| 308GT4はボクらの知るディーノとはちょっと違うが、いいクルマには違いない |
ディーノ308GT4をラリーカー風にカスタムしたワンオフモデルが中古市場に登場。
「ディーノ」というと「あの」(206/246)ディーノを思い起こしますが、このディーノ308GT4は1973年に発売されたディーノ206/246の後継扱いですが、ディーノ206/246とは似ても似つかない姿。
それまでの優美な曲線を捨ててその後80年代のフェラーリにつながる直線的なデザインを採用していますが、これはディーノ206/246がピニンファリーナのデザインであったのに対し、ディーノ308は(当時ベルトーネに在籍していた)マルチェロ・ガンディーニのデザインであったことも大きく影響しているものと思われます。
こういった「ラリーカー風」カスタムは一つの流行とも言え、ポルシェは比較的昔からオフローダー風へとカスタムされることが多く、最近だとランボルギーニ(ガヤルドやウラカン)をオフローダーへとコンバートした例も。
ディーノ308GT4は悲運のクルマ、そして最後の「ディーノ」
なお、ディーノ208/246から、そのデザインだけではなくレイアウトについても2シーターから2+2へと変更するなど、大きく性格を変えてきたのがこのディーノ308GT4ですが、そのためか当時はあまり売れず、結果として北米ディーラーに在庫が溜まってしまったので、フェラーリ本社はついに「ディーノのエンブレムを全部フェラーリに付け替えて全部売るように」と指示を出したと言われ、そのために1976年からは「ディーノ308GT4」から「フェラーリ308GT4」へと名称変更されたという変わり種(よってディーノはこの308GT4を最後にその名が消滅)。
こういった(フェラーリ自身がディーノをフェラーリブランドへと統合したという)経緯もあって現在では「ディーノ」と「フェラーリ」とが同列に語られるようになっているのだと思われ、よってディーノ206/246もさかのぼって「フェラーリ・ディーノ」という表記が用いられることが多いようです。
ただ、当時「ディーノ」は完全にフェラーリとは別ブランドとして展開しようというのがフェラーリの目論見で(フェラーリのブランドイメージを守るためにV6エンジン搭載のディーノを別ブランドした)、しかし販売するディーラーが一緒だったり、フェラーリ側も顧客の要望があればディーノにフェラーリのエンブレムを装着して販売することもあったとされ、なんだかんだで線引きが曖昧だったのかも。
それはともかくとして、この「フェラーリ初の」ミドシップ2+2が売れなかったのは事実でもあり、よって中古相場もかなり安く(フェラーリにしては珍しい不人気車)、そのためにこういったカスタムが登場するようですね(以前にもかなりヤバいディーノ308GT4が売りに出されていた)。
オーナーはランチア・ストラトスのファン
そしてこのディーノ308GT4について、オーナーはランチア・ストラトスのファンでもあり、ディーノ308GT4をランチア・ストラトスっぽく改造することを決意。
その後テキサスのカスタムショップ、ドライブソースにて今回のカスタムを行ったと紹介されています。
改造メニューとしてはリフトアップに加え15インチホイールとハイトの高いタイヤへの換装、ステアリングラックの調整、ワンオフのスチール製バンパー、マッドフラップ、ドライビングランプ、CBアンテナなど。
ランチア・ストラトスのコピーではなく、その参戦カテゴリのマシンが持つ雰囲気を再現したのは見事としかいいようがなく、オーナーそしてショップは「いい仕事をした」と言えそうですね。
さらにボディカラーはツートンへと改められていて、これもまたブラックのホイールとマッチした仕上がりに。
ディーノ308GT4”サファリ”のインテリアはこうなっている
そしてこちらはディーノ308GT4の内装。
カーペットとレザートリムは純正品を使用して全て張り替えられ、シートは純正品を「純正風」へと(社外品レザーで)張り替えることに。
そのほかRepa製4点式ハーネス、アルミペダルが装着され、レザー製ラゲッジストラップもアップグレード済み。
さらに消化器の装着、ウインドウシールドにグレーのティントを入れるなど実用的な(しかし渋い)カスタムも。
なお、リアシートはフェラーリ純正の「リアシートレス」キットを使用して2シーターへ。
全体的に見て、品よくセンスよく、フェラーリの伝統も尊重しながらのカスタムに仕上がっていると言ってよく、さらにオリジナルのオーナーズマニュアルや工具も付属していることを考えると「いい買い物」かも。
なお、エンジンはオリジナルの3リッターV8、(当時の出力をキープできていれば)出力は240馬力。
0−100キロ加速は6.4秒、最高速度は時速249キロというスペックです。