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とんでもない価値を持つロレックス・デイトナ、GMTマスターが競売に!ポール・ニューマンが自身のスタントマンに感謝と安全祈願をこめて贈った特別な腕時計

2022/12/07

とんでもない価値を持つロレックス・デイトナ、GMTマスターが競売に!ポール・ニューマンが自身のスタントマンに感謝と安全祈願をこめて贈った特別な腕時計

| ロレックスGMTマスターにはポール・ニューマンからのメッセージも刻印されている |

ロレックス・デイトナはもともとポール・ニューマンが身につけていたものだった

さて、ポール・ニューマンはロレックスの愛好家として知られ、同氏が愛用していたコスモグラフ・デイトナ”エキゾチックダイヤル”は「(いつもそれを身に着けていたので)ニューマンダイヤル」と呼ばれるようになり、こういったストーリーからも、いかにロレックスを愛していたかがわかります。

ちなみにポール・ニューマンが実際に愛用していたロレックス・デイトナは2017年のオークションにて17,752,500ドル(約24億円)というぶっちぎりの高値で落札されており(ぼくの記憶では、その次に高額で落札されたロレックスは6億円台である)、それだけポール・ニューマンの名はロレックスの価値を押し上げているということになりますね。

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ポール・ニューマンがスタントマンに贈ったロレックスが競売に

そして今回明らかになったのが、12月9日にサザビーズが開催するオークションにて3本のロレックスが出品され、そのうちの二本はポール・ニューマンに関するものだということ。

これら3本の腕時計はいずれもスタントマンとして活躍したスタン・バレット氏が所有するもので、このうち1977年頃に製造されたロレックス1675 GMTマスター「ペプシ」、1969年頃製造とされるロレックス・デイトナ(6262)は両方ともポール・ニューマンがスタン・バレット氏に贈ったものだと紹介されています。

現在79歳のスタン・バレット氏はポール・ニューマンについて「彼は特別な男だった。静かで控えめで、決して自分から注目を浴びようとはしなかった」と語っていますが、そんな2人が仲良くなったのは一緒に行った(1968年頃の)スキー旅行だといい、1泊のつもりがついつい1週間の滞在となるほど2人は多くを語り合ったのだそう。

なお、スタン・バレット氏は敬虔なキリスト教徒、ニューマンは無神論者であったものの、「政治や信仰、あるいはその欠如について議論したことはない」といい、人間の根幹の部分から信頼しあっていたのだと思われます。

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スタン・バレット氏は、ポール・ニューマンの他、スティーブ・マックイーン、バート・レイノルズほか大物俳優のスタントマンを務めていたそうですが、とりわけポール・ニューマンとは親交が深く、様々な贈り物をもらっていたといい、このGMTマスター(40mm、ステンレススチール製)はロレックスのオイスターリベット付きブレスレットを備え、1978年6月に発行されたロレックス公式クロノメーター証明書つき。

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ケースバックには「STAN BARRETT 739 MPH MACH 1.0106 12-17-79」のメッセージが刻印されています。

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ポール・ニューマンのロレックス・デイトナはこれ以上ない価値を持っている

そしてもう一本のロレックス・デイトナですが、こちらにはもっと深いストーリーがあるもよう。

これはもともとポール・ニューマン自身が所有していた1本だといい、その際に装着していたブルーのベルクロストラップが装着されていて(ポール・ニューマンはベルクロのストラップが好きだったようで、このほかにもベルクロストラップを取り付けた腕時計を装着されていることがわかっている)、オリジナルのフォールディングクラスプ付きステンレススチール製オイスターブレスレット、ロレックスのサービスボックスと冊子も付属している、とのこと。

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そしてなぜこのデイトナがスタン・バレット氏に贈られることになったかについては興味深いストーリーが語られています。

スタン・バレット氏によれば、同氏は1979年に音速を(クルマで)超えるというプロジェクトに参加しており、これは「トランザム7000」の監督でオスカー受賞者でもあるハル・ニーダムが100万ドルもの私財を投入して進められたもので、そのパイロットとして白羽の矢が立ったのがスタン・バレット氏。

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同氏は48,000馬力を発生する固体燃料ロケットエンジンを積むクルマ(というかロケット)をドライブすることになりますが、スタートしようとするまさにその瞬間、ポール・ニューマンがスタン・バレット氏に「おい、俺の時計を頼むよ」と言い、自身のロレックス・デイトナを手渡した、と述べています。

スタン・バレット氏は、その言葉について、ポール・ニューマン流の照れ隠しだったんじゃないかと語っており、つまり、ポール・ニューマンは同氏に対し、「無事に戻ってこいよ」と言いたかったのだと解釈していて、「彼は何事もおおげさにしたくなかったんだ。いつもクールだった」とも。

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さすがはポール・ニューマンだな!

実際にスタン・バレットは音速を達成したと信じられている

もちろんスタン・バレット氏は無事にスピードチャレンジを終えることになりますが、合計18回の走行を行って「時速739.66マイル(1.0106マッハ)」を達成したものの、レーダー速度測定器の故障もあって、この記録したは公式レコードとして認められないという結果に。

ただ、スタン・バレット氏は音速突破時のソニックブームを聞いたと証言しており、その後アメリカ空軍が調査を行い、200ページもの書類で構成される報告書によれば「99.16%の確率で音速を超えた」。

その後、このクルマはスミソニアンの国立アメリカ歴史博物館に収蔵されることになりますが、こういった事後の出来事もあって、スタン・バレット氏とロケットカーは音速を超えたものだと信じられています。※よって、このロレックス・デイトナは、ポール・ニューマン所有、そして友人への贈り物、さらに音速を超えたというとんでもない価値を持っている

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そこで上述の最高速チャレンジが最後のロレックスGMTマスター(1675)に話がつながるのですが、これはスタン・バレット氏の偉業をたたえ、アンハイザー・ブッシュのCEOであったオーガスト・ブッシュ氏がスタン・バレット氏に贈ったもの(この速度記録チャレンジは、ビールのバドワイザーがスポンサーに付き、バドワイザーを製造するのがアンハイザー・ブッシュである)。

ケースバックには「Stan Barrett - Driver - Budweiser Rocket Car 739.66 MPH December 17 1979 」の刻印がなされ、ケースとジュビリー・ブレスレットは18K、そしてロレックスのプレゼンテーション・ボックス、ブックレット、ポリッシングクロスとタグ、バレットのサイン入り写真5枚がセットになっていると紹介されています。

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スタン・バレット氏によれば、ポール・ニューマンとの仕事の際には必ず「デイトナとGMTマスター」を持って臨んでおり、スタントの際には「その頑丈さから」GMTマスターを使用することが多かったといいます。

付属品が揃うところから見ても、スタン・バレット氏がいかにこれらのロレックスを大事に扱ってきたかがわかろうというものですが、そこで気になるのが「じゃあ、なぜスタン・バレット氏がこれらロレックスを売ろうと考えたのか」。

その理由はいたって明快で、「この腕時計の価値が高くなり、存在が知られている以上、誰かがこれを盗もうとしたり、家族に危害が加わる可能性を恐れたから」。

スタン・バレット氏は自身の息子たちにこの腕時計を身につけることを許しているといいますが、もしそれを盗もうとして腕を切り落としたり、最悪の場合は命を奪われることを懸念していると語っていて(これは現実に起こりうると思う)、さらには利益を得たいがために売却するわけではなく、その収益金はスラブ福音協会とネル・ニューマン財団に寄付する、とも声明を出しています。※もちろん息子たちはこれらロレックスの売却に反対しているらしい

なお、オークションハウス、サザビーズによれば、GMTマスターは(ステンレス、ゴールドとも)5万ドルから10万ドル、デイトナは30万ドルから50万ドルで落札されるというエスティメイトを出していますが、実際の落札価格はそんなものではないかもしれませんね。

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参照:Sotherby's

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