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ブガッティが遂に究極のワンオフモデル「La Voiture Noire」発表。その意味は”黒い車”、「世界で最も高級で、最もパワフルで、最も特別なクルマ」。価格は20億円にて販売済み

2019/03/05

1930年代の「タイプ57SC アトランティーク」へのオマージュ。「だが、単なる再解釈ではない」

ブガッティが「ウワサの」自動車史上もっとも高額なワンオフモデルをついに公開。

これはブガッティ・タイプ57 SC アトランティック(アトランティーク)へのオマージュとなるモデルで、その名は「ブガッティ・ラ・ボワチュール(ヴォワチュール)・ノワール(Bugatti La Voiture Noire)」。※当時のタイプ57SC アトランティックの愛称でもある

「Voture」はクルマを意味するフランス語で、「Noire」は同じくフランス語で「黒」。
つまりこれは単純に「黒いクルマ」という意味ですが、この名がこれほどまでに似合うクルマも他にないだろう、と思います。

そして注目されていたその価格は「1100万ユーロ」、日本円だと約14億円(税抜き)。※その後価格は「20億円」だと報道されている

ブガッティLa Voiture Noireはブガッティの進む新しい方向性を示している

そしてブガッティCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏によれば、このBugatti La Voiture Noireは「世界で最もパワフルで、世界で最も高級で、世界で最もエクスクルーシブな(例を見ない)ハイパースポーツカー」。

さらにこれは「ラグジュアリーリムジンの乗り心地とハイパースポーツカーのドライバビリティとをそなえたクーペ」とも表現しています。

なお、ブガッティは今年創業110周年を迎え、ステファン・ヴィンケルマンCEOは新しいブガッティの方向性を「芸術性」「テクノロジー」と表現。
これは常に芸術的な、そして先進的なクルマを作ってきたブガッティの歴史を振り返ったものだとも言えそうですが、見事に「新しいブガッティ」を体現したクルマでもありますね。

ブガッティ La Voiture Noireは単なる過去の解釈ではない

そしてブガッティは「La Voiture Noireは、単にタイプ57SCアトランティックを現代風に再解釈したものではない」とコメント。

延長されたフロント、サイドの「Cライン」はエレガントさを強調し、ラップラウンドデザイン、そしてボディとなめらかにつながる形状を持つフロントウインドウは「ヘルメットのバイザー」をイメージ。

一方でウインドウのセンターには”スプリット”ラインが入るなど、タイプ57SCアトランティークとの共通性も持たせていますね。

そしてボディパネルはすべて「ハンドメイドのカーボンファイバー」で、「ディープブラック」仕上げ。

各パネルやウインドウ類との継ぎ目においては「段差」が無いように見えますが、ブガッティは直前に発表された限定モデル「110Ans Edition(シロンスポーツベースのブガッティ110周年/ジャン・ブガッティ生誕110記念モデル)」に採用されたシースルートップ”スカイビュー”でも同様の手法を採用していて、これはボディパネルとガラスとを「ツライチ」かつ光沢すらも揃えた仕上げを持っています。

⠀ブガッティ La Voiture Noireに搭載されるエンジンは、シロンに積まれる「W16/8リッター・クワッドターボ」。
出力はシロンと変わらずに1500馬力ですが、ワンオフモデルといえども出力が向上されなかったところを見ると、「現段階におけるこのエンジンの限界」が1500馬力なのかもしれません。

ブガッティはLa Voiture Noireについて「すでにブガッティのエンスージアストに対して売却済み」と語っているものの、それが誰なのか、ウワサされていたポルシェ創業者の孫であるフェルディナント・ピエヒ氏なのかどうかも謎。

ブガッティLa Voiture Noireの祖先、「タイプ57SC アトランティーク」とは?

ブガッティによると、La Voiture Noireのデザイン上の特徴はフロントからリアにかけての「縫い目(スプリットライン)」。

これはもちろんタイプ57SC アトランティックに採用されていたものですが、そのタイプ57SCは1936年から1938年にかけてはわずか4台のみが生産され(クーペだけだと3台)、そしてそれぞれ4台は使用者の好みに合わせて個別の仕様を持っていた、とのこと。

ブガッティ創業者のエットーレ・ブガッティは1881年にイタリアはミラノに生まれ、その後一家とともにパリへと移住。
最初に自ら製造したのはエンジン付き3輪車で、その後彼はこの車両でレースに参戦し、いくつかのコーチビルダーにて開発や設計を担当しています。

その後1907年に自身で設計した最初の「4輪車」タイプ10(T10)を完成させ、1909年に自らの会社「オトモビル・エットーレ・ブガッティ」を設立していますが、 その後レーシングカーとしてタイプ35(T35)、12,763ccという常識はずれの排気量を持つタイプ41(T41)ロワイヤル、”世界一美しいクルマ”と後に評されることになるタイプ57(T57)SCアトランティック等をリリース。

なお、会社設立の1909年に誕生したのが息子のジャン・ブガッティ(つまり会社と同じ年齢。残念ながら30歳で事故死を遂げている)。
ジャン・ブガッティは23歳のときにタイプ41ロワイヤルをデザインするなど非凡な才能を発揮し、その後タイプ57のデザインも担当することに。

現ブガッティCEO、ステファン・ヴィンケルマン氏への最近のインタビューでは、ブガッティの三本柱として 「T35のような合法レーシングカー」「T41ロワイヤルのような快適性と高級さ」「T57SCアトランティークのようなアイコン的デザイン」 を掲げていて、つまりT57SCアトランティークは「ブガッティの象徴」とも言えるクルマのひとつ。

このブガッティ・タイプ57SCアトランティークのエンジンは直列8気筒3.3リッター、出力は200馬力(スーパーチャージャーつき)で、最高時速は200キロを超えるとされ、1930年代に製造されたクルマとしては規格外の性能を持っていた、と言えますね。

現在ブガッティが「芸術」「テクノロジー」をブランドのコアバリューに掲げるのは、こういったブガッティ一族の「芸術家一族」というバックボーン、常に時代の先を行っていた技術を再評価したものだと言えそう。

なお、ブガッティはLa Voiture Noireについて”高級服飾におけるオートクチュール(オーダーメイドの一点もの)”だとも表現しており、「このLa Voiture Noireは、ブガッティが何ができるかを示した一台だ」と語っています。

そしてこれを見た顧客たちはこぞってワンオフモデルを注文することになりそうですが、今後はT35やT41といった、ブガッティの歴史的モデルへのオマージュとも言える”オートクチュール”モデルが続々誕生するのかもしれません。

VIA:Bugatti

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