢継ぎ早に投入する計画をも公表しており、現在判明している日産反撃の狼煙(のろし)となる主な注目車種は以下の通り。
- 新型エクステラ(Xterra)
- 特徴: 北米を中心に絶大な人気を誇った本格オフローダーが伝統の「ラダーフレーム(ビルトインフレーム)」構造を引っ提げて待望の復活
- パワートレイン: ガソリンV6エンジン、および新開発のV6ハイブリッドシステム
- 価格帯: スタート価格は4万ドル(約640万円)以下を目指す
- 発売時期: 2028年モデル(2027年以降)を予定
- 新型スカイライン(Skyline)
- 特徴: 日本が世界に誇るグランドツーリングカーの次世代型
- 展開: 2026年冬に日本国内で公式発表予定。その後、北米市場向けに高級車ブランド「インフィニティ(Infiniti)」の新型セダン/クーペとして展開される
- ローグ(日本名:エクストレイル)e-POWER
- 特徴: 北米での最量販SUVに、いよいよ日産の核となる電動化技術「e-POWER」を投入
- 仕組み: 小型3気筒ターボエンジンは「発電専用」としてのみ作動し、100%モーターの力で力強く車輪を駆動するレンジエクステンダーEV。2027年モデルとして北米に投入
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構造改革「Re:Nissan」の主なデータ一覧
そして日産を筋肉質な体質へと変貌させるための主要な数値目標は以下の通り。
- 人員削減: グローバルで約20,000人の雇用を最適化
- 拠点の統廃合: 世界の7つの工場、および2つのデザインスタジオを閉鎖
- 生産能力の適正化: 年間350万台から250万台へ縮小(身の丈に合った効率的な生産へ)
- プラットフォームの削減: 13種類あった土台を7種類へ統合・半減
- 開発期間の短縮:
- 次世代コアモデル:52ヶ月 ➡ 37ヶ月
- 派生・派生モデル:50ヶ月 ➡ 30ヶ月
知っておきたい自動車業界の視点:ホンダとのアライアンスと「エンスーCEO」の期待感
現代の自動車トレンドを語る上で外せないのが「ホンダ(Honda)との協業」および「日産スポーツカーの未来」。
過去数十年にわたり日産はルノーとのアライアンスを軸に世界を戦ってきましたが、その関係が対等に見直された今、次の生存戦略として「ホンダとの提携」に大きく動いており、EVのコア部品やソフトウェアの共通化を進めることで中国勢をはじめとする新興EVメーカーの価格破壊に対抗する狙いがあり、「資本提携あるいは買収」は流れたものの、「戦略的提携」はまだ有効であり、ここから生まれる成果には期待したいところです。
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そして何より、日本の、そして世界中の自動車ファンがエスピノーサCEOに期待を寄せる最大の理由は「彼が毎日フェアレディZを自分で運転して通勤するという筋金入りのクルマ好き(エンスージアスト)だから」。
実際のところ、彼は「私はミニバンを作るために日産に入社したのではない」とも断言しており、スポーツカーに掛ける情熱は専業メーカーにすら負けないのかもしれません。

Image:Nissan
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単に数字を削るだけの冷徹な経営者ではなく、クルマの走りの楽しさを知る彼だからこそ、インタビューの中で「シルビア(Silvia)の復活」や次世代「GT-R」の開発について前向きな言及を残しているのであって、実用的な「売れるクルマ」でしっかりと利益を稼ぎ、その利益をもってファンの心を熱くするスポーツカーを作る――そんなかつての「技術の日産」の黄金パターンが彼のリーダーシップによって戻ってこようとしているのが日産の現在地というわけですね。
結論
「Volume, Volume, Volume(数、数、数)」から脱却し、1台1台の価値とクオリティを高める道を選んだ日産。その舵取りを担う新CEOイヴァン・エスピノーサ氏の改革は、まさに日産の歴史における最大の転換点と言えます。
工場閉鎖や人員削減といったニュースは一見するとショックではありますが、それはこれまでの無理な拡大路線の膿(うみ)を出し切り、次の時代へ生き残るための「不可避な手術」ともいうべきもの。
その先に待つのは今冬発表される新型スカイラインやハイブリッド化されるエクステラ、そしていつかぼくらをワクワクさせてくれるであろう新型シルビアやGT-Rの姿です。
この構造改革の成果が目に見える形で数字や商品として現れるまでにはまだ2〜3年の歳月が必要で、しかし毎日スポーツカーのステアリングを握るトップが率いる新生・日産ならば、きっとまた「他がやらぬことをやる」熱い日産を見せてくれることとなりそうですね。
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