| たしかにそれらより速く走ったが、「ワンオフ」なのでぼく認めない |
中国の吉利汽車(Geely)が持つブランドの一つ、「Lynk & Co」のセダン、”03”がニュルブルクリンクにおける「4ドア」そして「FF」の記録を更新した、とのこと。
なお、4ドアについてはジャガーXF SVプロジェクト8(7:21.23)が、FFについてはルノー・メガーヌ(7:40.10)がそれぞれニュルブルクリンクの最速ラップを記録していますが、今回、Lynk&Co 03が7:20.143を記録して両者のタイムを更新する事態となっています。※ただし、ジャガーはXF SVプロジェクト8を再度ニュルに持ち込み、自身の記録を7:18.361へと短縮している
ただ、このLynk&Co 03は「通常の」モデルではなく、かつてのボルボのワークスチーム(吉利汽車は現在ボルボの親会社でもある)であるサイアン(シアン)・レーシング(Cyan Racing)が徹底的にチューンしたワンオフモデル。
というのも、ボルボはサイアン・レーシングよりこのLynk&Co 03を世界ツーリングカー選手権へと参戦させており、そのノウハウをLynk&Co 03に注ぎ込んだと言えそうです。
なお、今回Lynk&Co 03が走ったのはニュルブルクリンクの「フルレイアウト(全長20.8キロ)」で、しかし他の自動車メーカーの多くはちょっと短いノルドシュライフェ(20.6キロ)でのタイムを計測しており、その面においても、このタイムは価値あるものだと言えそうです。
ただしこのLynk&Co 03”サイアン・コンセプト”はアタックのためのワンオフモデルであり、それを考えると「市販車」としてカウントするには無理があり、ジャガーXF SVプロジェクト8の「4ドア」、ルノー・メガーヌRSの「FF」最速記録は「そのまま生きている」と考えるのが妥当。
もし比較するのであれば、スバルがやはり記録達成のためにワンオフで作成した「WRX STI Type RA NBR Special」が適当な対象だと思われ、そしてこのタイムは6:57.5。
つまりスバルWRS STIのニュルブルクリンク専用モデルはは今回のLynk&Co 03サイアン・コンセプトよりもずっと速いということになり、いかに傘下にボルボとロータスを持つとは言え、まだまだ中国車が世界の第一線に立つのは難しいのかもしれません。※Lynk&Co 03の名誉のために言っておくとするならば、こちらは一応合法に公道を走行できる
ただ、そのスタイルはなかなかのもので、これまでにLynk&Coが発売してきた「01」「02」も含めてけっこうカッコイイ、とも考えています(おそらくは名のあるデザイナーの作品だと思う)。
そしてこのLynk&Co 03サイアン・コンセプトはアタック用のワンオフといえどもちゃんとナンバーを取得。
限定モデルでも構わないので、この状態で発売してくれればけっこうな話題になりそうでもありますね。
リアのブレーキキャリパーは「対向」のようですが、ディスクはかなり小さく、「大丈夫か」という印象も。
なおマフラーエンドは縦二本出しというアグレッシブさ。
ホイールやフロントフード、バンパー、ドアミラー、リアウイングのブラックアクセントがなかなかなかに刺激的。
そしてドアミラー、リアウイングの翼端にはシルバーがちょっとだけ用いられていますが、こういった部分もけっこうセンスがいい、という印象ですね。