
Image:IWC
| リューズがない。宇宙専用腕時計がいままでの常識を覆す |
IWCが「まさかの宇宙」へと活動領域を拡大
2026年の「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ」にて、IWCシャフハウゼンが時計史に刻まれる衝撃作を発表し、その名は「パイロット・ベンチュラー・バーティカル・ドライブ」。
名前だけを聞くとどういった腕時計なのか想像がつきませんが、なんとこれは「宇宙イメージ」の時計ではなく、民間宇宙ステーションへのフライトを前提にゼロから設計された、正真正銘の宇宙空間「専用」腕時計なのだそう。
この記事の要点
- リューズレスの革新: 厚手のグローブ着用時を想定し、ベゼル操作で全ての機能を完結させる新機構
- 宇宙ミッション対応: 24時間表示のミッションタイムと120時間の驚異的なパワーリザーブを搭載
- 素材の極致: セラミックと「セラタニウム」を組み合わせ、過酷な温度変化と衝撃に耐えうる堅牢性を実現
- 公式認証: 世界初の商業宇宙ステーション「Haven-1(ヘイブン1)」へのフライト認証を取得

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宇宙船外活動(EVA)を見据えた、執念の設計
このパイロット・ベンチュラー・バーティカル・ドライブの基本思想は「腕時計」というよりは完全なる「計器(ツールウォッチ)」。
よって高級機械式腕時計のような、装飾や素材にこだわった腕時計ではなく、ただ一点、「機能」のみにフォーカスした設計を持っています。
たとえば、宇宙飛行士が船外活動を行う際、加圧された宇宙服のグローブで小さなリューズを操作するのは不可能で、IWCはこの課題に対し、「時計にリューズを付けない」という大胆な答えを出しているわけですね。
代わりに搭載されたのが、特許申請中の「バーティカル・ドライブ(垂直駆動)」システムで、ケース左側のスイッチで操作モードを切り替え、外側のベゼルを回すことで時刻合わせや巻き上げを行うそうですが、この「道具」としての徹底ぶりこそが、IWCがパイロットウォッチの王者と呼ばれる所以なのかもしれません。

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パイロット・ベンチュラー・バーティカル・ドライブの詳細
1. 24時間表示の「ミッションタイム」
宇宙ステーションは約90分で地球を一周するため、1日に16回も日の出と日没が訪れることとなり、そのため通常の12時間表示の腕時計だと「午前と午後の区別がつかず」、よってこのパイロット・ベンチュラー・バーティカル・ドライブでは(ブライトリング・ナビタイマー”コスモノート”同様に)24時間スケールを持っています。
加えて、地上との連携に不可欠な「ミッションタイム(UTC/GMT)」を常に示す機能を持っており、これも「地球用の腕時計にはない、宇宙専用腕時計ならでは」の装備ということに。
2. 素材:セラタニウム×セラミック
ケースには軽量なホワイトセラミックを採用したうえ、ベゼルやスイッチなど負荷のかかる重要パーツにはIWC独自の「セラタニウム(チタニウムの軽さとセラミックの硬さを併せ持つ素材)」を使用することで宇宙空間の過酷な環境をクリアしている、と説明されています。

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主要スペック表
| 項目 | 内容 |
| リファレンス | IW328601 |
| ケース径 | 44.4 mm |
| ケース素材 | セラミック / セラタニウム®(ベゼル) |
| ムーブメント | 自社開発自動巻き Cal.32722 |
| パワーリザーブ | 120時間(約5日間) |
| 防水性能 | 100 m |
| 主な機能 | ベゼル操作システム、24時間ミッションタイム、デュアルタイム |
| 税込価格 | 4,079,900円(2026年4月時点) |
宇宙の覇権争い:オメガ・ブライトリング・IWCの「現在地」
かつて「ムーンウォッチ」の称号はオメガが独占してきましたが、2026年、宇宙は「国家」から「民間」の時代へ移り代わっており・・・。
- オメガ: NASA公認の絶対的な伝統。
- ブライトリング: アルテミス計画など、有人ミッションへのロマン。
- IWC: 米Vast社との提携による、「次世代宇宙ステーションの標準装備」としての実用性。
IWCは「宇宙飛行士のための道具(ツールウォッチ)」「民間宇宙旅行時代のデバイス」としての完成度を極めることで、新時代の宇宙開発におけるマストアイテムとしての地位を狙っています。
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【新しい気づき】「リューズがない」ことが日常にもたらすメリット
この腕時計は「宇宙用の設計」を持つものの、実はこの「リューズレス」構造は、地上での日常使いにも大きなメリットがあるといい・・・。
- 装着感の向上: 手首を曲げた時にリューズが手の甲に刺さるストレスが皆無。
- 防水・防塵性の向上: 時計の最大の弱点である「リューズの隙間」を廃し、垂直駆動システムを内蔵することで長期的な信頼性が飛躍的に高まっている。
結論:これこそが「エンジニアリング」の到達点
「パイロット・ベンチュラー・バーティカル・ドライブ」はラグジュアリーウォッチではなく、シャフハウゼンのエンジニアたちが重力と常識から解き放たれて作り上げた「人類の知恵の結晶」。
400万円を超える価格は決して安くはありませんが、世界初の商業宇宙ステーション「Haven-1」と同じフライト認証を得た「本物の宇宙機器」を腕に巻くという体験は、他のどんな時計でも味わえない格別なものになることは間違いないのかもしれません。
「パイロット・ベンチュラー・バーティカル・ドライブ」を紹介する動画はこちら
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